労働基準法の知識
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.26
労働時間の原則
使用者は、原則として、1日は8時間、1週間は40時を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を与えなければいけません。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
☆変形労働時間制
変形労働時間制は、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます。
変形労働時間制には、(1)1か月単位、(2)1年単位、(3)1週間単位があります。
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、就業規則等により制度を導入することを定めた上で、労働協定により、一定期間(1か月以内)を平均し1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業・終業時刻を労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度です。
残業等の割増賃金
給与計算における残業等の割増賃金の計算を解説します。
残業、休日・深夜労働をしたときの割増賃金
○割増賃金の計算の仕方は労働基準法で定められている
時間外労働(残業)、休日労働、深夜労働をしたときには、割増賃金を支払うことが労働基準法で義務付けられています。
(1)時間外労働手当(残業手当)
残業等の割増賃金 (1) 時間外労働手当(残業手当)
•法定労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間
•36協定を結び、労働基準監督署長に届け出た場合 その協定内の範囲内での時間外労働可能
•超えた労働時間については、25%以上の割増賃金を支払う
•所定労働時間(会社が就業規則などで定めた労働時間)が法定労働時間(1日8時間)であれば就業規則などで定めがある場合を除いて、割増賃金を支払う必要はない
(2)休日労働手当
残業等の割増賃金 (2) 休日労働手当
•法定休日は、1週間に1日または4週間に4日の休日
•36協定を結び、労働基準監督署長に届け出た場合 その協定内の範囲内での休日労働可能
•法定休日に労働させた場合には休日労働手当として、35%以上の割増賃金を支払う
•完全週休2日制の場合には、会社の定めた休日に労働させたとしても、法定休日外であれば、就業規則などで定めがある場合を除いて、割増賃金を支払う必要はない
(ただし、1週40時間労働を超える範囲の時間となる場合は、法定時間外労働としての割増賃金が必要となります。)
(3)深夜労働手当
残業等の割増賃金 (3) 深夜労働手当
● 深夜労働は、午後10時から翌朝5時までの時間帯の労働
● 深夜労働手当として25%以上の割増賃金を支払う
時間外労働が深夜の時間帯に及んだ場合 50%以上(25%+25%)
休日労働が深夜の時間帯に及んだ場合 60%以上(35%+25%)
注)休日に8時間を越えて労働させても、それが深夜の時間帯に及ばない限り、35%以上の割増賃金を払えばよい。
労働時間と割増賃金の端数処理
時間外労働、休日労働または深夜労働の時間労働数には、1時間未満の端数が生じることもあります。
•1時間未満の端数 → 端数の1か月分を合計
合計しても端数があるときは、その1時間未満の端数について
1.30分未満は切捨て
2.30分以上1時間未満の端数は切り上げて1時間とする
•毎日の労働時間について
1.30分以上1時間未満を1時間に切り上げる → 認められる
2.30分未満を切捨てる → 認められない
•1円未満の端数
1.50銭未満を切捨て
2.50銭以上1円未満を切り上げる