障害年金申請でよく頂く質問について
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.11
障害年金の相談でよく聞かれる内容について
豊川・豊橋地区で障害年金の相談を実施しています。
どうぞ、どんな些細なことでも結構ですのでご相談ください。
目次(よく頂く質問)
障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか?
業務上の事故の場合、労災保険による障害の年金を受けられますが、厚生年金保険の障害厚生年金も受けられますか?
Q:質問内容1:障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか。
回答です:障害年金は、年金加入中の病気やケガによって生活や仕事などが制限されるような状態になった時に、請求することができます。
障害年金の対象となる病気やケガは、手足の障害、脊髄の障害などの外部障害のほか、精神障害やがん、心臓病、腎臓病などの内部障害も対象になります。
病気やケガの主なものは次のとおりです。
1.外部障害
眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
2.精神障害
統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
3.内部障害
呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど
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Q:質問内容2:障害基礎年金はどのようなときに受けられますか?
回答です:障害基礎年金は、次の1.または2.に該当する方が受けることができます。
国民年金に加入している間、または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で日本国内に住んでいる間に、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。)がある病気やケガがもとで一定以上の障害が残り、障害の年金を受けられる保険料の納付要件を満たしているとき。
20歳前(年金制度に加入していない期間)に初診日がある病気やケガがもとで一定以上の障害が残ったとき。(2.に該当する方は、保険料の納付要件はありません。)
※先天性の病気などにより20歳前から障害がある方はこちらもご覧ください。
受けられる年金には1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
先天性の病気などにより20歳前から障害がありますが、障害基礎年金を受けることができますか。
先天性の病気などにより20歳前から障害がある方は、次の1.または2.に該当し、かつ法令で定める障害の状態に該当する場合には障害基礎年金を受けることができます。
症状が出現し、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にある場合。
※出生直後に、あるいは乳幼児期の健康診断(6ヶ月~3歳時健診)、または養護学校、更生相談所等の各種検査のいずれかにおいて、医師または歯科医師の診断により、20歳までに障害が確認されている場合や、療育手帳等が交付されている場合を含みます。
症状が出現し、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日が、国民年金に加入している間または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で日本国内に住んでいる間にあり、かつ保険料の納付要件を満たしている場合。
受けられる年金には1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
Q:質問内容3:診断書作成にあたって注意する点はどのようなことでしょうか?
回答です:診断書は、いくつかの様式があり、病気やケガの種類によって様式が異なります。
ご注意してください。
診断書は、障害認定日(原則は、初診日から1年6か月経った日)から3か月以内の現症日のものを、そのとき診察を受けていた病院の先生に証明をしてもらいます。
ただし、20歳前障害基礎年金の診断書については、障害認定日前後3か月以内の現症日のものを、病院の先生に証明をしてもらいます。
年金請求に使用する診断書・関連書類(日本年金機構のページ)
遡及して請求をする場合:
年金請求日と障害認定日が1年以上離れている場合は、年金請求日以前3か月以内の現症日のものを一緒に提出します。
事後重症の場合:
請求日以前3か月以内の現症日のものを提出します。
Q:質問内容4:業務上の事故の場合、労災保険による障害の年金を受けられますが、厚生年金保険の障害厚生年金も受けられますか?
回答です:厚生年金保険に加入している間にかかった病気やケガがもとで一定以上の障害が残り、障害の年金を受けられる保険料の納付要件を満たしているときは、病気やケガの原因が業務上か否かにかかわらず、障害厚生年金を受けることができます。
通勤途中の事故の場合も同様です。
受けられる年金には、1級、2級、3級があり、障害の程度によって決められます。
ただし、障害厚生年金や障害基礎年金を受けられるときは、労災保険による障害年金の一部が止められます。
支給調整率
|
厚生年金保険及び国民年金 |
厚生年金保険 |
国民年金 |
---|---|---|---|
障害補償年金 傷害年金 |
障害厚生年金及び傷害基礎年金 0.73 | 障害厚生年金 0.83 | 障害基礎年金 0.88 |
遺族補償年金 遺族年金 |
遺族厚生年金及び遺族年金もしくは寡婦年金 0.80 | 遺族厚生年金 0.84 | 遺族基礎年金又は寡婦年金 0.88 |
傷疾補償年金 傷疾年金 休業補償給付 休業給付 |
障害厚生年金及び障害基礎年金 0.73 | 障害厚生年金 0.86 | 障害基礎年金 0.88 |
労災保険の年金給付と他の社会保険の年金給付との調整は、同一の事由に限り行われますので、老齢厚生年金、老齢基礎年金の受給権者に対して、このような減額調整は行われません。
業務上の事故の場合、労災保険による障害年金の申請は、症状が固定した時となります。
つまり治療が終了した時となります。
障害厚生年金の申請の場合は、初診日(事故に遭って病院で治療を開始した日)から1年6か月経過した日に申請となります。
業務上の事故の治療が終わっていなくても、障害厚生年金の申請が可能です。
障害厚生年金の等級が決定した時、その年金証書のコピー等を労働基準監督署に提出します。
まだ、休業補償給付をもらっている場合は、その休業補償給付にも支給調整率がかかります。
例えば、高次脳機能障害で障害厚生年金が2級になった場合、厚生年金保険及び国民年金の欄の「0.73」の支給調整率が休業補償給付にかかります。
休業補償給付が、日額10,000円もらっていれば、支給調整率がかかり日額7,300円になります。
年金事務所に提出する診断書は、請求日以前3か月以内の現症日のものを提出します。
Q:質問内容7:健康診断で異常が発見されました?
回答です:会社の健康診断で異常が発見されました。障害年金を申請しようと思います。
健康診断を受けた日を初診日とするかどうかは、日本年金機構の方で個別に判断されるようです。
健康診断日は、治療目的で病院を受診した日ではないので、原則として初診日としないことになるそうです。
ただし、初めて治療目的で病院を受診した日の証明が取れない場合などは、本人から健康診断日を初診日とする申し立てがあれば、健康診断日を初診日として扱ってくれます。
上記の場合は、もし健康診断日が初診日と認められても、障害認定日時点で病院に行っていなければ、最近の診断書(請求書提出日以前3か月以内)を添えて、障害厚生年金の事後重症請請を行うことになります。
Q:質問内容8:知的障害を持つ子は障害年金は申請できますか?
回答です:20歳前に初診がある病気の場合は、20歳前障害基礎年金の請求ができます。
知的障害の方の障害基礎年金の障害認定は、知能指数のみに着眼することなく日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。
子供さんが20歳になった時に、「20歳前障害基礎年金」の請求をすることになります。
診断書は20歳前後3か月以内のものを使うことになります。
早目に診断書を手に入れて、主治医の先生の予約を取っておくことをおすすめします。
療育手帳保持者は、受診状況等証明書(初診証明)が不要です。
療育手帳を早目に取得しておいてください。
尚、保険料納付要件は不問ですのでご安心ください。
Q:質問内容9:初診日と納付要件はどうか?
回答です:平成25年8月に会社を退職し、平成26年1月に脳梗塞を発症しました。その当時、年齢は55歳でした。今現在も、左半身が麻痺していて仕事につけません。
発症当時、会社は退職していたので、厚生年金保険に加入しておらず、また国民年金保険も手続きを忘れて未納にしていました。
平成25年8月より前の期間は、厚生年金保険に通算して15年加入していました。その他の期間は、自営業で国民年金保険料は未納にしていました。
この条件で保険料納付要件はどうでしょうか?
脳梗塞を発症した平成26年1月時点では、厚生年金に加入しておらず、国民年金保険も未納となっているので「初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと」の要件を満たしていません。
また、「初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること」の要件も満たしていません。
よって、保険料納付要件を満たしていないので、障害基礎年金、障害厚生年金の両方とも受給できません。
Q:質問内容10:初診日の証明方法は
回答です:障害年金における初診日証明方法(運用の柔軟化)は、下記のようになっています。
障害年金では、障害の原因となる傷病が発生する前に、年金保険料を一定期間納付していること等を支給要件としています。
たとえば、初診日の前々月までの直近1年間に保険料滞納がないなどです。
このため、傷病の初診日を特定するために、初診日証明書の提出を求めています。
初診日の確認
初診日の確認は、初診時の医療機関の証明により行います。
初診時の医療機関の証明が添付できない場合であっても、初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、本人が申し立てた日を初診日と確認することができます。
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