社会保険労務士法人愛知労務

高次脳機能障害とは

通勤途中の交通事故などで脳に傷を負ったとき、外見から分かる症状として、運動麻痺や手の震えなどが出ることがあります。

その一方で、外見からは分からない症状というものもあります。

例えば自分の思うように話せない、他人の言っていることが理解できない、すぐに物事を忘れてしまう、ちょっとしたことでも怒りやすくなる、気が散ってしまって集中することができない等の症状が出ることがあります。

このような、外見からは分からない、その人が今まで不通にできていたことがうまくできなくなってしまうのが、高次脳機能障害です。

高次脳機能障害は、脳損傷直後の症状が最も重く、その後、少しずつ改善していきます。

しかし全快というのは難しく、あるところから回復が鈍ってきます。

外見上は事故前と変わらないのに、少し様子が違ってしまっていることに、 家族や周りの人は戸惑うことも多いのですが、ご本人はそのことに気付いていないことも多く、トラブルの元となります。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の代表的な症状としては、次のようなものがあります。この中のいずれかひとつだけ該当するという人もいれば、複数該当するという人もいます。

1.記憶障害

新しいことを覚えられない、覚えたとしてもすぐに忘れてしまう状態です。高次脳機能障害の中で最も多く生じる症状です。
自分のいる場所が分からなくなり、迷子になってしまうこともあります。

2.注意障害

ぼんやりとして、物事に自分から関心を示さない状態です。仕事や作業をしている時も気が散りやすく、簡単なミスをしがちです。

3.失語症

失語症は「話す」「聞く」「読む」「書く」などの言語機能の障害です。具体的には、言いたいことと違うことを言ってしまう、意味不明な言葉を言ってしまう、聞き間違いや書き間違いが多いなどの症状があります。

4.失行

他人から指示された内容を正しく理解し、体は問題なく動くのにもかかわらず、簡単な動作をこなせなくなる状態です。

手を挙げて振る、などの簡単な動作を支持されても、手を挙げるだけでいたりします。

また、道具の使い方を正しく理解しているのに、その通りに使うことができなかったりします。

例えばスプーンを見て、食事をするためのものだと分かっているにも関わらず、鉛筆のように文字を書くために使おうとしてしまったりします。

5.失認

視覚や聴覚、触覚などの感覚を通じて物を認知することが難しい状態です。

物だけでなく、よく見知った人の顔なども認知できなくなったりします。

6.半側空間無視

大脳の半分が傷つくことで生じます。多くの場合、右半球が傷ついた結果、左側にあるものに気付くことができなくなります。

具体的には、食事中に左側に置いてあるおかずに気付かず、完食したつもりでいたりします。また、自分の左側にいる人にぶつかってしまったりします。

7.遂行機能障害

物事をスムーズにこなしたり、自分で計画を立てることが困難な状態です。

8.脱抑制

以前に比べて怒りやすくなったり泣きやすくなったりし、感情的に不安定な状態になる症状です。

些細なことで怒り出し、暴力を振るう場合などもあります。

高次脳機能障害のリハビリ

高次脳機能障害の患者さんは、事故前には何の不自由もなくできていたことが出来なくなってしまいます。

例えば、簡単なことが覚えられず、覚えてもすぐに忘れてしまったり。

自分の思っていることを上手に話したり、書いたりできなくなったり。また、集中力が続かず疲れやすくなり、ちょっとしたことでもすぐにイライラして感情をおさえられなくなったりもします。

そこで、少しでも事故前の自分を取り戻すために、リハビリが大切になってきます。

リハビリというと、骨折後の患者さんが病院やリハビリセンターで歩く練習をしているシーンが目に浮かぶかもしれません。

しかし高次脳機能障害のリハビリは、普段の生活の中で日常を取り戻していくことなのです。

自分に出来ることは何なのかを見つめ、そこを伸ばしていくことで、出来ることの幅が広がっていき、社会に再び溶け込んでいくことができます。

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