労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集(厚生労働省)監修(脳・心臓疾患事案(広域ルート営業)) 社会保険労務士法人愛知労務

労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集(脳・心臓疾患事案(広域ルート営業) )

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2026.02.22

今までに手掛けた労災申請で厚生労働省のサイトの労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集を解説しました。

労働時間管理不適正・所定終業時刻後の労働があるという相談を受けることがあります。

移動時間・持ち帰り残業・事業場外労働に関するみなし労働時間制で慎重に審査されて認定された事例です。(厚生労働省のページより抜粋しました)

どうぞ、労災保険の申請にお役立ててください。

また、分からないことありましたらご遠慮なくお問合せください。

労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集

労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集

令和3年3月 厚生労働省労働基準局補償課監修

事例:労働時間認定のポイント(労働時間管理不適正・所定終業時刻後の労働)

厚生労働省発表の資料をご紹介したいと思います。

基補発 0330 第1号 令和3年3月 30 日 都道府県労働局労働基準部 労災補償課長 殿 厚生労働省労働基準局補償課長

労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集の活用について(抜粋)

このため、今般、別添のとおり、「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例 集」を作成したので、脳・心臓疾患及び精神障害事案の労災認定に活用し、今後、 一層適切な労働時間の認定に努められたい。

https://www.mhlw.go.jp/content/000900451.pdf

参考事例集(目次) 事例建設現場施工管理者【脳・心臓疾患事案:業務上】 労働時間管理不適正・所定終業時刻後の労働

厚生労働省発表の資料をご紹介したいと思います。

基補発 0330 第1号 令和3年3月 30 日 都道府県労働局労働基準部 労災補償課長 殿 厚生労働省労働基準局補償課長

労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集の活用について(抜粋)

このため、今般、別添のとおり、「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例 集」を作成したので、脳・心臓疾患及び精神障害事案の労災認定に活用し、今後、 一層適切な労働時間の認定に努められたい。

https://www.mhlw.go.jp/content/000900451.pdf

事例2 脳・心臓疾患事案(広域ルート営業)

〇 労働時間認定のポイント(移動時間・持ち帰り残業・事業場外労働に関するみなし労働時間制)

・ 被災労働者は、営業先への移動には社用車を利用していた。

移動時間は、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には労働時間に該当する。

被災労働者の営業先への移動については、

① 営業で使用する資料を常に大量に携行しなければならなかったこと

② 大量の資料を携行するため、社用車を使用して移動するように指示されていたこと

③ 専ら一人で出張し、自ら社用車を運転していたこと

④ 営業活動の内容を事後的にではあるものの、使用者に報告していたことが確認されたことから、これらの状況を総合的に勘案して、業務の過重性の評価に当たっては、本事例の移動時間は労働時間に該当すると判断した。

・ 社用車での移動時間の算定に当たっては、インターネット検索により出発地、到着地の2点間の移動に要する想定時間を基に労働時間を推計した。

高速道路走行区間は、ETCカードの入場退場記録により労働時間を推計した。

・ アメリカ出張に伴い休日に移動しているが、旅行中に物品の監視等の特段の指示はなく、機内や電車内で自由に過ごすことができるものであったことから、本事例では、労働時間には該当しないと判断した。

・ 請求人は、被災労働者が、自宅でもパソコンを開いて仕事をしていたと主張している。

代表者の申述より、被災労働者は、月曜日に月報、出張清算書、営業日報を提出することや新しいカタログを作成することを義務付けられており、主として直行直帰で行う営業業務に従事していたため、事業場のみならず、自宅や宿泊したホテルでこれらの業務を行うことが当然に予定されていた。

したがって、使用者の黙示の指示の下、自宅等で業務を行うことを余儀なくされていたものと判断し、本事例では、自宅やホテルに持ち帰って仕事を行った時間は労働時間に該当すると評価した。

ただし、パソコンが立ち上がっている間、被災労働者が継続して労働に従事していたかは明らかでないことから、ファイルの更新、メールの送信等の時間的連続性を保ち労働していると推定できる時間を労働時間と推計した。

・ 被災労働者には事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用されていたが、被災労働者の労働実態を確認したところ、

① 事業場外で行う業務は、関東、北陸、東海地域にある取引先へ社用車を使用しての営業活動であり、専ら被災労働者1名で取引先を訪問していたこと

② 毎週月曜日に営業会議を行い、前週の営業報告、今週のおおむねの営業予定について、報告、情報共有等を行っていたこと

③ 毎週月曜日に営業日報や経費精算書、領収証(ガソリン代を含む)、旅券、ETCの記出しており、被災労働者がどのような営業活動を行ったか事後的に具体的に把握していたこと

④ 事業場外労働においては、営業活動の状況や方針など業務の遂行について、上司に電話やメール、SNS等で報告し、具体的な業務指示や相互に業務連絡を受けていたことが確認された。

以上により、事業場外で労働する場合であっても、使用者の具体的な指揮命令の下で業務を行っていたことから、労働時間を算定することが困難であった状況は認められず、事業場外労働に関するみなし労働時間制を適用することは妥当ではないと判断した。

労災部署は、被災労働者の実労働時間を可能な限り明らかにするために労働時間の調査を行った。

調査の結果、実労働時間の算定が困難な日については、就業規則の規定を基に所定労働時間労働したものと推計した。

総合評価

本件の労働時間については、発症前1か月の時間外労働時間数は53時間09分、発症前2か月ないし6か月における1か月当たりの平均時間外労働時間のうち、最大となるのは発症前2か月平均の73時間58分であり、認定基準において業務と発症との関連性が強いとされている発症前1か月間におおむね100 時間又は発症前2か月ないし6か月における1か月当たりおおむね80時間の時間外労働時間数を下回っている。

しかし、認定基準では発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できるとしているため、労働時間以外の負荷要因による身体的、精神的負荷が特に過重と認められるかどうかについて評価する必要がある。

本件では、労働時間以外の負荷要因として発症前6か月間において、102日間に及ぶ出張(うち65日間は宿泊を伴う出張)があり、1日の平均移動距離も約300kmに及んでいることが認められることから、被災労働者は著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められる。

(労働時間の推計方法)

1原則的な考え方

(1)原則として、就業規則上の所定労働時間である9時から18時を所定労働時間とする。

(2)事業場に出勤した日の始業時刻・終業時刻は、タイムカードの打刻時間を基礎としつつ、以下のとおりと評価した。

ア事業場で勤務を行う日事業場で勤務を行う日のタイムカードの打刻をみると、被災労働者は、概ね8時45分から8時55分頃に出勤していることから、所定始業時刻の9時から始業したものとして算定した。

イ事業場に出勤した後に出張した日出張先に直行せず、事業場に出勤した後に営業先に出張している日について、代表者及び同僚労働者に確認したところ、被災労働者は、事業場に出勤し、資料の作成、カタログの補充等営業に必要な用務を済ませた後に、出張に出ていたと申述していることから、事業場に出勤した後に出張に出ている日は、顧客とのアポイントメントの時間に間に合うよう所定始業時刻前に出勤し、営業活動に伴う業務を行った後に出張に出るものであることから、タイムカードを打刻した時刻から労働時間と算定した。

ウ出張から事業場に戻ってから勤務を終えた日出張先から直帰することが認められていたが、出張後事業場に戻っている日について、代表者及び同僚労働者に確認したところ、被災労働者は、事業場に戻り営業日報、出張精算書、カタログ作成、カタログの補充等を行っていたことから、タイムカードを打刻した時刻までを労働時間と算定した。

(3)被災労働者は、週のほとんどを事業場から貸与された社用車を使用して、自らの担当エリア(関東、北陸、東海地域)の取引先に対する営業活動を行っていた。

取引先等への移動時間については、代表者の申述より、

①約40ページにわたる医療機器のカタログや説明資料等、営業で使用する資料を入れた鞄を2つ常備し、それを常に携行しなければならなかったこと

②大量の資料を携行するため、社用車で客先に訪問するように指示されていたこと

③出張は専ら単独で行い、自ら社用車の運転を行っていたこと

④営業日報や経費精算書、領収証(ガソリン代を含む)、旅券、ETCの記録は、原則として1週間に1回、事業場に提出することになっており、原則として、どこでどのような営業活動を行っていたのかは事後的に具体的に把握されていたことが確認された。

以上のことから、社用車による移動時間は、使用者に業務に従事するために必要な移動を命じられ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていなかったものと認められることから、労働時間に該当すると判断した。

(4)被災労働者には事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用されていたが、被災労働者の労働実態を確認したところ、

  1. 事業場外で行う業務は、関東、北陸、東海地域にある取引先へ社用車を使用しての営業活動であり、専ら被災労働者1名で取引先を訪問していたこと

 

②毎週月曜日に営業会議を行い、前週の営業報告、今週のおおむねの営業予定について、報告、情報共有等を行っていたこと

  1. 毎週月曜日に営業日報や経費精算書、領収証(ガソリン代を含む)、旅券、ETCの記録を提出しており、被災労働者がどのような営業活動を行ったか事後的に具体的に把握していたこと

 

④事業場外労働においては、営業活動の状況や方針など業務の遂行について、上司に電話やメール、SNS等で報告し、具体的な業務指示や相互に業務連絡を受けていたことが確認された。

以上により、事業場外で労働する場合であっても、使用者の具体的な指揮命令の下で業務を行っていたことから、労働時間を算定することが困難であった状況は認められず、事業場外労働に関するみなし労働時間制を適用することは妥当ではないと判断した。

(5)事業場外で業務に従事し、上記(1)から(4)によってもなお、労働時間の算定が困難な場合については、就業規則に規定されている所定労働時間(9時から18時までの8時間、休憩1時間)労働したものと算定した。

2個別判断

(1)運転時間について発症前6か月間の社用車の使用状況、出張の状況、ETCの入出記録等をもとに労働時間を算定した。

 

取引先からインターチェンジ(以下「IC」という。)まで、自宅や宿泊ホテルからICまで、事業場から取引先まで、自宅や宿泊ホテルから取引先まで等の相互間の移動時間は、インターネットで当該移動時間を検索し、想定される時間を基に算定した。

高速道路走行中は、ICに入った時間からICを出るまでの時間により算定した。

なお、IC間の移動時間が、インターネットの検索で想定される時間より長い場合であっても、事故や渋滞等の可能性があることを考慮して、労働時間から控除しないで算定した。

(2)営業先での労働時間について営業先での労働時間は、代表者、同僚労働者からの申述を基に、1か所あたり1時間で算定した。

(3)自宅や宿泊ホテルでの労働時間について代表者の申述によると、出張に要した費用を精算するため、毎週月曜日に経理に提出する月報、出張精算書、営業日報を作成する必要があったこと、また、新しいカタログを作成するように指示されていたことが確認されている。

代表者の申述より、多くの労働日において、直行直帰やホテルに宿泊するような勤務体系であるため、これらの作業を事業場内のみならず、自宅や出張先ホテルで行うことが当然に予定されていたことから、自宅や宿泊先ホテル等でパソコンの操作を行っている時間は、労働時間に該当すると判断した。

なお、自宅や宿泊先ホテル等でのパソコンの使用時間は、ログオン、ログオフの時間をそのまま採用するのではなく、その間にファイルの更新やメールの送信が行われ、時間的連続性を保っていて作業を行っていると評価できる場合に労働時間として算定した。

(4)アメリカ出張について令和2年2月9日から同月15日(令和2年2月9日及び同月15日は休日の移動日)にかけてアメリカに出張した。

これは、4年に1回行われている医療機器の展示会への出張で、展示会への参加以外にも工場見学等を兼ねた研修を目的としているものだった。

アメリカ出張については、代表者、同僚労働者の申述より、「アメリカツアー行程表」に基づき行動していたことが確認されたため、アメリカツアー行程表により労働時間を算定した。

なお、令和2年2月9日及び同月15日は、日本とアメリカ間を休日に移動したものであるが、移動中に物品の監視等使用者からの別段の指示はなく、また、移動時間は自由に過ごすことができるものであったため、アメリカ出張における日本とアメリカの移動時間は、労働時間とは評価しない。

(5)休憩について同僚労働者の申述より、おおむね休憩は取得できたと判断されることから、就業規則に規定されているとおり1時間休憩したと算定した。

 

労災申請をあきらめずに申請を進めていきたいと考えています。

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