仕事と治療の両立支援
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2024.10.14
がんの就労支援サイトをご覧いただきありがとうございます。
がんの治療が長引いてくると、健康保険の高額療養費を使っていても、抗がん剤の薬剤費の負担は相当なものになってきます。
抗がん剤の治療も何クールかやって効果が見えて来ないときは、違う薬剤を使って治療を試みてきます。
健康保険の傷病手当金の申請期間が過ぎると、生活費の補償は途切れてしまいます。
その時は、障害厚生年金の申請を検討することになります。
がんの治療は、手術ができない場合は、抗がん剤の治療が行われます。
がんにかかった義理の弟は、抗がん剤の治療を3週間を1サイクルとして何回も受けていました。
どうしても会社は休職となってしまいましたので、健康保険の傷病手当金を受給していました。
がんの就労支援
がん患者の約3人に1人は、20代から60代でがんに罹患し(※1)、仕事を持ちながら通院している方が多くいます。
私の義理の弟も60歳前にがんに罹患しました。
また、がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の19.8%、そのうち、初回治療までに退職・廃業した人は56.8%となっており(※2)、ご本人が診断時から治療と仕事の両立についても、気軽に相談できる体制づくりが求められます。
※1「平成29年 全国がん登録罹患数・率報告」(令和2年4月24日発行)
編集・国立がん研究センターがん対策情報センター/発行・厚生労働省健康局がん・疾病対策課
※2 厚生労働省委託事業「平成30年度患者体験調査報告書」(国立がん研究センターがん対策情報センター)
厚生労働省では、「第3期がん対策推進基本計画」(平成30年3月閣議決定)、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に基づき、労働関係部局と連携しながら、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを構築し、がんになっても生きがいを感じながら働き続けることができる社会づくりに取り組んでいます。
<取り組み>
がん患者・経験者の両立支援、就労支援を円滑に進めるために
○ がん患者が治療と仕事を両立しやすい環境整備(※3)
○ がん診療連携拠点病院等でがんと診断された時から相談できる環境整備
○ 離職しても再就職について専門的に相談できる環境整備(※4)
※3 治療と仕事の両立支援について(労働基準局)
※4 がん患者等就職支援対策事業(職業安定局首席職業指導官室)
健康診断
病院で医療を受けるとき
療養の給付
入院時食事療養費
入院時生活療養費
保険外併用療養費
療養費
訪問看護療養費
移送費
高額療養費
高額療養費
高額療養費の現物給付化(健康保険限度額適用認定証)
長期高額疾病についての負担軽減(健康保険特定疾病療養受療証)
70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費
高額介護合算療養費
高額医療費貸付制度
休業が発生する時の休業補償
傷病手当金(私傷病の時)
介護休業給付金(雇用保険)
休業補償給付(労災と認定された時)
年次有給休暇(労働基準法)
障害が残ったときに受ける年金
障害厚生年金
障害基礎年金
民間の生命保険等
医療保険
がん保険
就業不能保険
就業不能保険は、病気やケガで長期にわたり療養が必要となり、働けなくなってしまうことに備える保険です。
働けなくなる状態の定義については、生命保険各社で違いがありますのでよくご確認ください。
医療費控除
医療費控除
公的サービス等
子供の食事、ファミリーサポート
延長保育
介護保険
身元引受人について
身元保証人については、お願いできる方がいらっしゃらない場合は、遠慮なく医療機関の相談窓口に相談してみてください。
状況をお聞きしながら対応してくれる場合もあります。
主治医に確認すること
治療に関する時間的見込み
これから受ける治療の副作用が仕事にもたらす影響等
胃がんの手術全般についての説明文書(神奈川県立がんセンター 消化器外科(胃食道外科)2017 年 5 月 19 日 第 5 版 )外部サイト
日本がん転移学会のがん転移Q&A外部サイト
治療にかかる費用について
費用について心配になるのは無理もないことです。
ひとりで思い悩まず、がん相談支援センターの窓口などに相談してみましょう。
勤務情報を主治医に提供する
職場復帰にあたってまずやるべきことは、自分がやっている仕事内容や勤務条件などを整理してみる必要があります。
口頭で主治医にお伝えするのもいいのですが、やっぱり書面で現状を整理してお伝えする方がいいでしょう。
自分で記入することが難しい人は、会社に総務の方に「労働条件通知書」などを交付してもらい、厚生労働省がガイドラインで用意している書式にご家族の方や専門の方にまとめてもらいましょう。
勤務情報を主治医に提供する際の様式例(厚生労働省提供書式 word)
そのまとめた書面を診察の際にお渡しして、医学的な観点から職場復帰の見通しを教えてもらうことが一番です。
会社に確認すること
就業規則はどうなっているか(休職期間、休職期間の給与)
私傷病休職
業務外の傷病により長期間就労できない場合で、一定期間の私傷病による連続欠勤を休職の要件とします。
休職期間
私傷病の休職期間は、勤続年数によって3カ月から3年の間で決められている例が多い。
例として、
勤続満1年未満の者・・・3か月
勤続満1年以上5年未満の者・・・6か月
勤続満5年以上10年未満の者・・・9か月
勤続満10年以上の者・・・12か月
休職期間が満了しても復職できないときは、原則として、休職期間満了の日をもって退職とする。
休職期間の給与
休職期間の給与は無給とする。
健康保険に加入している者については、傷病手当金の申請を会社がする。
時短制度、フレックス勤務制度の有無
辞めてしまうと失ってしまう権利
相談可能な産業保健スタッフの有無
上司や同僚に伝える工夫
職場に伝える範囲について
診断書
休職中にできること
定期的な会社への報告
復職に向けて
安全配慮義務について
働きながら治療を受けるとき
休職制度
勤務制度
退職となった時
転職活動
様々な専門家の活用
社会保険労務士
ファイナンシャルプランナー
新たな働き方の模索
新しい働き方を考える
就職支援窓口
病気により身体の状況が変化したときおよび生活費の支援が必要な時など
障害年金
身体障がい者手帳(厚生労働省)
生活福祉資金
生活保護(厚生労働省)
ファミリーサポートセンター事業
子供の学費