長時間労働の脳梗塞で労災保険申請の流れ 社会保険労務士法人愛知労務

脳梗塞での労災保険申請の流れ

文責 社会保険労務士 宮本 麻由美 2024.06.16

業務による明らかな負荷や長時間労働により、脳疾患が発症した場合の手続きの流れは、下記のようになります。

まずは、ご本人が脳疾患で病院に入院したり、通院したりして治療を受けていきます。

ご家族の心労も大変なものになってきます。

傷病手当金

そして、治療を受けている間、働けない状態であれば、健康保険の「傷病手当金」の請求をするようにしてください。

傷病手当金は、会社の総務担当者から「療養担当者の意見書」の用紙をもらっていただき、病院の先生に証明をしてもらってください。

「被保険者記入用」の用紙は、本人の氏名、住所等を記入し、振込先指定口座は銀行情報を記入してください。

健康保険の傷病手当金は、「業務外の事由による病気のための療養中であること」という条件がありますが、今の時点では、労災保険の認定が出ていませんので、請求が可能です。

労災認定が出るのに時間がかかりますので、傷病手当金の申請は1か月単位でこまめに申請をしていきましょう。

労災保険の認定が取れた時点で、傷病手当金を返還していくことになります。

休業補償給付

今度は、労災保険の休業補償給付の申請をしていきます。

会社の証明欄と病院の先生の証明欄があります。

もし会社の証明欄を、総務担当者が証明を拒んだ場合は、その経緯を記載した書面を添付して労働基準監督署に提出します。

病院の先生の証明欄は、直近の休業した日までを証明してもらうことになります。

申立書

それと併せて「申立書」を記入して提出をします。

用紙は、労働基準監督署からもらうことになります。

今回の脳疾患を発症する前の健康状態や嗜好について記入します。

脳疾患やその他の病気で治療を受けたことがあるか、薬は服用していたか、お酒やビール等のアルコール類を飲んでいたか、タバコを吸っていたかなどを記入します。

発症日からおおむね6か月前までの業務について、精神的、身体的に負荷のかかる状況があったか、時間外労働はどのくらいあったかも記載していきます。

併せて、発症する前の6か月間に他の会社で働いたことがあるかも記載していきます。

令和2年9月1日以降については、仕事での負荷(労働時間やストレス等)は、複数の事業場で働いていた方については、複数の会社の仕事での負荷を総合的に評価することになります。

同意書

今までの治療歴などを労働基準監督署の担当官が、病院等に照会するために、同意書の提出が求められます。

併せて、本人の健康保険被保険者証のコピーを添付します。

聴取調査

本人またはご家族の聴取が、労災認定の要となります。

基本的には、本人またはご家族からの聴取が最優先で行われ、その後、その内容の裏付けをとる形で、会社内におけるその方の就労実態をよく知っている方からの聴取が行われることになります。

①発症時の身体の状況

②前駆症状があったか

③異常な出来事があったか

④通常の業務内容はどんなものか(所定労働時間と所定業務内容)

⑤その他(省略します)

以上の様な調査を受けてから、労働基準監督署の担当者が、会社などに確認の聴取を行っていきます。

専門医などの意見を聞いて、最終的に労働基準監督署長が労災認定の可否を決定します。

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