時間外労働の上限について
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.07.31
36協定の時間外労働の上限について解説します。
時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定されました。
さらに、臨時的な特別な事情がある場合においても上回ることができない上限が設けられました。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は、月42時間・年320時間)となり、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることができません。
臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。
①時間外労働が年720時間以内
②時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
③時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
④時間外労働が月45時間を超えることができる(1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間)のは、年6か月が限度
上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
特別条項の有無に関わらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内にしなければなりません。
上限規制の適用が猶予・除外となる事業・業務があります。
以下の事業・業務については、上限規制の適用が5年間猶予されます。(2024年3月31日まで)
建設事業・・・猶予後の取扱い(2024年4月1日以降)
災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。
災害の復旧・復興の事業に関しては、時間外労働と休日労働の合計について、
月100時間未満
2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。
自動車運転の業務・・・猶予後の取扱い(2024年4月1日以降)
特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となります。
時間外労働と休?労働の合計について、
月100時間未満
2~6か月平均80時間以内
とする規制は適用されません。
時間外労働が?45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。
医師・・・猶予後の取扱い(2024年4月1日以降)
具体的な上限時間は今後、省令で定めることとされています。
鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業・・・ 猶予期間中の取扱い(2024年3月31日まで)
時間外労働と休?労働の合計について、
月100時間未満
2月6か月平均80時間以内
とする規制は適用されません。
鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業・・・ 猶予後の取扱い(2024年4月1日以降)
上限規制がすべて適用されます。
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