脳梗塞(脳出血・くも膜下出血)の障害厚生年金

脳梗塞の障害年金の場合の障害厚生年金・障害基礎年金の額

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.01.17

年金額

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。その他に障害手当金があります。
障害基礎年金の額は定額で、障害等級2級は780,100円(月額65,008円)、1級はその1.25倍の975,125円(月額81,260円)です。

年金の形

年金のもらえるカタチ

 

子の加算


障害基礎年金を受ける人に生計を維持されている子がいるときは、下記の額が加算されます。
子は18歳到達年度の末日までにある子または20歳未満で1級・2級の障害の子に限られます。

加算対象の子

加算額

1人目、2人目(1人につき)

各224,500円(月額18,708円)

3人目以降(1人につき)

各74,800円(月額6,233円)

 

子の加算の対象は、これまでに障害基礎年金を受ける資格を得たときに生計を維持されていた子に限られていましたが、平成23年4月から年金を受ける資格を得た後に生計を維持することになった子も対象となりました。

障害の程度が変わったとき

障害の程度が、障害基礎年金を受けている間に重くなったり軽くなったりしたときは、受給者が提出する障害状態確認届または受給者の請求により年金額が改定されます。
障害の程度が重くなったときの受給者の請求は、原則として障害基礎年金の受給権を取得した日または額改定の審査を受けた日から1年を経過した日の後でなければ行えませんでしたが、平成26年4月から障害の程度が明らかに増進したことが確認できる場合には、1年以内でも行えるようになりました。
逆に障害が軽くなったり、障害等級表にあてはまらなくなったときは、支給が停止されます。
また、障害厚生年金の障害等級の3級にもあてはまらないまま65歳になると(65歳になったときに3年を経過していないときは3年を経過したとき)障害基礎年金を受ける権利がなくなります。

障害厚生年金・障害手当金の額

障害厚生年金・障害手当金の額は、報酬比例の年金額に一定の率をかけた額です。
また、1級・2級の障害厚生年金には、配偶者の加給年金額が加算されます。
障害厚生年金・障害手当金は次の報酬比例の年金額の式で計算されます。2級と3級の障害厚生年金では、この式に率をかけませんが、1級の障害厚生年金では1.25の率をかけ、障害手当金では2.0の率をかけて計算します。
この式は、平成15年3月以前の被保険者期間と、平成15年4月以後の被保険者期間の両方の期間をもつ人の本来の額の式です。

〇平成15年3月(2003年3月)以前の期間に係る報酬比例の年金額

平均標準報酬月額×7.125÷1000×平成15年3月以前の被保険者期間の月数

〇平成15年4月(2003年4月)以後の期間に係る報酬比例の年金額

平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数
また、上記の式には「総報酬制と2つの計算式」および「平均標準報酬月額と平均標準報酬額」が適用されます。
障害認定日の属する月後の被保険者期間は計算の対象とされません。
額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300未満である場合「300÷実際の被保険者期間の月数」をかけて、全体を300月分に増額します。
平均標準報酬月額とは、平成15年3月までの被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を平成15年3月までの被保険者期間の月数で除して得た額です。(賞与は含めません)
平均標準報酬額とは、平成15年4月以後の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以後の被保険者期間の月数で除して得た額です。(賞与を含めます)

これらの計算にあたり、過去の標準報酬月額と標準賞与額には、最近の賃金水準や物価水準で再評価するために「再評価率」を乗じます。

配偶者の加給年金額

1級・2級の障害厚生年金を受ける人に生計を維持されている配偶者がいるときは、224,500円の加給年金額が支給されます。

この加算の対象は、これまで1級・2級の障害厚生年金を受ける資格を得たときに生計を維持されていた配偶者に限られていましたが、平成23年4月から年金を受ける資格を得た後に生計を維持することになった配偶者も対象となっています。

加給対象者は65歳になるまでという条件がありますが、大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません。

65歳以後の1級・2級の障害厚生年金

65歳以上の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金等を受けられると国民年金の第2号被保険者になれないため、これらの人が65歳以後に初診日がある病気やけがで1級・2級の障害の状態になったときは障害基礎年金が支給されず、1級・2級の障害厚生年金のみが支給されます。

そこで、障害基礎年金を受けられない65歳以後の1級・2級の障害厚生年金には、平成17年4月から3級と同額の585,100円の最低保証額が設けられています。

障害基礎年金と上乗せの老齢厚生年金等

障害基礎年金に上乗せして支給されるのは障害厚生年金のみですが、65歳以上であれば老齢厚生年金、遺族厚生年金についても障害基礎年金に上乗せして支給されます。