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賃金

片山組事件 最一小判平10.4.9
1.事案の概要
上告人労働者は、平成2年夏、ビル建築工事現場で現場監督業務に従事していた間に、バセドウ病と診断されたが、本件疾病に罹患している旨申し出ることなく、通院治療を受けつつ、平成3年2月まで現場監督業務を続けた。その後、次の現場監督業務が生ずるまでの間の臨時的一時的業務として本社にて図面の作成などの業務に従事していたが、同年8月19日、翌20日から府中市の都営住宅工事現場の現場監督業務に従事するように命じられた。そこで、上告人労働者は本件疾患に罹患しており、現場監督業務は無理である旨申し出たところ、会社は、自宅治療休業命令を発し、その間の賃金を支給しなかった。
2.判決の要旨(主文)
労働者側勝訴。原判決を破棄し、原審に差し戻した。
3.判決の要旨(理由)
労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就労を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供ができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。
上告人労働者は、会社に雇用されて21年間にわたり建築工事現場に置ける現場監督業務に従事してきたが、労働契約上、その職種や業務内容が現場監督に限定されていたとは認定されていない。また、本件自宅治療命令を受けた当時、事務作業に係る労務の提供は可能であり、その提供を申し出ていたというべきである。上告人労働者の能力、経験、地位、被上告人における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして上告人労働者が配置される現実的可能性があると認められる業務が他にあったかどうかを検討すべきである。上告人の労務の提供が債務の本旨に従ったものでないとした原審判断は、上告人と被上告人の労働契約の解釈を誤った違法があるものといわなければならない。
4.解説
労働契約により、労働者は労務を提供する債務を負うが、債務の本旨に沿った履行の提供を行った場合には、労働者は賃金請求権を有することになる。

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