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就業規則の豆知識
退職の申出は3ヶ月前までには有効か?
優秀な従業員がほかの仕事を見つけたので、会社を辞めたいと申し出てきました。会社としては急に言われても困るので、就業規則により3ヶ月前に申し出て欲しいと伝えました。これは、有効でしょうか?
使用者が労働者を「解雇」する場合については、労働基準法において、少なくとも30日前にその予告をすることを定めていますが、労働者側の方で一方的に退職することについては、民法の定めによります。
すなわち、民法によれば、期間の定めのない契約はいつでも解約の申入れをすることができ、「雇用は、解約申入の後2週間を経過したるに因りて終了する」(民法第627条第1項)と定めています。
つまり、退職を申入れてから2週間すれば、使用者の承諾がなくとも、会社を辞めることができます(ただし、期間をもって報酬を定めた場合には、当期前半に解約の申入れをしたときは次期以降に効力が発生します(同法第627条第2項))。
ところで、就業規則で「労働者は1ヶ月前に退職を申し出なければならない」と規定されている場合はどうでしょうか。一般的に民法の規定は任意法規と解されていますので、労働契約や就業規則の上で、民法の規定と異なる定めをした場合には、その定めが優先することになります。
つまり、合理的理由があれば特約によってこの期間を延長することも可能ですが、これが極端に長い場合は、労働者の退職の自由が極度に制限されることになり、公序良俗の見地から無効とされるでしょう。
民法第627条を強行法規と解する判例(昭51.10.29、東京地裁、高野メリヤス事件)もあります。「退職を希望する場合は遅くとも1ヶ月前、役付者は6カ月前に退職願を提出し、会社の許可を受けなければならない」と定められていた会社の規定は、労働基準法が定めている人身拘束を防止する諸規定の趣旨に反するので、民法627条の予告期間を使用者のために延長することはできず、また、退職には会社の許可を要するとの規定も、労働者の解除の自由を制約するので効力を有しないと判断されています。
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