長時間労働の脳梗塞で労災保険認定事例 社会保険労務士法人愛知労務

長時間労働の脳梗塞で労災保険認定事例

文責 社会保険労務士 宮本 麻由美 2020.07.20

長時間労働による脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などによる脳疾患にかかった方の労災保険申請の認定事例です。

皆様のご家族がそのような事態が起こった時に参考にしていただければと思います。

認定事例の目次

長時間労働の脳梗塞で労災保険 後遺障害12級認定事例

長時間労働による脳出血で労災1級認定事例

長時間労働の脳梗塞で労災保険 後遺障害12級認定事例

長時間労働による脳疾患で労災保険認定事例の一部をご案内させて頂きます。

H様 40歳代 男性 

H様 シフトによる深夜労働を含む1月80時間超えの長時間労働で、脳梗塞を発症しました。

この方は、幸いにも自宅に帰り、自分ですぐに身体の異常に気付きました。

直ぐに救急車を呼んで、病院に搬送されました。病院に3日入院し、10日後には会社復帰されました。

病院には、定期的に通院していましたが、発病から1年経過しても体調が回復せずに、会社を退職することになりました。

この時点で 弁護士事務所を通じて、当事務所(社会保険労務士法人愛知労務)に相談に来られました。

H様の症状は、右手全体に痺れが残っており、物を掴むときに強く意識しないと手が開かないのと、右側の口の周りの痺れがあり、ご飯を食べたり、飲み物がこぼれたりするようです。右側になんらかの痺れ等の障害が残りました。

どのようにしたら 長時間労働による労災保険が認定され、労災の障害申請を是非したい旨の相談でした。

現在の治療は健康保険での治療をなされていますので、退職後の傷病手当金の申請と同時に、労災保険の休業補償給付の申請をすることにしました。

病院の主治医の先生に、労災の休業補償給付支給請求書の証明をお願いし、労働基準監督署に、休業補償給付支給請求書と共に、長時間残業等の証明と今までの経緯の主張を書面にして提出しました。かなりの添付書類を提出しました。

このような案件は、管轄の労働基準監督署が担当しなく、労働局管轄での対応になります。労災保険の認定にはかなりの時間がかかります。本人へのヒヤリング・会社へのヒヤリング・病院の医療調査などを労働局でおこなわれます。

提出して約4か月経過後、労災保険の休業補償給付が認定されました。

H様は右半分に痺れの障害が残っていますので、今後は障害補償給付の申請をすることにしました。

労働基準監督署に提出するにあたり、H様の症状をしっかりヒヤリングし、「身体の状態にかかる申立書」を作成・労災の診断書作成にあたり、病院の主治医の先生宛に、H様の現在の状況を記入して頂く書類を作成しました。

これらの書類を労働基準監督署に提出しました。

労働基準監督署で、障害認定日に本人に現在の身体の状況などのヒヤリングが行われました。当事務所労災専門社労士が同行しました。

障害認定3か月後 労働基準監督署から障害等級決定通知書がH様に送付されました。後遺障害12級が決定されました。

H様は労災の障害認定12級が取れたことにかなり喜ばれていました。

H様は健康保険での治療と傷病手当金の給付を受給されていましたので、全国健康保険協会に連絡を取り、労災保険の切り替え作業をしました。

この事務作業はかなり大変です。各病院に証明の取り付けが特に大変な仕事ですが、お客様の生活を守るために、傷病手当金給付申請と労災保険休業補償給付申請を同時にすることが一番重要になります。

当事務所はお客様第一を考えています。

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長時間労働による脳出血で労災1級認定事例

長時間労働による脳疾患で労災保険認定事例の一部をご案内させて頂きます。

A様 40歳代男性

A様は、仕事を終えて自宅に戻って来て、体調不良を感じ救急車を要請しました。

救急外来の病院に搬送された時は、意識レベルが悪くなっており、呼吸機能や心拍数が低下していました。

頭部CTを撮影したところ右脳内出血が認められ、緊急血栓除去手術が行われました。

脳出血で倒れてから4か月程経ってから、弁護士先生の紹介でA様のご家族と面談しました。

愛知労務としては、労災保険の申請をして認定が受けれるかという相談内容でした。

病院の治療は、健康保険を使っており、休業補償については、傷病手当金の申請をA様のご家族がしておりました。

労災保険の申請業務の依頼をいただきましたので、出勤状況が分かる資料をA様のご家族の方に探してもらいました。

脳出血で倒れた月の3か月前の出勤簿が1枚出てきました。

労働基準監督署から、脳疾患に係る業務上外の判断のための「申立書」をもらい、A様のご家族の方にヒヤリングをさせていただき完成させました。

発症する前に、脳・心臓疾患やそのほかの病気で治療を受けたことがありますか?という欄は該当する内容はありませんでした。

また普段の生活でお酒やビール等のアルコール類を飲んでいたかの欄は、飲んでいなかったという記載となりました。

後は、たばこの喫煙もA様はありませんでした。

申立書の中には、通常の勤務時刻と帰宅時刻を記入する欄がありましたので、A様のご家族の方に聞いて記入をしました。

労働基準監督署への書類の提出は、いつも通り休業補償給付支給申請書を記入し、最初の病院で証明をもらいました。1か月位で他の病院に転医していましたが、労災の認定がもらえたら後日、提出ということにしました。

休業補償給付支給申請書は、病院の証明をもらってから、お勤め先の会社の証明をもらうように手配しましたが、残念ながら証明はもらえませんでした。

会社の証明なしで、申立書、休業補償給付支給申請書、1か月だけの出勤簿を付けて労働基準監督署に提出となりました。

労災保険が認定されるかどうかは、提出した「申立書」について、労働基準監督署の担当官が本人又はご家族の方にヒヤリングをします。

その後、勤務先の会社で実態調査をして決定していくという流れになっています。

ですので、必要書類を用意するのに1か月位(病院の証明をもらうのに時間がかかります)、労働基準監督署の調査におおむね3か月位かかります。

労災保険の休業補償は、それまでの間出ませんので、健康保険の傷病手当金の申請をしてしのいでいく必要があります。

労災保険の認定がもらえますと、傷病手当金は全国健康保険協会に返金する手続きが発生します。

ご依頼いただいた場合は、この手続きも愛知労務が代行していきます。

今回は、1か月分の出勤簿しか証拠書類はありませんでしたが、申請して4か月後に労災認定となりました。

A様は、6か月少し立った時点で症状固定となり、障害補償給付支給請求書を出すことになりました。

労災の認定が出る前に、症状固定となりました。

障害申請の結果は、1級となり障害補償年金が給付基礎日額の 日分支給となりました。

障害特別支給金は、定額で342万円の支給もありました。

長時間労働による脳疾患は、重い障害が残る場合が多いです。

ご家族の方が注意して、長時間労働にならないように、お勤め先の会社に事前に相談するなどして対策を取ることを切に願います。

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