山岳トンネル工事を行うときに、いろいろな問題を起こす岩石があります。
その岩石が持っている特性が、やわらかいとか、水分を含みやすいとか、剥離しやすいとかです。
新第三紀中新世のグリーンタフ地域に分布する泥岩や凝灰岩は、膨張性地山の代表格です。
今から2000~1500万年前に本州の日本海側に沿って膨大な量の海底火山による噴出物が堆積しました。
これらは、緑色をした凝灰岩であることから、グリーンタフと呼ばれています。
グリーンタフは、日本海側や伊豆半島などに分布しております。
緑色凝灰岩(グリーンタフ)は、軟らかく加工しやすいことから古くから石材として利用されてきました。
この軟らかいことがトンネルを掘るにあたっては問題を起こす原因となっています。
要するに崩れやすいのです。
蛇紋岩は、かんらん岩が水と反応することによって蛇紋石と磁鉄鉱ができあがる反応で生じます。
マントル物質が地殻に上昇してくる過程で生まれた岩石です。
蛇紋岩は、とてももろく、分布している地域では地すべりなどが起きやすく注意が必要です。
蛇紋岩が繊維状に風化するとクリソタイル(石綿:アスベストの仲間)となります。
蛇紋岩は、独特な光沢があって、岩肌が滑らかで滑りやすく、崩れやすいです。
登山者にとっては、注意すべき岩石であり、トンネルを掘るに当たっても注意すべき岩石です。
花崗岩は、地下深くでマグマがゆっくりと冷えて固まった深成岩です。
主に4種類(石英、カリ長石、斜長石、黒雲母)の鉱物から形成され、カリ長石が多いのが特長です。
一見、ゴマ塩おにぎりのように見えます。
花崗岩は、3方向に割れ目が発達していることが多く、直方体の石を積んだような状態に見えます。
割れ目があれば、そこから水がしみ込んで風化がおき「節理」とよばれる亀裂が発達します。
これらの節理に沿って風化が進むことで未風化部と風化部が混在する形を示すことが花崗岩ではしばしばみられます。
広島県に多い「マサ土」は、花崗岩が風化したものです。
マサ土は、水を含むと非常にもろくて崩れやすくなっています。
マサ土は、石英は変質しないが、それ以外の鉱物が粘土化するためです。
結晶片岩は、広域変成作用により地下深部で剪断応力を受けて結晶したため、片理という縞模様がみられ、その縞目に沿ってはげるように割れる傾向があります。
剥離性の強い片理面が発達し、構造的な破砕を受けていることから、山岳トンネル工事ではやっかいな岩石となります。
地球の表面は、プレートと呼ばれる岩の層で覆われています。
このプレートは、日本の太平洋側付近で海洋プレートと大陸プレートが衝突し、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいきます。
海洋プレートが沈み込む際、大陸プレートには大きな力が加わり、地層や岩に割れ目を生じます。
この割れ目が「断層」です。
断層破砕帯は、このような地殻変動によって破砕され細片化、粘土化したゾーンをいいます。
石灰岩は、珊瑚、ウミユリなどの炭酸カルシウムからなる生物の遺骸が堆積して固まってできた堆積岩の一種です。
日本で見られる石灰岩のほとんどはもともとサンゴ礁です。
海洋島の上にできたサンゴ礁がプレート運動によって、長い年月をかけて移動してきて、大陸プレートとぶつかり陸地と一体化して石灰石となりました。
日本最大の石灰石分布地域は、山口県秋吉台です。
石灰岩は、二酸化炭素を含んだ弱酸性の雨水により溶かされます。
そして、石灰岩地帯に降った雨により、石灰岩を少しずつ溶かして、何万年単位という長い年月をかけて石灰洞を形成していきます。
トンネルの下盤に石灰洞(鍾乳洞ともいう)が出現しないようにする必要があります。
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凝灰岩・・・下段 右から1番目
泥岩・・・下段 右から2番目
蛇紋岩・・・中段 左から3番目
花崗岩・・・上段 左から2番目
石灰岩・・・下段 左から2番目