労災保険と交通事故
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.07.20
業務中や通勤中に生じた交通事故の場合は、労災保険に対して医療費を請求することができます。
相手がある事故の場合には、被害者は加害者に対して二つの権利を有することになります。
それは、損害賠償権と労災保険への給付請求権です。二つの権利のうちどちらを行使するかについては、被害者自身が選択できます。
この場合、加害者と労災保険の両者から二重に補償を受けることを調整する必要があります。
そのため、第三者行為災害に関する労災保険給付と民事損害賠償との支給調整について、労災保険法で定められています。
具体的には次のようになっています。
労災保険を先行で使用した場合:労災保険側が相手に請求します。
加害者からの損害賠償を先行で受けた場合:労災保険からの支払いが損害賠償額の範囲内で減額されます。
交通事故で労災保険を使うメリット
通勤途中や業務中に起きた事故の場合、労災保険を使うと次のようなメリットがあります。
1. 健康保険と比較して補償の範囲が幅広い。
2. 医療費が100%給付され、個人負担がない。
3. 特別支給金制度があり、またこれは民事上の賠償とは支給調整されない。
労災保険には慰謝料や雑費の給付がなく、また自賠責支給を先行すると、仮渡金制度や任意一括制度を利用することができます。
そのため、結果的に損害賠償額がスピーディーに支払われるというメリットがあります。
ただし、次の点には注意が必要です。
それは、加害者が任意保険に加入している場合のことです。
この場合でも、過失割合や保険会社の支払いについては保険会社が決めた範囲内で行われます。
そのため、労災保険の認定を受けておくことが肝心です。
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