がんの障害認定基準
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.05
がんによる障害の程度は、次により認定します
認定基準
豊川・豊橋地区で相談を実施しています。
私の義理の弟が癌で亡くなりました。
その時、障害年金のお手伝いをするべく一生懸命勉強しました。
どうぞ、どんな些細なことでも結構ですのでご相談ください。
悪性新生物(がん)による障害については、次のとおりです。
障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
悪性新生物による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級と認定します。
日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に認定します。
また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定します。
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認定要領
① 悪性新生物(がん)は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々です。
② 悪性新生物(がん)の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等があります。
③ 悪性新生物(がん)による障害は、次のように区分します。
ア悪性新生物(がん)そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害
イ悪性新生物(がん)そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
ウ悪性新生物(がん)に対する治療の結果として起こる全身衰弱又は機能の障害
④ 悪性新生物(がん)による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりです。
一般状態区分表
区分 | 一般状態 |
---|---|
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、似注の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
⑤ 悪性新生物(がん)による障害の程度は、基本的には認定基準に掲げられている障害の状態を考慮するものですが、各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりです。
障害の程度
障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|
1級 | 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
3級 | 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
⑥ 悪性新生物(がん)そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、各節の認定要領により認定します。
⑦ 悪性新生物(がん)による障害の程度の認定例は、⑤に示したとおりですが、全身衰弱と機能障害とを区分して考えることは、悪性新生物(がん)という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定します。
⑧ 転移性悪性新生物(がん)は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められます。
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胃がん
胃がんにより胃を切除する手術を受けると、食べたものを溜めたり消化することができなくなります。食べたものがすぐに小腸へ落ちるダンピング症候群の状態になります。
ダンピング症候群には、食後の動悸やめまい、腹痛、下痢などの症状があり、日常生活に不自由を来します。一食の食事量を少なくし、一回に何度も食事をとる必要があります。
胃の切除手術を受けた後、日常生活に不自由を感じたり就業が困難だと感じるようになりましたら、障害年金3級の申請を視野に入れてください。
他の臓器へ転移した場合、1級、2級に該当する可能性があります。
膀胱がん
膀胱がんで膀胱を切除することになった場合、腹腔内膿瘍や腸閉塞といった合併症を引き起こすことがあります。
また、膀胱を切除するために膀胱の代わりとなる尿路変更術を行ったり、新膀胱造設術(小腸や大腸を用いて膀胱をつくります)を行う必要があります。
尿路変更術や新膀胱造設術が行われた場合は、3級となります。
尿路変更術に加え、放射線療法の後遺症で人工肛門を造った場合は2級となります。
また、膀胱がんが他の臓器に転移している場合は、2級以上となる可能性があります。
大腸がん
大腸がんが見つかって直腸を切除する手術がよく行われます。
その時に、縫合不全などが起こります。
また、お腹を開ける手術ですので、大腸のがんが臓器の表面の膜を突き破って腹腔内にこぼれ落ち、広がるかたちをとります。
がんが腹膜転移しますと、腸管を塞いで腸閉塞などが起きます。
また、肝不全なども引き起こします。
化学療法(抗がん剤治療)を行った場合、副作用として消化器障害、肝臓や腎臓の障害が引き起こされます。
化学療法(抗がん剤治療)をしている方は、副作用などが発生しましたら障害年金の申請をご検討ください。
大腸がんで障害年金の申請をお考えの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
食道がん
食道がんは、粘膜に発生し、次第に粘膜層から粘膜下層、筋層へと入り込み、さらに外膜を越えて肺や気管支、大動脈など周囲の臓器に達します。
食道がんは、リンパ節や肺、肝臓などへの転移が起きやすいことが知られています。
食道がんの手術は、体力を衰えさせて感染症などを招きやすく、傷口にはがんが増殖しやすく、後遺症や合併症も深刻になるようです。
食道がんの手術をされて、会社を退職されたり、通常の日常生活で介助が必要となれば、障害年金の申請を検討して下さい。
他の臓器へ転移した場合、1級、2級に該当する可能性があります。
また化学療法(抗がん剤治療)をしている方は、副作用などが発生しましたら障害年金の申請をご検討ください。
肝臓がん
肝臓がんは多くの場合、肝炎ウイルスにかかっている方です。
肝臓の手術をした場合、肝炎ウイルスにかかってなければ肝細胞は増殖して肝臓は再び元の大きさに戻ります。
しかし、肝炎ウイルスにかかっていると、手術後に肝細胞が増えることが出来ません。
そして、手術の結果、肝機能が低下します。
肝臓がんの手術をされて、会社を退職されたり、通常の日常生活で介助が必要となれば、障害年金の申請を検討して下さい。
他の臓器へ転移した場合、1級、2級に該当する可能性があります。
また化学療法(抗がん剤治療)をしている方は、副作用などが発生しましたら障害年金の申請をご検討ください。
喉頭がん
喉頭がんで喉頭を手術で摘出しますと、鼻や口を通して呼吸することが出来なくなります。
喉仏があった部位の少し下に穴を開けて、そこに気管の端をつなぎ、呼吸のための空気はそこから出入りすることになります。
また、声帯が切除されますので、失声状態となります。
手術後は、気道と食道が分離され、気管孔が形成されます。
気管が直接外気に接していますので、風呂などで気管から水滴が流入することがあります。
手術をして、言語機能を喪失した方は、障害年金2級に認定されます。
障害認定日は、喉頭全摘手術を受けた日となりますので、初診日より1年6か月前の時でも申請が出来ます。
喉頭がんの手術後、化学療法(抗がん剤治療)が行われていて、副作用が強い場合や全身の衰弱状態がひどい場合は、障害年金1級に認定される可能性があります。
前立腺がん
前立腺がんにより前立腺を切除する手術を受けると、後遺症として尿漏れや勃起不全ということが起こってきます。
前立腺がんの手術では前立腺を全て摘出しますが、前立腺というのは尿道を囲むように存在しているため、術後は尿道を締める力が弱くなってしまうからです。
前立腺の切除手術を受けた後、日常生活に不自由を感じたり就業が困難だと感じるようになりましたら、障害年金3級の申請を視野に入れてください。
他の臓器へ転移した場合、1級、2級に該当する可能性があります。
また化学療法(抗がん剤治療)をしている方は、副作用などが発生しましたら障害年金の申請をご検討ください。
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