がん治療において病院で医療を受けるとき
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.08.28
がんの就労支援サイトをご覧いただきありがとうございます。
医療費について、健康保険の情報を解説していきます。
病気やケガをしたとき
療養の給付
健康保険の被保険者や被扶養者が業務外の事由により病気やケガをしたときは、保険医療機関(病院・診療所)に保険証(70歳以上の方は高齢受給者証も合わせて提出して下さい)を提出し、一部負担金を支払うことで、診察・処置・投薬などの治療を受けることができます。
また、医師の処方せんを受けた場合は、保険薬局で薬剤の調剤をしてもらうことができます。
このことを「療養の給付」といいます。
診察・検査
身体に異常があれば、いつでも健康保険で医師の診察や治療に必要な検査が受けられます。
薬・治療材料
治療に必要な薬は、医療保険の対象となる医薬品の基準価格に掲載されているものに限り支給されます。
処置・手術
注射や処置・手術はもちろん、放射線療法、療養指導なども受けられます。
入院・看護
入院中の食事・生活療養については1食・1日につき、決められた額を負担します。特別室(個室など)を希望するときは差額室料の負担が必要です。
在宅療養・訪問看護
医師が認めた人が安心して在宅で療養できるように、医師による訪問診療が受けられます。
また、訪問看護ステーションから派遣された看護師による訪問看護なども受けられます。
健康保険で受けられない診療について
健康保険の「療養の給付」は、病気やケガをしたときの治療を対象として行われます。
このため、日常生活に何ら支障がないのに受ける診療(美容整形など)に健康保険は使えません。
妊娠も病気とはみなされないため、正常な状態での妊娠・出産は健康保険の適用から除外されています。
また、健康保険の目的からはずれるような病気やケガをしたときは給付が制限されることがあります。
業務上や通勤災害によるケガは
業務上の原因による病気やケガ、通勤途上に被った災害などが原因の病気やケガについては、健康保険給付は行われず、原則として労災保険の適用となります。
入院時食事療養費
平成18年4月1日から入院時の食事の負担が、1日単位から1食単位に変更されました。
これは、医療機関で提供される食事の内容が変わるものではなく、食事の負担額について、食数に関わらず1日単位で計算していたものを1食単位の計算に変更するものです。
被保険者が病気やけがで保険医療機関に入院したときは、療養の給付とあわせて食事の給付が受けられます。
入院期間中の食事の費用は、健康保険から支給される入院時食事療養費と入院患者が支払う標準負担額でまかなわれます。
入院時食事療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準にしたがって算出した額から平均的な家計における食事を勘案して厚生労働大臣が定める標準負担額を控除した額となっています。
厚生労働大臣の算出基準による食事療養費-平均的な家計の食事と比較した標準負担額=入院時食事療養費
入院時食事療養費は、療養費となっていますが、保険者が被保険者に代わって医療機関にその費用を直接支払うこととなっており、患者は標準負担額だけを支払うことになります。
標準負担額は、平均的な家計の食費を勘案して厚生労働大臣が定めることとなっています。
また、住民税非課税世帯と標準負担額の減額を受けなければ生活保護法の要保護者となる世帯(以下、低所得世帯という)の人及び市町村民税の非課税世帯に属し、かつ所得が一定基準に満たない方(70才以上の高齢受給者に限る。)については、次のようになります。
また、標準負担額など食事療養費に要した自己負担額については、高額療養費の対象から除外されることとなっています。
なお、1日の標準負担額は、3食に相当する額を限度とします。
一般の方・・・1食につき 460円
住民税非課税世帯の方・・・1食につき 210円
住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院日数が90日を超えている場合・・・1食につき 160円
住民税非課税世帯に属し、かつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者・・・1食につき 100円
標準負担額の軽減措置を受ける場合は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」に被保険者証と低所得の証明書を添付して、全国健康保険協会の都道府県支部に提出します。
申請が認められると「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されますから、被保険者証と認定証を医療機関の窓口へ提出することで標準負担額の軽減措置がうけられます。
低所得の証明は、低所得者世帯(住民税の非課税世帯)の人については、住所地の市区役所または、町村役場等で証明を受けた住民税の非課税証明、所得が一定基準に満たない場合は非課税証明に給与や年金の源泉徴収票、生活保護法の要保護者については、福祉事務所長が行う標準負担額認定該当の証明が必要となります。
入院時生活療養費
介護保険との均衡の観点から、医療療養病床に入院する65歳以上(注1)の者の生活療養(食事療養並びに温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養をいう。)に要した費用について、保険給付として入院時生活療養費を支給されることとなりました。
入院時生活療養費の額は、生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して算定した額から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況等を勘案して厚生労働大臣が定める生活療養標準負担額(所得の状況(※1)、病状の程度、治療の内容その他の状況をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に軽減して定める額)を控除した額となっています。
被扶養者の入院時生活療養にかかる給付は、家族療養費として給付が行われます。
厚生労働大臣の算出基準による生活療養費-平均的な家計の食費、居住費等と比較した標準負担額=入院時生活療養費
※1 所得の状況をしん酌して負担額が軽減される者
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯)
低所得者Ⅰ(年金額80万円以下等)
■生活療養標準負担額 (食費1日につき)
区分 |
食費 |
|
課税世帯 |
医療区分Ⅰ(Ⅱ・Ⅲ以外の方) |
460円 |
医療区分Ⅱ・Ⅲ(医療の必要性の高い方) |
260円 |
|
難病患者等 |
0円 |
|
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯) |
210円 |
|
低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下等) |
130円 |
■生活療養標準負担額 (居住費1日につき)
区分 |
居住費 |
|
課税世帯 |
医療区分Ⅰ(Ⅱ・Ⅲ以外の方) |
370円 |
医療区分Ⅱ・Ⅲ(医療の必要性の高い方) |
||
難病患者等 |
0円 |
|
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯) |
370円 |
|
低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下等) |
370円 |
※2 管理栄養士等を配置していない保険医療機関に入院している場合は420円です。
注1 医療療養病床に入院する65歳以上の方の光熱水費の負担については、厚生労働省ホームページでも情報を掲載しております。
(外部サイトにリンクします)ページはこちら
保険外併用療養費
保険診療の対象外も特別なサービスを受けるときは、一般の医療と共通の基礎部分は「保険外併用療養費」として健康保険が使えます。
原則は、健康保険では、保険が適用されない保険外診療があると保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が自己負担となります。
ただし、保険外診療を受ける場合でも、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」については、保険診療との併用が認められており、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われ、その部分については一部負担金を支払うこととなり、残りの額は「保険外併用療養費」として健康保険から給付が行われます。
また、被扶養者の保険外併用療養費にかかる給付は、家族療養費として給付が行われます。
【評価療養】
適応外の医薬品の使用(患者申出療養)
適応外の医療機器の使用
【選定療養】
歯科の金合金等
金属床総義歯
予約診療
時間外診療
大病院の初診
小児う触の指導管理
大病院の再診
180日以上の入院
療養病棟等に180日を超えて入院している患者の取扱いについて(厚生労働省サイト)
制限回数を超える医療行為
《例》総医療費が100万円、うち先進医療に係る費用が20万円だった場合
先進医療に係る費用20万円は、全額を患者が負担します。
通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院料*)は、保険として給付される部分になります。
保険給付分*=80万円(10割)
7割にあたる56万円が各健康保険制度から給付。
3割にあたる24万円が患者の一部負担金。
※保険給付に係る一部負担については、高額療養費制度が適用されます。
療養費
健康保険では、保険医療機関の窓口に被保険者証を提示して診療を受ける『現物給付』が原則となっていますが、やむを得ない事情で、保険医療機関で保険診療を受けることができず、自費で受診したときなど特別な場合には、その費用について、療養費が支給されます。
療養費が受けられるとき
保険診療を受けるのが困難なとき
〈例えば〉
事業主が資格取得届の手続き中で被保険者証が未交付のため、保険診療が受けられなかったとき
感染症予防法により、隔離収容された場合で薬価を徴収されたとき
療養のため、医師の指示により義手・義足・義眼・コルセットを装着したとき
生血液の輸血を受けたとき
柔道整復師等から施術を受けたとき
やむを得ない事情のため保険診療が受けられない医療機関で診察や手当を受けたとき
〈例えば〉
旅行中、すぐに手当を受けなければならない急病やけがとなったが、近くに保険医療機関がなかったので、やむを得ず保険医療機関となっていない病院で自費診察をしたときなどがこれにあたります。
この場合、やむを得ない理由が認められなければ、療養費は支給されません。
療養費の額
保険者が健康保険の基準で計算した額(実際に支払った額を超える場合は、実際に支払った金額)から、その額に一部負担割合を乗じた額を差し引いた額が療養費として支給されます。
訪問看護療養費
居宅で療養している人が、かかりつけの医師の指示に基づいて訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合、その費用が、訪問看護療養費として現物給付されます。
支払われる額と利用料
訪問看護療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準にしたがって算出した額から、患者が負担する基本利用料を控除した額です。
訪問看護の基本利用料は、被保険者、被扶養者ともに3割となっています。
なお、訪問看護療養費の基本利用料は、高額療養費の対象となります。
訪問看護療養費の額 |
基本利用料 |
平均的な費用の7割 |
同3割 |
支払方法と領収書の発行
訪問看護療養費は、保険者が被保険者に代わって、指定訪問看護事業者にその費用を直接支払うこととなっており、患者は、直接基本利用料を支払うことになります。
また、患者は、交通費・おむつ代などの実費や特別サービス(営業時間外の対応等)を希望して受けた場合の特別 料金を支払うことになります。
指定訪問看護事業者は、基本利用料とその他の料金について区別して記載した領収書を発行することになっています。
がん疼痛管理、緩和ケアなどには、訪問看護を利用するのが一番だと思います。
実際の料金は、下記リンクで確認してみてください。
移送費
病気やけがで移動が困難な患者が、医師の指示で一時的・緊急的必要があり、移送された場合は、移送費が現金給付として支給されます。
支給要件
移送費の支給は、次のいずれにも該当すると保険者が認めた場合に行われます。
移送の目的である療養が、保険診察として適切であること。
患者が、療養の原因である病気やけがにより移動が困難であること。
緊急・その他、やむを得ないこと。
支給額
移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の旅費に基づいて算定した額の範囲での実費です。
なお、必要があって医師等の付添人が同乗した場合のその人の人件費は、『療養費』として支給されます。
支給手続き
医師または歯科医師の意見書、移送に要した費用の額の証明書を添付して、保険者に申請します。
高額療養費・高額療養費の現物給付化(健康保険限度額適用認定証)
医療費が高額になり限度額を超えた場合は、超えた分の払い戻しが受けられます。「限度額適用認定証」を提示すれば、病院の窓口での支払いが限度額までになります。
支給の条件
(1)1か月(1日?末日)に支払った医療費
(2)同じ医療機関(原則、歯科や院外薬局は別計算)で支払った医療費が対象
(3)外来と入院は別計算
(4)保険適応外の医療費は対象外
限度額を超えると払い戻し
1か月の窓口負担が自己負担限度額を超えると、超えた分の払い戻しが受けられます。(高額療養費)
払い戻しを受けるには協会けんぽ都道府県支部に申請が必要です。
支払いの前に協会けんぽ都道府県支部に申請し、「限度額適用認定証」の交付を受けて窓口に提示すると、限度額までの支払いで済みます。(高額療養費の現物給付)
オンライン資格確認を導入している医療機関では、高額療養費の限度額情報の提供に同意する場合は、限度額適用認定証の提示は不要です。
オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け) 厚生労働省のページ
対象かどうかは月ごとの確認
窓口負担した額が自己負担限度額を超えているかどうかは、医療機関等が提出するレセプト等に基づいて確認されます。
レセプトは診療をうけた月ごとに作成されますので、月をまたいで診療を受けた場合は、2か月として計算されます。
21,000円以上の負担は合算可能
70歳未満の人だけの世帯で、同じ世帯で1か月に21,000円以上の窓口負担が2件以上ある場合は、合計して自己負担限度額を超えたときに、超えた額が払い戻されます。
70歳以上75歳未満の人だけの世帯の場合は、金額に関係なくすべての窓口負担を合算して自己負担限度額を超えたときに超えた額が払い戻されます。
4か月目から多数該当
同じ世帯で、直近12か月に高額療養費が支給された月数が3か月以上になった場合は、4か月目からは、多数該当として下表の( )内の額が自己負担限度額となります。
現物給付の場合は医療機関等で多数該当に当てはまることが確認できた場合に限り、( )の額が適用されます。確認できない場合はあとから協会けんぽ都道府県支部に請求を行い、多数該当との差額の支給を受けます。
70歳未満の人の自己負担限度額
所得区分 |
自己負担限度額 |
標準報酬月額83万円以上 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
標準報酬月額53万円~79万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
標準報酬月額28万円~50万円 |
80,100円+(総医療費-257,000円)×1% |
標準報酬月額26万円以下 |
57,000円(多数該当:44,400円) |
低所得者(住民税非課税) |
35,400円(多数該当:24,600円) |
70歳以上75歳未満の人の自己負担限度額
所得区分 |
自己負担限度額 |
|
(外来・個人ごと) |
(入院含む世帯すべて) |
|
現役並みⅢ標準報酬月額83万円以上 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
|
現役並みⅡ標準報酬月額53万円~79万円 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
|
現役並みⅠ標準報酬月額28万円~50万円 |
80,100円+(総医療費-257,000円)×1% |
|
一般標準報酬月額26万円以下 |
18,000円(年間上限:144,000円) |
57,600円(多数該当:44,400円) |
低所得Ⅱ(住民税非課税、年金収入80万円~160万円) |
8,000円 |
24,600円 |
低所得Ⅰ(住民税非課税、年金収入80万円以下) |
8,000円 |
15,000円 |
70歳以上75歳未満の人のうち、所得区分が現役並みⅠ、現役並みⅡの人は保険証、高齢受給者証、限度額適用認定証を医療機関で提示すると窓口での支払いが自己負担限度額となります。
所得区分が一般、現役並みⅢの人は、保険証と高齢受給者証を医療機関で提示すると窓口での支払いが自己負担限度額となります。
入院時の食費などは対象外
高額療養費の対象となる窓口負担には、食事療養標準負担額・生活療養標準負担額や保険診療対象外のものは含まれませんので、これらを除いて窓口負担額を計算します。
70歳未満の人と70歳以上の人の両方がいるとき
70歳未満の人と70歳以上70歳未満の人がいる世帯では、世帯合算して高額療養費が支給されます。
この場合、次の(1)~(3)で高額療養費の額を算定し、世帯で最も高いものが払い戻しされます。
(1)70歳以上75歳未満の人の1か月分の外来の窓口負担額を個人ごとに合算し、70歳以上75歳未満の人の自己負担限度額の表の自己負担額の外来分を超えた額が高額療養費の額となります。
(2)70歳以上75歳未満の人の1か月分の外来の窓口負担額と入院の窓口負担額を世帯で合算し、70歳以上75歳未満の人の自己負担限度額の表の同じ世帯のすべての窓口負担分を超えた額が高額療養費の額となります。
(3)70歳未満の人の窓口負担額(21,000円以上のものに限る)と70歳以上75歳未満の人のすべての窓口負担額を合算し、70歳未満の人の自己負担限度額を超えた額が高額療養費の額となります。
月の途中で後期高齢者医療制度の被保険者になった場合
月の途中で
①被保険者または被扶養者が後期高齢者医療制度の被保険者になった場合
②被保険者が後期高齢者医療制度の被保険者になったことにより被扶養者でなくなった場合
その月の健康保険・後期高齢者医療制度の自己負担限度額は、それぞれ2分の1になります。
長期高額疾病についての負担軽減(健康保険特定疾病療養受療証)
長期間にわたって継続しなければならず、著しく高額な医療費が必要となる疾病については、自己負担限度額を通常の場合より引き下げ、1万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全の上位所得者は2万円)とすることにより、医療費負担の軽減を図る特例制度があります。
特例の対象となる特定疾病については、法令上、指定されています。
〇血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第Ⅷ因子障害または先天性血液凝固第Ⅸ因子障害(血友病)
〇人工腎臓を実施している慢性腎不全
〇抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、厚生労働大臣の定める者に係るものに限る。)
「特定疾病療養受療証」を提示することにより、1か月の窓口自己負担額が、医療機関ごと(入院・通院別)または調剤薬局ごとに下記の自己負担限度額までとなります。
自己負担限度額
自己負担限度額は月額1万円(※)。限度額を超える分は高額療養費が現物給付で支給される。
※ 慢性腎不全のうち70歳未満の上位所得者については2万円
特定疾病療養受療証の交付
この特例措置を受けるためには、 「特定疾病療養受療証交付申請書」 及び特定疾病に関する医師又は歯科医師の意見書その他当該疾病にかかったことを証する書類を保険者に提出し、認定を受ける必要があります。
なお、特定疾病療養受療証を受ける者は、被保険者・被扶養者であることを問わず、当該疾病の患者に対して交付されます。
保険者の認定を受けると「特定疾病療養受療証」が交付されるので、療養を受けようとするときは、被保険者証又は処方せんに添えて、特定疾病療養受療証を保険医療機関等又は保険薬局等に提示することで、窓口での負担は自己負担限度額までとなります。
特定疾病に係る高額療養費支給申請手続きについて
調剤薬局での負担額がある場合は、医療機関の外来診療分の負担金額と合算して1万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全の上位所得者は2万円)を超えた分が高額療養費の対象となりますので、高額療養費支給申請書を提出してください。
高額療養費の対象事例については、 特定疾病に係る高額療養費支給申請手続きについて を参照してください。
高額療養費の対象の特定疾病に係る高額療養費支給申請手続きについて
調剤薬局での負担額がある場合は、医療機関の外来診療分の負担金額と合算して1万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全の上位所得者は2万円)を超えた分が高額療養費の対象となりますので、高額療養費支給申請書を提出してください。(⇒高額療養費についてはこちら)
【ケース1】同一の月に複数の医療機関等で特定疾病療養受療証を提示した場合
(70歳未満・一般所得にあてはまる方)
2月10日:特定疾病療養受療証が交付
2月15日:A病院で特定疾病に係る外来診療
<総医療費 200,000円、自己負担額10,000円>
2月16日:A病院で処方された薬をB薬局で購入
<総医療費 30,000円、自己負担額9,000円>
※この場合、保険者に高額療養費の申請を行うことにより高額療養費の支給を受けることができます。
支給額:(10000円A病院外来+9000円B薬局)-10,000円(自己負担限度額)=9,000円
70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費
基準日(7月31日)時点の所得区分が一般所得区分または低所得区分に該当する場合は、計算期間(前年8月1日~7月31日)のうち、一般所得区分または低所得区分であった月の外来療養の自己負担額の合計が144,000円を超えた額が払い戻されます。
申請は7月31日時点で加入している健康保険の保険者におこないます。
高額介護合算療養費
医療費と介護費が高額な時は、高額介護合算療養費が請求できます。
医療と介護の負担額が年間で限度額を超えた場合は、払い戻しが受けられます。
対象となるのは、毎年8月から翌年7月までの12か月間です。
その期間に、健康保険の自己負担額と介護保険の利用者負担額(高額療養費、高額介護サービス費または高額介護予防サービス費が支給される場合は、それを控除して得た額)を合計した額が、介護合算算定基準額を超えた場合に、その超えた額(500円を上回る場合に限る)が、基準日被保険者(計算期間の末日に被保険者である者)に支給されます。
介護合算算定基準額(自己負担限度額)(年間)
所得区分(標準報酬月額) |
健康保険+介護保険(70歳未満) |
健康保険+介護保険(70歳以上75歳未満) |
83万円以上 |
2,120,000円 |
|
53万円~79万円 |
1,410,000円 |
|
28万円~50万円 |
670,000円 |
|
28万円以下 |
600,000円 |
560,000円 |
低所得者Ⅱ |
340,000円 |
310,000円 |
低所得者Ⅰ |
190,000円 |
支給額
高額介護合算療養費=(介護合算一部負担等世帯合算額-介護合算算定基準額)×介護合算按分率
高額医療費貸付制度
全国健康保険協会では高額な医療費の支払いに充てるための費用が必要である場合に、高額療養費が支給されるまでの間、無利子の貸付制度があります。
高額療養費は同一月に支払った医療費が、一定の自己負担限度額を超えた場合に本人の申請により支給されますが、医療機関等から提出された診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行いますので、決定に約3ヶ月かかります。
そのため当座の医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込額の8割相当額を無利子で貸付を行う制度です。
申込の方法
高額医療費貸付金貸付申込書に必要事項を記入して、次の書類を添付のうえ、全国健康保険協会各支部に提出します。
(1)医療機関(病院等)の発行した、保険点数(保険診療対象総点数)のわかる医療費請求書
(2)被保険者証又は受給資格者票等(原本提示・郵送の場合は写しで結構です。)
(3)高額医療費貸付金借用書
(4)高額療養費支給申請書
返済の方法
貸付金の返済は、全国健康保険協会へ支給申請していただいた高額療養費の給付金の支払を返済金に充てます。
残額は支給申請書でご指定された金融機関にお振込みいたします。
なお、医療費の減額や不支給等により、貸付金が返済されなかったとき、または不足の場合は返納通知書をお送りしますので期日までに返納してください。