脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の労災保険申請 社会保険労務士法人愛知労務

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の労災保険申請

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2026.04.03

過重労働による脳疾患

お勤め中のご主人がもし過重労働などで脳梗塞、脳出血、くも膜下出血で倒れて、会社を休むようになったらどうしたらいいでしょうか?

病院に入院し、治療を受けるようになったら大変ですね。

病院の治療費は、健康保険なのか労災保険なのか迷われると思います。

まずは会社の総務担当者にお話しして、健康保険の傷病手当金の手続きについて説明を受けてください。

傷病手当金

欠勤4日目から傷病手当金の給付が出ることになっています

脳梗塞での労災申請の流れは下記のようになっています。

業務による明らかな負荷や長時間労働により、脳梗塞などの脳疾患が発症した場合、病院に入院したりして治療を受けることになります。

治療を受けている間、働けない状態となれば、健康保険の「傷病手当金」の申請をすることになります。

というのは、労災の認定がおりるのに時間がかかるからです。

原則、6か月となっていますが、8か月~1年かかる場合もあります。

生活費の補償のためにも傷病手当金の申請をしながら、労災保険の申請の準備をしていきます。

傷病手当金は、会社の給与の締め切り単位で毎月請求をしていきます。

最長通算して1年6か月給付があります。

脳梗塞で入院した人は、急性期からリハビリ期に入ると、転医などしてリハビリ専門病院でリハビリをしていきます。

言葉の障害や視野の障害、身体の麻痺の障害などが出てきますが、リハビリを一生懸命やって早く社会に復帰ができることを祈っています。

最初の目標は、リハビリ病院から在宅でのリハビリをすることになります。

リハビリ病院も長期入院はできないことになっています。

過重労働(過労)による脳疾患障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、高血圧性脳症)で本当に困っている方、悩んでいる方の相談に応じています

労災申請するためには、労災保険の給付申請をする必要があります。

どの申請書をどこに提出すればいいか分からない場合は、労災申請を専門にしている社会保険労務士に相談することです。

労災認定基準に詳しい社会保険労務士が一番適任だと思います。

失語症について

労働基準監督署の認定に不満がある場合は審査請求ができます。

令和3年9月14日付け基発第0914第1号で脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました。

長時間の過重労働

労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化

発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症との関連性は強いという水準には至らないがこれに近い時間外労働+一定の労働時間以外の負荷がある場合は、業務との発症との関連が強いと評価することを明示されました。

今までよりも、幅広く認定される可能性があります。

但し、労働時間と違って数字で認定される訳ではないので、なるべく負荷要因と思われるものをご家族と一緒にヒヤリングをしながら申立書を作成していきます。

申立書 

労働時間以外の負荷要因を見直し

・勤務間インターバルが短い勤務

・身体的負荷を伴う業務など

上記2つが評価対象として追加されました。

短期間の過重業務・異常な出来事

業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化

「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度な長時間労働が認められる場合」等が例示されました。

対象疾病に追加

認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されました。

脳・心臓疾患の認定基準の概要

1 基本的な考え方

(1)脳・心臓疾患は、血管病変等が長い年月の生活の営みの中で、形成、進行及び増悪するといった自然経過をたどり発症する。

(2)しかしながら、業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合がある。

(3)脳・心脳疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、発症に近接した時期における負荷のほか、長期間にわたる疲労の蓄積も考慮することとした。

(4)また、業務の過重性の評価に当たっては、労働時間、勤務形態、作業環境、精神的緊張の状態等を具体的かつ客観的に把握、検討し、総合的に判断する必要がある。

脳・心臓疾患の対象疾病は下記のものとなります。

各々の疾病について解説しました。

詳細は、リンクをクリックして確認をしてみてください。


(1) 脳血管疾患

脳内出血(脳出血)

くも膜下出血

脳梗塞

エ 高血圧性脳症

(2) 虚血性心疾患等

心筋梗塞

狭心症

ウ 心停止(心臓性突然死を含む。)心室細動心房細動(脳梗塞の原因になる)

大動脈乖離

重篤な心不全

不整脈から心房細動や心室細動になった場合 期外収縮

脳・心臓疾患の認定要件

認定要件

次の(1)、(2)又は(3)の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、労基則別表第一の二第9九号に該当する疾病として取り扱う。

(1) 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと(異常な出来事)。

(2) 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと(短期間の過重業務)。

(3) 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと(長期間の過重業務)。

脳・心臓疾患の認定要件

負荷の程度を評価する視点

高次脳機能障害の場合

労働時間の把握方法

過重労働による脳梗塞、脳出血、くも膜下出血による場合は、時間外労働がどのくらいあったかが重要です。

労働時間の管理は、タイムカードなどで会社が把握しています。

ところが、タイムカードでは確認できないサービス残業などもあります。

その場合の労働時間の把握方法も書いてみました。

トラック運転手の方は、タコグラフが備え付けてあります。

手待ち時間なども労働時間とカウントされる場合がありますので、業務の実態を申立書などで記載していきましょう。

手待ち時間について 

申請者側で用意できるものがあれば、そろえていきましょう。

用意できない場合は、労働基準監督署に申立をしていきましょう。

参考までにどのようなものが考えれるか列挙してみました。

1 タイムカード

2 ICカード、IDカード

3 パソコンのログデータ

ログイン、ログアウトの時間

4 メールやチャット、LINEなどの送信記録

5 タコグラフ

6 グループウェアの記録

7 会社や店舗の警備記録、入退記録

8 日報

9 本人の手帳

障害厚生年金の請求

障害年金の請求で、初診日から起算して1年6か月を経過する前に障害認定日として取り扱うものがあります。

脳血管障害による機能障害が対象の疾病となっています。

初診日から6か月経過した日以降(固定と認められた場合)となっています。

傷病手当金は1年6か月もらえますが、同時に受給となった場合は、併給調整されます。

しかし、障害年金の受給開始(実際に年金の給付がある)は、申請してから4か月ぐらいかかってしまいます。

その間の生活費に困ってしまうので、主治医の先生が固定と言われたら、申請の準備に取り掛かりたいですね。

治療を終了ならば、傷病手当金が止まってしまう可能性もあります。

関連ページ:

過重労働の脳梗塞での労災申請の手続き

認定事例

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