障害年金の申請について
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.27
まずは「初診日」の確認と確定
豊川・豊橋・蒲郡・新城地区で相談を実施しています。
障害年金を請求するのに、最初にしなければならないのは初診日の確認です。
初診日によって、請求する制度が変わり受給権発生にかかわります。
障害基礎年金・障害厚生年金または障害基礎年金いずれかの請求となります。
病歴等の審査の過程で申出のあった初診日が変更になることもあります。
また初診日を基準に保険料を納めていたかも確認しますので、初診日はとても重要な日です。
その他に、初診日を証明する病院の証明が必要となります。
若い頃に初診があって、今かかっている病院と違う場合は、証明を入手するのに困難を伴います。
初診日が20歳前の場合は、またご相談ください。
まずは病気やけがでその症状が出て、初めてかかった病院やクリニックを思い出しましょう。
初診日を証明するために「受診状況証明書」を病院で証明をもらいます。
紹介状があってその病院に入った場合は、更に前の病院の証明を入手する必要が出てきます。
診察券や医療費の支払いの領収書などを探してみましょう。
以前、目の障害でお手伝いさせていただいた方は、会社に提出する「診断書」の原本を持っていました。
その日が初診で、障害厚生年金の申請ができたことがあります。
豊川市で障害厚生年金のご相談は、私たちにお任せください。
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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保険料納付要件の確認
保険料の納付要件は、初診日の前日の納付状況で確定し、初診日により必要な納付要件を確認することになります。
初診日以降に、未払の保険料を追納した分はカウントされません。
診断書などの書類を準備する
受診状況等証明書や診断書を病院の先生に書いてもらいます。
それと併せて、病歴・就労状況等申立書を自分で記入していきます。
どうしても初診の病院の証明が取れない時は、「障害年金の初診日に関する調査票」を提出していくことになります。
保険料の納付要件と期間の計算
社会保険制度では、一定の保険料を納付することが給付を受ける前提条件となっています。
給付を受ける権利を発生させるために必要な保険料の納付期間のことを「納付要件」といいます。
納付要件を満たさないために生じる無年金は、年金の財政への配慮という意味とともに納付を怠ったことに対するペナルティとしての意味をもっています。
納付要件の基本的な考え方
現行の納付要件は、任意加入できた期間で任意加入しなかった期間(任意未加入期間)は除外して計算することと、初診日の前日において納付要件をみることを原則としています。
しかし、昭和61年3月以前に初診がある場合は、初診当時の納付要件が適用されますので、大変複雑です。
整理しますと、①加入要件を見る時点と納付要件をみる時点がいつか、②納付要件の内容はどのようなものか、③いつまでの月数を計算にいれるのか、などです。
具体的なケースについては、①~③をきっちりと確認して、納付要件の計算を間違えないことが大切です。
加入要件と納付要件をみる時点
① 加入要件は初診日に何の制度に加入しているかでみます。
国民年金か厚生年金か公務員などの共済年金かを確認します。
② 納付要件をみる時点は、初診日の前日です。
納付要件の内容
納付要件は、国民年金加入中の初診も厚生年金加入中の初診も同じです。
① 原則として「3分の2要件」を満たしていること。
② 令和8年3月31日以前の初診は「直近、1年要件」でもよいとされています。
初診日の2か月前からさかのぼって1年間保険料が納まっているかを確認します。
③ 初診時の時点では被保険者ではなく、60歳から65歳に達する日の前日までに初診がある場合は、障害基礎年金の対象となります。
④ 厚生年金の被保険者であっても、65歳以後に初診のある場合は、障害厚生年金の対象になりますが、障害基礎年金の対象になりません。
いつまでの月数を納付要件の計算に入れるか
① 原則として初診日の前々月までの月数を入れます。
② 平成3年4月以前に初診日がある場合は、初診日の直前の基準月(1月、4月、7月、10月)の前月までの月数を入れます。
保険料納付済期間と被保険者期間
保険料の納付済期間とは、被保険者期間であって保険料を納めた期間のことをいいます。
① 国民年金(第1号被保険者)の場合は、保険料は自主納付という建て前です。国民年金の場合は、被保険者であり、かつ、現実に保険料を納付してはじめて納付済期間となります。
障害年金の「納付要件」をみる場合は、初診日の前日においてすでに納付している期間しか納付済期間に参入されません。
② 国民年金(第2号被保険者)の場合は、厚生(共済)年金にも加入していますが、保険料の納付義務は事業主が負っています。
労働者の賃金から徴収された保険料と事業主負担分をあわせて事業主が年金事務所に納付することになっています。
賃金から厚生年金保険料が徴収されていても、事業主(会社)が年金事務所に加入届を出していないと無効となってしまいます。
よって厚生年金の被保険者期間はそのまま国民年金の保険料納付済期間として扱われます。
③ 国民年金(第3号被保険者)の場合も、厚生年金の被保険者と同じような扱いです。
初診日が昭和61年3月以前にある場合の納付要件
1、 納付要件の経過措置の考え方
昭和61年4月1日以後は、国民年金と厚生年金の納付要件は共通となっています。
しかし、昭和61年以前は、国民年金と厚生年金で納付要件が異なっていたうえに、何度か法律改正がありましたので、保険料の納付要件は大変複雑になっています。
年金制度の場合は、初診の時と障害の状態になった時では長い時間が経過して法律が変わっていることがあります。そこで経過措置が設けられていますが、納付要件は初診の時期に加入していた制度の、その当時のものが適用されるのが基本となっています。
2、 納付要件をみる日が、障害認定日主義から初診日主義へ
現在は初診日の前日を基準にして納付要件を満たしているかどうかをみるのですが、以前は異なっていました。
保険料の納付要件を満たしているかどうかをみる基準となる日のことを「納付要件をみる日」といいます。
保険料の納付要件をみる日は、昭和51年9月30日以前は障害認定日の前日となっていました。
この場合は、初診の時期に滞納などがあっても、その後に保険料を納付して、障害認定日の前日時点で一定の納付要件を満たせば、障害年金が支給されることになっていました。
昭和51年10月1日以降は、初診日の前日が納付要件をみる基準の日とされています。
事後重症の場合の納付要件
昭和61年3月以前に初診または発病があって、昭和61年3月以前に障害認定日をむかえ、かつ障害認定日に障害状態になっていれば、旧の障害年金(厚生年金または国民年金)の遡及請求となります。
この場合の納付要件は、その当時の規定をそのまま使いますが、いまではほとんど請求がありません。
被保険者期間の計算
年金や障害手当金を受けるためには一定の被保険者期間があることが条件になっており、また、年金や手当金の給付の額も、被保険者期間が長ければ多くなるような仕組みになっています。
1、 期間の調べ方
国民年金も厚生年金も本人の申し出により、加入期間を調べることができます。全国の被保険者がコンピュータに登録されているので、期間を調べるには、本人の住所や職歴などをあらかじめ聞いたうえで、年金手帳を示して照会を受けることになります。
2、 職歴、加入暦とコンピュータ記録との突き合せ
納付要件を確認する前に、職歴や加入暦を再度チェックして、日本年金機構のコンピュータから出力された帳票にもれや間違いがないか付き合わせをしておく必要があります。また納付要件をめぐっては、誤解も多くみられます。
ぎりぎりの納付要件でだめだといわれたときは、きっちりと計算をし直して再確認する必要があります。
なお、記録の誤りは過去にさかのぼって訂正できますので、納付要件の確認の際にはくれぐれも慎重にする必要があります。次のような点に注意してください。
① 保険料の納付がなければ「3分の2要件」に該当しないと考える。
② 合算対象期間やカラ期間も含めて3分の2を計算する。
③ 20歳前の厚生年金期間を納付済期間に含めない。
④ 未加入期間(取得届を未提出の期間)の初診は、加入要件を満たしていないと誤解する。
⑤ 過去の記録で、厚生年金と国民年金の重複や、被保険者種別の誤り、取得・喪失記録
の誤りなどに気づかず、コンピュータの画面上に表示されているデータだけで判断する。
⑥ 会社を変わるたびに異なった番号の年金手帳の交付を受けているが、手持ちの手帳だけで加入期間を判断する。
いわゆる国民年金の番号がいくつもある方がおります。
この場合は、名寄せをしてもらい、ひとつずつ自分の年金記録かどうかを確認していきます。
私も以前お手伝いさせていただいた方が、名寄せをしてもらったおかげで保険料納付要件が達成できた方がおりました。
⑦ 生活保護の受給中は法定免除の期間となるが、被保険者の記録上では滞納扱いとなっている。
⑧ サラリーマンの妻の期間が、強制適用の期間で滞納扱いとなっている。
⑨ 任意適用の時代の学生期間があるにもかかわらず、20歳到達時点で強制被保険者となっている。
納付要件をみる場合の基本
納付要件をみるときは、いつからいつまでを計算するのか、いつの時点で納付されているかどうかを確認することになります。
① 被保険者期間計算の起点
20歳前の厚生年金の期間も含みます。国民年金の場合は20歳の到達月が起点です。
② 被保険者期間計算の終点
考え方は、初診の前日に納付期限がきている月まで計算するということです。現在の国民年金は毎月納付となっており、ある月の保険料の納付期限はその月の翌月末日となっています。
初診の前日に納付期限が到達しているのは初診日の属する月の前々月ですから、それが納付要件をみるときの終点です。
国民年金では以前は3ヵ月ごとの納付となっていました。
そのときは3ヵ月ごとの納付期限である基準月の前月まで被保険者期間として計算することになっていました。
③ 納付要件をみる時点
初診日の前日に満たしていることが必要であり、初診日以後に保険料を納付してもその期間は納付済期間として計算されません。
障害状態要件と障害認定の方法
障害年金の受給3要件のなかで、もっとも難しいのが障害状態要件に該当するかどうかです。
障害の程度を評価して障害状態要件に該当するかどうかを判断することを障害認定といいます。
障害評価の基本的な考え方
障害評価は以下のような考え方に基づいて行われています。
① 書類審査が原則ですが、例外的に実地調査があります。
実地調査は年金事務所の職員が本人の自宅や作業所などを訪問し、(聞き取りにより調査を行うことをいいます。書類で照会等が行われることもあります。
私は、今まで1回もそのような粉とは出会いませんでした。
② 書類審査は、医師の作成した診断書とX線フィルムなど客観的な資料に基づいて行われ、病歴・就学状況申立書なども参考にされます。
医師の診断書は、とても重要な書類となります。
③ 原則として本人の申立等および記憶に基づく受診証明のみでは判断せず、必ずその裏づけの資料を収集します。
④ 具体的な障害程度の評価は、裁定請求書と同時に提出された診断書などの資料に書かれている内容を、「障害状態の基本」と照らし合わせ、障害認定基準にあてはめて等級が決定されます。
⑤ 「障害認定基準」および「併合等認定基準」に明示されていない障害および障害の程度については、その障害によって生ずる障害の程度を医学的検査結果等に基づき判断し、もっとも近似している認定基準の障害の程度に相当するものを準用しています。
⑥ 障害評価にあたっては、1年間の予測勘案方式が採用されます。障害認定日を点としてとらえそのときの状態だけで判断されるのではなく、おおむね今後1年間の障害の動向を予測して判断されることになっています。
⑦ 複数の障害を認定する技法として、差引認定、併合(加重)認定、総合認定などがあります。
障害評価の時期
障害程度の認定は、障害年金の裁定請求時と現況届提出時、そして年金改定請求のときなどに行われます。
このときに提出する診断書の現症年月日を特定する基準となる日を、障害評価の時期といいます。
①「認定日請求による年金」については障害認定日
②「20歳前初診の年金」については、20歳到達前に障害認定日がある場合は20歳到達時以後に障害認定日がある場合は障害認定日
③「事後重症による年金」については、裁定請求書を提出した日(65歳到達時の前日までに受け付けたものに限る)
④「はじめて2級による年金」については、障害の程度が2級以上に該当した日(65歳到達時の前日までに該当したものに限る)
⑤「障害手当金」については、初診日から起算して5年を経過する日までの間において傷病の治った日
⑥現況届の提出の場合は、提出月の同月
⑦「年金改定請求」については、請求月
年金改定請求は、障害厚生年金3級だった方が症状が悪化して、2級に申請をする場合などです。
2級から1級に申請をしたこともあります。
障害認定日
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、初診日から起算して1年6か月を経過した日または1年6か月以内に治った場合には治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)をいいます。
障害認定日の特例
下記の①~⑦の場合は、初診日から起算して1年6か月の日、または下記の日の早いほうの日が障害認定日となります。
① 人工透析療法を行っている場合は、透析を受け始めてから3月を経過した日
② 人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、挿入置換した日
③ 心臓ペースメーカーまたは人工弁の装着をした場合は、装着した日
④ 人工肛門または新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日
⑤ 切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断をした日(障害手当金の場合は、創面が治ゆした日)
⑥ 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
⑦ 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日
障害評価のものさしの日常生活能力
障害基礎年金の障害評価のものさしは、日常生活能力とされています。
現在は2階建て年金の制度ですから、障害厚生年金の1・2級も同様です。
しかし、障害厚生年金の3級の障害評価のものさしは、労働能力とされています。
日常生活能力は、「社会人として平均的な環境のもとにおいて日常の生活を他人の力に頼ることなく送れる能力」と説明され、労働能力はそれぞれの個人の労働能力ではなく一般的労働能力を指すといわれています。
施設に入所したり入院している場合はその人が平均的な家庭にいればどのような状態であるかを想定して日常生活能力が評価されます。
労働能力も、個人の具体的な職業との関連でみるのではありません。
単独障害の認定方法
障害の認定は疾病ごとではなく、障害ごとに障害認定基準にあてはめて等級を決定するのを基本とします。
その場合、例えば糖尿病性腎症など因果関係がある同一疾患である場合は、合併症と併せて総合的に認定するという方法がとられます。
また脳性麻痺などの場合も、それぞれの障害を別々に障害認定基準をあてはめてその後に併合するという方法をとらず、全体の障害を総合的にとらえて設定されます。
障害の認定は、とても分かりずらいものになっています。
精神障害などの場合は、検査結果が数値で表されるものではなあいので、なおさら分かりにくくなっています。
障害年金の申請をする前に、一度、豊川市内にある愛知労務までお気軽に相談に来て下さい。
豊川市で障害厚生年金のご相談は、私たちにお任せください。
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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