生産性を向上させ、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に支給
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2025.04.07
労働時間短縮・年休促進支援コース
2020年4月1日から、中小企業に、時間外労働の上限規制が適用されています。
このコースは、生産性を向上させ、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主の皆さまを支援します。
どんな助成金
このコースは、生産性を向上させ、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主の皆さまを支援します。
基本の手続きの流れは、他の働き方改革推進支援助成金のコースと変わりません。
支給対象となる事業主
支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主です。
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること
(2)交付申請時点で、「成果目標」①から③の設定に向けた条件を満たしていること。
(3)全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
(※)中小企業事業主とは、以下のAまたはBの要件を満たす中小企業となります。
成果目標の設定
支給対象となる取組は、以下の「成果目標」1から3のうち1つ以上選択し、その達成を目指して実施します。
以下のいずれにも該当する事業主です。
1:全ての指定対象事業場において、令和7年度又は令和8年度内において有効な36協定 について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと
2:全ての指定対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
3:全ての指定対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、「労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)」2(2)に規定された、特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置として、特別休暇の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
上記の成果目標に加えて、指定対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額を引上げることを成果目標に加えることができます。
(注意)本助成金は国の予算額に制約されるため、11月28日以前に、予告なく受付を締め切る場合があります。
上記の成果目標に加えて、指定する労働者の時間当たりの賃金額を3%以上、5%以上、または7%以上で賃金引上げを行うことを成果目標に加えることができます。
次の労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備の、 いずれか1つ以上実施します
1 労務管理担当者に対する研修
2 労働者に対する研修、周知・啓発
3 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
4 就業規則・労使協定等の作成・変更
5 人材確保に向けた取組
6 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7 労務管理用機器の導入・更新
8 デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
※研修には、業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
費用のめやすは以下の通りです
事業の実施に要した経費のうち、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費及び委託費を助成対象の経費とします。
① 研修の講師謝礼・・・1時間あたり10 万円まで。
開催回数及び開催時間・・・原則として1回まで、1回あたり3時間までとする。
(労働者数が多い、支店が点在、交替制勤務等、事情がある場合は考慮)
② コンサルティングの開催・・・原則として1回まで、1回あたり10 万円
③ 就業規則の作成・変更に係る経費・・・就業規則、その他合計10 万円まで。労使協定の作成・変更に係る経費は、1協定につき1万円とする。
④ 就業規則の届出に係る経費・・・1万円までとする。
⑤人材確保に向けた取組の費用は10万円まで。
■ 実施計画を作り、承認されてから、上記各種の措置を行い、費用を支出します。
支給額(上限額)
取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給します。
(※)常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
【(1)の上限額】
○成果目標1の上限額
事業実施後に設定する時間外労働時間数等 | ||
現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月80時間を超えて設定している事業場 | 現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月60時間を超えて設定している事業場 | |
時間外労働時間数等を月60時間以下に設定 | ||
時間外労働時間数等を月60時間を超え、月80時間以下に設定 |
○成果目標2達成時の上限額:25万円
○成果目標3達成時の上限額:25万円
【(1)の賃金加算額】 (常時使用する労働者数が30人以下の場合)
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11人~30人 |
3%以上引き上げ | 30万円 | 60万円 | 100万円 | 1人当たり10万円 (上限300万円) |
5%以上引き上げ | 48万円 | 96万円 | 160万円 | 1人当たり16万円 (上限480万円) |
7%以上引き上げ | 72万円 | 144万円 | 240万円 | 1人当たり24万円 (上限720万円) |
【(1)の賃金加算額】 (常時使用する労働者数が30人を超える場合)
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11人~30人 |
3%以上引き上げ | 15万円 | 30万円 | 50万円 | 1人当たり5万円 (上限150万円) |
5%以上引き上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円 (上限240万円) |
7%以上引き上げ | 36万円 | 72万円 | 120万円 | 1人当たり12万円 (上限360万円) |
締め切り
申請の受付は2025年11月28日(金曜日)まで必着です。
(なお、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、11月28日以前に受付を締め切る場合があります。)
手続きの流れ
計画は措置の少なくとも2か月前には提出します。
その計画の重要な措置は以下の通りです。
(1)労働時間等設定改善委員会の設置等
労使の話し合いの機会の整備・・・委員会を開き、議事録を作る。
(2)労働時間等に関する個々の苦情、意見及び要望を受け付けるための担当者の選任・・・役職の名称を付ける
(3)労働者に対する事業実施計画の周知・・・全員にメールを送る、職場に掲示をする等
(4)特別休暇や時間単位の有給休暇の規程を就業規則に盛り込む。
受給事例
概要 |
従業員5名の設備工事業の会社で新規にダンプカーを(280万円)を購入し、重機や工事機械の移動に要する時間を削減した場合。 |
備考 |
①36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減 ②特別休暇(教育訓練休暇)導入 ③時間単位の有給休暇導入 |
受給額 |
250万円×5分の4=200万円 但し、上限が150万円のため150万円 |
Q&Aコーナー
質問:自動車購入時の車両本体以外の関連費用はどのようなものが助成対象となるか
回答:自動車購入に際して支払を要する費用のうち、車両本体以外で助成対象となるものは、検査登録(届出)手続の代行費、車庫証明手続の代行費、納車費用等であり、対象とならないものは、検査登録(届出)手続預かり法定費用、車庫証明手続預かり法定費用、販売車両リサイクル料金、自動車取得税、自動車重量税、自動車賠償責任
保険等である。
なお、希望ナンバー交付手数料のほか、オーディオ等のオプション装備についても原則として対象外であるが、クレーン、リフト等の労働能率の増進に資する機器や、カーペットマット、サイドバイザー(ドアバイザー)等通常装備されるものについては、助成対象となる。
質問:支給要領別紙欄外に記載の「貨物自動車等」にはいわゆる軽トラックは含まれるのか。
回答:含まれる。
質問:助成対象外となる「乗用自動車等」に該当するか否かは、車検証の「用途」欄の「乗用」又は「貨物」かの記載で判断してもよいか。
回答:「乗用自動車等」に該当する否かについては、自動車検査証(車検証)の「用途」欄の記載により判断する。