障害年金の年金額
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.03
障害厚生年金、障害基礎年金、障害手当金の金額
障害厚生年金等の支給のかたちと額
障害厚生年金・障害手当金の基本的な支給のかたちと年金額(支給額)は、障害基礎年金を含めて次のとおりです。
厚生年金保険に加入中に初診日のある病気・けがで1級・2級の障害の状態になったときには障害基礎年金に上乗せするかたちで障害厚生年金が支給され、3級の障害厚生年金と障害手当金は、厚生年金保険から単独で支給されます。
1級
障害厚生年金 |
報酬比例の年金額×1.25 |
配偶者加給年金額 |
(224,900円) |
障害基礎年金 |
977,125円 |
子の加算額 |
(1人目・2人目各224,900円、3人目以降各75,000円) |
2級
障害厚生年金 |
報酬比例の年金額 |
配偶者加給年金額 |
(224,900円) |
障害基礎年金 |
781,700円 |
子の加算額 |
(1人目・2人目各224,900円、3人目以降各75,000円) |
3級
障害厚生年金 |
報酬比例の年金額 |
3級の障害厚生年金には、586,300円(月額48,858円)の最低保障額が設けられています。
障害手当金
障害手当金 |
報酬比例の年金額×2.0 |
障害手当金には、1,172,600円の最低保障額が設けられています。
障害手当金では、1,031×0.981のスライド率は、毎年度決められる0.986の「従前額改定率」という乗率になります。
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障害厚生年金の年金額
障害厚生年金・障害手当金は次の報酬比例の年金額の式で計算され、2級と3級の障害厚生年金ではこの式に率をかけませんが、1級の障害厚生年金では1.25の率をかけ、傷害手当金では2.0の率をかけて計算します。なお、この式は、平成15年3月以前の被保険者期間と、同年4月以後の被保険者期間の2つの期間をもつ人の「5%適正化前の従前額」の式となっています。
A=平成15年3月以前の期間に係る報酬比例部分
A=平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月以前の被保険者期間の月数
B=平成15年4月以後の期間に係る報酬比例部分
B=平均標準報酬額かける5.769/1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数
式=(A+B)×1.081×0.981
また、この式には、「総報酬制と2つの計算式」、「平成15年4月以後の被保険者期間のみの場合」および「平均標準報酬月額と平均標準報酬額」と同じ規定が適用されることになっています。
* 障害認定日以後の被保険者期間の月数は計算の対象とされません。また、被保険者期間の月数が300円(25年未満)であっても300月で計算されます。
* 被保険者期間の月数が300月未満でかつ、平成15年3月以前と同年4月以後の被保険者期間がある人の場合、上記の2つの式を合計した額に「300÷実際の被保険者期間の月数」で算出した数を乗じて、全体を300月に増額します。
* 障害の程度が変わったときは、傷害基礎年金と同様です。
☆ 配偶者の加給年金額
1級・2級の障害厚生年金を受ける人に生計を維持されている配偶者がいるときは、227,000円(月額18,916円)の加給年金額が支給されます。
この加算の対象は、これまで1級・2級の障害厚生年金を受ける資格を得たときに生計を維持されていた配偶者に限られていましたが、平成23年4月から、年金を受ける資格を得た後に生計を維持することになった配偶者も対象となっています。
*1級・2級の障害厚生年金を受ける資格を得たときに生計を維持されていなかったが、その後、平成23年4月前に生計を維持されることになった配偶者も、平成23年4月から加算の対象となります。
社会保険労務士 宮本麻由美
障害厚生年金・障害手当金
障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある病気・けがで、障害基礎年金に該当する障害(1級・2級)が生じたときに、障害基礎年金に上乗せする形で支給されます。
障害基礎年金に該当しない程度の障害でも、厚生年金保険の障害等級表に該当するときは、独自の障害厚生年金(3級)または障害手当金(一時金)が支給されます。
なお、障害厚生年金、障害手当金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていることが必要です。厚生年金保険の被保険者期間は国民年金の保険料納付済期間とみなされますので、国民年金の保険料を滞納していた人が厚生年金保険に加入直後に病気・けがをしたような場合でない限り、保険料納付要件は満たしていることになります。
1. 障害の程度
障害の程度を定めた障害等級表は、1級および2級については障害基礎年金と同じ障害等級が、3級および障害手当金については厚生年金保険独自の障害等級が定められています。
2. 障害認定日に軽い障害がその後重くなったとき
障害認定日に障害等級表で定める障害の状態に無かった人が、その後65歳になるまでの間にその障害が悪化し、障害等級表で定める3級以上の障害の状態になったときは、本人の請求により、障害厚生年金が支給されます。
障害基礎年金
障害基礎年金の額は定額で、障害等級の2級に該当する人は781,700円(月額65,141円)、1級に該当する人はその1.25倍の977,125円(月額81,427円)となっています。
☆ 子の加算
障害基礎年金を受ける人に生計を維持されている子をいるときは、下記の額が加算されます。
* 子は、18歳到達年度の末日までの高校在学年齢にある子または20歳未満で1級・2級の障害の子に限られます。
加算対象の子 |
加算額 |
1人目・2人目(1人につき) |
各224,900円(月額18,741円) |
3人目以降(1人につき) |
各75,000円(月額6,250円) |
この加算の対象は、これまで障害基礎年金を受ける資格を得たときに生計を維持されていた子に限られていましたが、平成23年4月から、年金を受ける資格を得た後に生計を維持することになった子も対象となっています。
*障害基礎年金を受ける資格を得たときに生計を維持されていなかったが、その後、平成23年4月前に生計を維持されることになった子も、平成23年4月から、加算の対象となります。
社会保険労務士 宮本麻由美
障害手当金とは
厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある病気やけがが初診日から5年以内に治り、障害厚生年金を受けるよりも軽に障害が残ったときに、障害手当金を一時金として受けとることができます。
障害手当金を受けるには、保険料納付要件を満たしていることが必要です。
尚、障害が残ったときは、医学的に傷病が治癒したと認められる場合を指します。
たとえば、指を切断した場合、障害基礎年金や障害厚生年金では切断したときとなりますが、障害手当金の場合は、創面が治癒したときとなります。
障害手当金は、以下のいずれかに該当する人は受けられません。
①厚生年金保険の年金給付の受給権がある人
(障害等級3級以上に該当しなくなって3年を経過した人を除きます)
②国民年金の年金給付または共済組合等の年金給付の受給権がある人
③同じ病気・けがで国家公務員災害補償法・地方公務員災害補償法・公立学校の学校医、労校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律・労働基準法による障害補償・労働者災害補償保険法による障害補償給付・船員保険法による障害給付などを受けられる人
障害手当金の額はいくらか
障害手当金の額は(A+B)×2です。
A…平均標準報酬月額×7,125÷1000×(平成15年3月までの被保険者期間の月数)
B…平均標準報酬額×5,481÷1000×(平成15年4月以後の被保険者期間の月数
平均標準報酬月額は令和2年度の再評価率表で計算します。
被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300を全被保険者期間の月数で除して得た額を上記の計算式で算出した額に乗じて、300月分に引きあげます。
障害手当金の額が1,172,600円に満たない場合は、1,172,600円となります。
支給停止後の障害手当金
障害基礎年金または障害厚生年金の受給権者が、別の病気・けがによる障害について障害手当金の受給要件を満たしている時は、障害手当金のほうの病気・けがが治った日において障害年金のほうの障害の程度が3級に該当せず、しかもその3級以上に該当しない状態が3年以上継続している場合に限って、障害手当金を受けることができます。
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