長時間労働で心室細動 社会保険労務士法人愛知労務

心室細動(虚血性心疾患等)

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.02

過重労働による心室細動

不整脈の中でもっとも怖いのは、心室細動です。

心室細動が起きると、数分で死に至ることもあります。

突然倒れて、そのまま死亡してしまう突然死のほとんどは、この心室細動によるものです。

心室細動は、心室全体がけいれんを起こしてブルブル震えたような状態になり、血液を送り出すポンプの役割を果たせなくなります。

心室細動を起こした心室内は異常な電気信号が多発し、渦のように回り続けています。

心室細動が自然に収まることはなく、数分以内に電気ショックを与えて、けいれんを止める処置をしなければなりません。

心室細動は、いつ、どこで起こるかわかりませんので、AED(自動体外式除細動器)の活用が重要です。

心室細動の多くは、心筋症や心筋梗塞など、心臓病のある人に起こります。

突然死につながるおそれのある心臓の病気

心臓を養う冠動脈の流れが悪くなったり、詰まったりして起きる狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患は、心臓突然死の最大の原因です。

このほか、心筋そのものに異常が生じる心筋症も突然死につながることがあります。

心臓に器質的な病気がある人は、心房細動のようにただちに危険はない不整脈だけでなく、心室細動や心室頻脈などの危険な不整脈が起きるリスクも高くなります。

心筋症とは

心臓のポンプ機能は、強靭な心筋の収縮によってつくりだされています。

その心筋に異常が起き、心臓の働きが低下してしまう病気が心筋症です。

心筋症には、いくつかのタイプがありますが、いずれも危険な不整脈が起きやすくなります。

・肥大型心筋症

高血圧や弁膜症などはないのに、心筋が異常に厚くなる病気です。

遺伝子変異によるものと考えられています。

左右の心室を隔てる壁が厚くなると、突然死につながりやすい。

・拡張型心筋症

心筋の収縮が悪くなり、とくに左心室に血液が溜まりやすくなり、左心室が広がっていきます。

危険な不整脈が起きやすくなるだけでなく、心不全にもなりやすい。

原因ははっきりしないが、中高年男性に多く見られます。

遺伝性の危険な不整脈が原因となることも

まれに心臓病がまったくないのに心室細動を起こすことがあります。

これを突発性心室細動といい、ブルガダ症候群、QT延長症候群など、遺伝子異常に要因があるものが知られています。

突然死の現況

日本では、1年間に30万人以上の人が心臓の病気が原因で救急搬送され、そのうち2万人以上の方は、医師の診察を受ける前に命を落としています。

急に発症した病気が原因で、症状が現れてから間もなく意識を失い、そのまま亡くなることを「突然死」といいます。

その半数以上は心臓が原因の心臓突然死で、死の直前、危険な不整脈が起きています。

原因となる病気は様々ですが、最終的には心室細動や心室頻脈によって血液循環が止まってしまい、絶命に至ります。


 

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