就業規則の豆知識
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2021.04.25
就業規則
あなたの会社と従業員との間で、労働条件や職場で守るべき規律などについての理解がくい違い、また、就業規則の未整備のためこれが原因となってトラブルが発生することがあります。
このようなことを防ぐためには、労働時間や賃金などの労働条件や服務規律などを就業規則ではっきりと定め従業員に明確に周知しておくことが必要です。
就業規則を作成することによって、会社と従業員の間での無用の争いを未然に防ぎ、明るい職場づくりが可能となります。
従業員を解雇するにも就業規則がないとスムーズにはできないですね。
就業規則は、これらのことを文書にして具体的に定めたもののことです。
就業規則Webのホームページは、労働基準法の定めを中心に、会社の経営者の皆さまが就業規則を作成するに当たって留意すべきポイントを紹介するものです。
まずは、お問合せ下さい(診断は無料です。) → このような手順で、作業を進めます
これから新たに就業規則を作成される会社の経営者の皆さまには、このホームページを参考としていただき、また、すでに作成されている
会社の経営者の皆さま には就業規則の豆知識のホームページにより就業規則が適正なものであるかどうかをもう一度見直していただき、会社と従業員とのトラブルが無いように、安心し て働ける明るい職場づくりに役立てて下さい。
就業規則の未整備は、会社側の権利放棄とみなされ、何かにつけ訴訟をおこした従業員に有利に働くことになっています。
また、平成15年10月には、「就業規則が拘束力を生ずるためには、内容を周知させる手続が取られていることを必要」とする最高裁の初判断が出されました。
就業規則も作成しただけでは、もはや効力がありませんので、ご注意下さい。
就業規則を従業員に周知して初めて効力が発生します。
働き方改革では、労働時間の管理が注目されています。
労働時間の条項は、とても大事になっています。
就業規則の内容
就業規則に記載する事項には、必ず記載しなければならない事項「絶対的必要記載事項」と、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項「相対的必要記載事項」とがあります(労働基準法第89条)。
このほか、使用者において任意に記載し得る事項もあります。
絶対的必要記載事項
(1) 労働時間関係
始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
(2) 賃金関係
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(3) 退職関係
退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)
相対的必要記載事項
(1) 退職手当関係
適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
(2) 臨時の賃金・最低賃金額関係
臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項
(3) 費用負担関係
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
(4) 安全衛生関係
安全及び衛生に関する事項
(5) 職業訓練関係
職業訓練に関する事項
(6) 災害補償・業務外の傷病扶助関係
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(7) 表彰・制裁関係
表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
(8) その他
事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項
なお、就業規則の内容は、法令及び当該事業場において適用される労働協約に反してはなりません。
法令又は労働協約に反する就業規則については、所轄労働基準監督署長はその変更を命ずることができます(労基法第92条)。
就業規則の作成及び変更の手続
労基法は、労働者を1人でも使用する事業場に適用されますが、就業規則については、常時10人以上の労働者を使用する事業場においては、これを作成しまたは変更する場合に、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。
また、就業規則は、企業単位ではなく事業場単位で作成し、届け出なければなりません。
例えば、1企業で2以上の営業所、店舗等を有している場合、企業全体の労働者の数を合計するのではなく、それぞれの営業所、店舗等を1つの事業場としてとらえ、常時使用する労働者が10人以上の事業場について就業規則を作成する義務が生じます。
なお、複数の営業所、店舗等の事業場を有する企業については、営業所、店舗等の就業規則が変更前、変更後ともに本社の就業規則と同一の内容のものである場合に限り、本社所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して一括して届け出ることも可能です。
就業規則を作成し、又は変更する場合の所轄労働基準監督署長への届出については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記し、その者の署名又は記名押印のある書面(意見書)を添付しなければなりません。
この場合の労働者の過半数を代表する者は、①労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、②就業規則の作成及び変更の際に、使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であることのいずれにも該当する者でなければなりません。
就業規則の作成又は変更に当たっては、その内容をよく吟味するとともに上記の手続等を遵守しなければなりません。
特に、就業規則を労働者にとって不利益に変更する場合には、労働者の代表の意見を十分に聴くとともに、変更の理由及び内容が合理的なものとなるよう慎重に検討することが必要です。