初診日とは(障害年金)
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.07
初診日とは
その障害の原因となった傷病について初めて医師又は歯科医師の診療(「診察、検査、処理、投薬、手術、その他の治療等」をいう。以下同じ。)を受けた日をいいます。
具体的には、次の日をいいます。
① 診察を受けた日
② 健康診断により異常が発見され、引き続き診療を受けた日
③ 同一傷病で転医した場合は、最初の医師の診療を受けた日
④ 大動脈(弁閉鎖)不全症については、心不全症が顕れ受診した日
⑤ 同一傷病であっても、旧症状が社会的に治療したと認められて場合は、再発後の診療日
⑥ 先天的な疾病の初診日
ア 先天性股関節脱臼については、完全脱臼したままで生育した場合は、厚生年金保険の期間外発病になります。それ以外のもので、厚生年金保険の被保険者期間内又は20歳以降になって変形性股関節症が発生した場合は、その日を発症日とし、それ以後に初めて医師の診察を受けた日が初診日になります。
イ 先天性心疾患や先天的疾病(遺伝病)である「網模色素変性症」は20歳前に治療を受ける程の状態になく成人後に病変が著しくなった場合は、20歳以後の病変が著しくなり始めて医師の治療を受けた日になります。
また、他の遺伝病についても、潜在的な発病が認められたとしても、20歳前に明らかな病状が見られず、成人後に病変が著しくなり始めて医師の診察を受けた場合の障害給付は、先天的疾病であることだけを捉えて「20歳前障害」とする機械的な取扱をせず、新年金制度の初診日主義により取り扱うこととされています。
⑦ 誤診等による場合の初診日
障害とその原因となった傷病との相当因果関係の詳細は後述するとして、例えば、患者が訴える自覚症状に基づく診療を行った医師又は歯科医師が、正確な傷病名で診断していない場合でも、その自覚的所見又は他覚的所見に基づき診療を行った場合は「初診日」とみなすことができます。しかし、障害の原因となった傷病とは明らかに別傷病で、その別傷病の自他覚的症状のみが訴えられていた場合は「初診日」とみなすことはできません。
前者の例としては、胃潰瘍と診断されたが実は「胃癌」であった場合とか、背中の痛みを訴えていた者に対して「背部痛」と診断したが他の医院で精密検査を受けたところ、その痛みの原因が「癌」の脊椎移転であることが判明した場合のように、初診日と推定できる日から「誤診」が判明するまでに、あまり日が経っていないなど、客観的にもその傷病の初診日とみなすことができる場合にのみ因果関係が認められます。
逆に、高熱で通院し医師の診断も「流行性感冒」でその診療を受けていたが、その後の精密検査等でベーチェット病と診断された場合のように、障害の原因となった傷病に対する診察も行われず、別傷病のみで診察を受けた場合のように、単に他の傷病で受診していた当時に障害の原因となった傷病が発病していたと推定されるだけでは「初診日」として認められません。
⑧ 他の傷病の治療途上で発見された疾病の初診日
別の傷病で診療を受けていた当時に発見(診察)されなかった疾病は、発見され引き続き診療を受けた日が初診日になります。なお、障害の原因となった傷病を診察した医師の単純な診断傷病名の誤りについては、同一の傷病であることが事後に確認できれば「初診日」として認められます。
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