じん肺の労災認定の基本的要件
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.08.12
じん肺の労災申請のポイントを解説してみます。
(ポイント)
業務上の疾病であるとして請求があると、粉じんばく露の事実の確認と業務上疾病の診断によって判断されます。
業務上疾病を発病するに足る有害要因に、業務に従事することによりばく露していること
当該有害要因によって発病する業務上疾病にり患していること
労災認定申請手続き(管理区分4の者および管理区分未決で合併症り患者の場合)
じん肺管理区分が管理区分4と診断された者、およびこれまでに管理区分の決定を受けていない者で、合併症にり患していると診断された者による労災保険の給付の申請は以下のようになります。
①現在も粉じん職場の労働者の場合、ないしは粉じん作業からは離れたが、同じ会社で勤務している労働者の場合
〇事業者は、胸部単純エックス線写真およびじん肺健康診断の結果を証明する書面等を、都道府県労働局長へ提出して認定を受けます。
〇労働者は、いつでも、都道府県労働局長に労災認定の申請をすることができます(随時申請)
その場合、エックス線写真および「じん肺健康診断結果証明書」(様式第3号)、粉じん職歴を証明する書面(「じん肺管理区分決定申請書」)(様式第6号)を添えなければならない。
②現在は粉じん職場を退職している元労働者の場合
〇労働者は、いつでも、都道府県労働局長に労災認定の申請をすることができます。(随時申請)
その場合、エックス線写真および「じん肺健康診断結果証明書」(様式第3号)、粉じん職歴を証明する書面(「じん肺管理区分決定申請書」)(様式第6号)、あるいは「在職証明書」を添えなければならない。
診断した医療機関で、これらの資料がなかったり、正確な指導が困難な場合は、エックス線写真および「じん肺健康診断結果証明書」(様式第3号)を退職した会社から入手し、申請をすることになります。
在職証明書
勤務していた会社が廃止等されたため、会社からの粉じん職場の在職証明を得られない場合は、当時の上司または同僚、部下であった者の証明を得て、在職証明書を作成し、じん肺管理区分管理区分決定申請書に代えることができます。
これも作成できない場合は、理由を添えて、労働局に申立書を提出することになります。
また在職を証明するその他の手段として、年金事務所で「社会保険」の加入記録を打ち出してもらう方法もあります。
③その他の場合
〇労働者が既に死亡、または重篤な疾病にり患しているなどにより、随時申請を行うことが不可能もしくは著しく困難な者については、じん肺の進展の程度の判断に必要な資料等を可能な範囲で収集し、地方じん肺検査医あるいは労災医員の意見に基づいて、業務上であるかどうかが判断されます。
〇事業主として、労働者または労働者災害補償保険法に規定する特別加入者として粉じん作業に従事した機関以外の粉じんばく露期間を有する者の労災認定は、以下の点に基づいて取り扱うことになっています。
a)吸った粉じんの種類に明らかな差異が認められないこと
b)粉じん濃度に明らかな差異が認められないこと
c)労働者としての粉じん作業従事帰化案が、事業主としての粉じん作業従事機関より、明らかに長いと認められること(明らかとは3年以上の差を有する場合をいいます)
労災認定申請手続き(管理区分2ないし管理区分3で合併症り患者の場合)
じん肺管理区分が管理区分2ないし3の決定を受けている者で、合併症にり患していると診断された者による労災保険の給付の申請は以下のようになります。
①現在も粉じん職場の労働者の場合、ないしは粉じん作業からは離れたが、同じ会社で勤務している労働者の場合
〇胸部単純エックス線写真およびじん肺健康診断の結果を証明する書面等を、都道府県労働局長へ提出して認定を受けます。
②現在は粉じん職場を退職している元労働者の場合
〇労働者は、いつでも、都道府県労働局長に労災認定の申請をすることができます。(随時申請)
その場合、エックス線写真および「じん肺健康診断結果証明書」(様式第3号)、粉じん職歴を証明する書面(「じん肺管理区分決定申請書」)(様式第6号)、あるいは「在職証明書」を添えなければならない。