労災保険と交通事故
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.10
障害(補償)年金前払一時金
障害(補償)年金を受給することとなった方は、1回に限り、年金の前払いを受けることができます。
前払一時金
障害等級 | 前払一時金の額 |
---|---|
第1級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分、1,200日分または1,340日分 |
第2級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分または1,190日分 |
第3級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分または1,050日分 |
第4級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分または920日分 |
第5級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分または790日分 |
第6級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分または670日分 |
第7級 | 給付基礎日額の200日分、400日分または560日分 |
給付の内容
前払一時金の額は、障害等級に応じて定められている一定額(上記の表を参照)の中から、希望するものを選択できます。
なお、前払一時金が支給されると、障害(補償)年金は、各月分(1年を経過した以降の分は、年5%の単利で割り引いた額)の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間支給停止されます。
請求の手続き
障害(補償)年金前払一時金の時効は、当該傷病の治った日の翌日から2年です。
障害(補償)年金前払一時金を請求する時は、原則として、障害(補償)給付の請求と同時に、「障害補償年金・障害年金前払一時金請求書」(年金申請様式第10号)を、所轄の労働基準監督署長に提出することになります。
ただし、当該傷病の治った日の翌日から2年以内でかつ年金の支給決定の通知のあった日の翌日から1年以内であれば、障害(補償)年金を受けた後でも前払一時金を請求できます。
この場合は、それぞれの障害等級に対応する最高限度額から、既に支給された額を減じた額の範囲内で請求することになります。
障害(補償)年金差額一時金
障害(補償)年金の受給権者が死亡したとき、既に支給された障害(補償)年金と障害(補償)年金前払一時金の合計額が、障害等級に応じて定められている一定額に満たない場合には、遺族に対して、障害(補償)年金差額一時金が支給されます。
先日、相談のあった方は、ご家族の方が高度な障害が残り、年齢もご高齢なので、障害(補償)前払一時金をもらおうか迷われていました。
ところが、障害(補償)年金差額一時金の制度があることを説明したところ、前払一時金をもらうのを辞めました。
障害(補償)年金差額一時金の支給を受けることができる遺族は、次の(1)または(2)の遺族で、支給を受けるべき順位は、(1)、(2)の順序、さらに(1)、(2)の中では記載の順序となります。
(1)労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者(※)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
(※)婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあったも斧を含みます。(2)において同じ。
(2)(1)に該当しない配偶者、子、父母、孫。祖父母、兄弟姉妹
給付の内容
障害(補償)年金差額一時金の額は、障害等級に応じて定められている下記の表の一定額から既に支給された障害(補償)年金と障害(補償)年金前払一時金の合計額を差し引いた額です。
また、障害特別年金においても、障害(補償)年金と同様に、差額一時金の制度があり、障害特別年金の受給権者が死亡したとき、既に支給された障害特別年金の額が、障害等級に応じて定められている下記の表の一定額に満たない場合には、その差額が障害特別年金差額一時金として、遺族に支給されます。
遺族の範囲や順位は、障害(補償)年金差額一時金と同じです。
障害年金差額一時金・障害特別年金差額一時金
障害等級 | 障害(補償)年金差額一時金 | 障害特別年金差額一時金 |
---|---|---|
第1級 | 給付基礎日額の1,340日分 | 算定基礎日額の1,340日分 |
第2級 | 給付基礎日額の1,190日分 | 算定基礎日額の1,190日分 |
第3級 | 給付基礎日額の1,050日分 | 算定基礎日額の1,050日分 |
第4級 | 給付基礎日額の920日分 | 算定基礎日額の920日分 |
第5級 | 給付基礎日額の790日分 | 算定基礎日額の790日分 |
第6級 | 給付基礎日額の670日分 | 算定基礎日額の670日分 |
第7級 | 給付基礎日額の560日分 | 算定基礎日額の560日分 |
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