じん肺健康診断の種類と対象労働者
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.08.12
じん肺法に基づいて事業者が行う健康診断は、①就業時健康診断、②定期健康診断、③定期外健康診断、④離職時健康診断の4種類です。
それぞれの健康診断について
就業時健康診断
じん肺法第7条 事業者は、新たに常時粉じん作業に従事することとなつた労働者(当該作業に従事することとなつた日前1年以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理2又は管理3イと決定された労働者その他厚生労働省令で定める労働者を除く。)に対して、その就業の際、じん肺健康診断を行わなければならない。
この場合において、当該じん肺健康診断は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を省略することができる。
定期健康診断
じん肺法施行規則第8条 事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに一回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
1.常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。)・・・3年
2.常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理2又は管理3であるもの・・・1年
3.常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。)・・・3年
4.常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理3である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。)・・・1年
定期外健康診断
じん肺法施行規則第9条の1 事業者は、次の各号の場合には、当該労働者に対して、遅滞なく、じん肺健康診断を行わなければならない。
1.常時粉じん作業に従事する労働者(じん肺管理区分が管理2、管理3又は管理4と決定された労働者を除く。)
が、労働安全衛生法第66条第1項又は第2項の健康診断において、じん肺の所見があり、又はじん肺にかかつている疑いがあると診断されたとき。
2.合併症により1年を超えて療養のため休業した労働者が、医師により療養のため休業を要しなくなつたと診断されたとき。
3.前2号に掲げる場合のほか、厚生労働省令で定めるとき。
離職時健康診断
じん肺法施行規則第9条の2 事業者は、次の各号に掲げる労働者で、離職の日まで引き続き厚生労働省令で定める期間を超えて使用していたものが、当該離職の際にじん肺健康診断を行うように求めたときは、当該労働者に対して、じん肺健康診断を行わなければならない。
ただし、当該労働者が直前にじん肺健康診断を受けた日から当該離職の日までの期間が、次の各号に掲げる労働者ごとに、それぞれ当該各号に掲げる期間に満たないときは、この限りでない。
1.常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。)・・・1年6月
2.常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理2又は管理3であるもの・・・6月
3.常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2又は管理3である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。)・・・6月
じん肺法施行規則による検査詳細
(胸部に関する臨床検査)
第四条 じん肺法第三条第一項第二号の胸部に関する臨床検査は、次に掲げる調査及び検査によつて行うものとする。
一 既往歴の調査
二 胸部の自覚症状及び他覚所見の有無の検査
(肺機能検査)
第五条 じん肺法第三条第一項第二号の肺機能検査は、次に掲げる検査によつて行うものとする。
一 スパイロメトリー及びフローボリューム曲線による検査
二 動脈血ガスを分析する検査
2 前項第二号の検査は、次に掲げる者について行う。
一 前項第一号の検査又は前条の検査の結果、じん肺による著しい肺機能の障害がある疑いがあると診断された者(次号に掲げる者を除く。)
二 エックス線写真の像が第三型又は第四型(じん肺による大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一以下のものに限る。)と認められる者
(結核精密検査)
第六条 じん肺法第三条第一項第三号の結核精密検査は、次に掲げる検査によつて行うものとする。この場合において、医師が必要でないと認める一部の検査は省略することができる。
一 結核菌検査
二 エックス線特殊撮影による検査
三 赤血球沈降速度検査
四 ツベルクリン反応検査
(肺結核以外の合併症に関する検査)
第七条 じん肺法第三条第一項第三号の厚生労働省令で定める検査は、次に掲げる検査のうち医師が必要であると認めるものとする。
一 結核菌検査
二 たんに関する検査
三 エックス線特殊撮影による検査
(肺機能検査の免除)
第八条 じん肺法第三条第二項ただし書の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 第六条の検査の結果、肺結核にかかつていると診断された者
二 じん肺法第三条第一項第一号の調査及び検査、第四条の検査又は前条の検査の結果、じん肺の所見があり、かつ、第一条第二号から第六号までに掲げる疾病にかかつていると診断された者
一 肺結核
二 結核性胸膜炎
三 続発性気管支炎
四 続発性気管支拡張症
五 続発性気胸
六 原発性肺がん