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休業が発生する時の休業補償

文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.08.16

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がんの就労支援 休業が発生する時の休業補償

がんが私病の時と業務上の時で休業補償の仕組みが違ってきます。

また、雇用保険に加入しているかによっても違ってきます。

傷病手当金(私傷病の時)

傷病手当金は、このページを参照してください。

介護休業給付金(雇用保険)

雇用保険の被保険者の方が対象家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定の要件を満たすと介護休業給付金の支給を受けることができます。

支給対象者

家族を介護するための休業をした雇用保険の被保険者の方で、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上ある方が支給対象となります。

完全月とは、過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある方については、基本手当の受給資格決定や高齢者受給資格決定を受けたものに限ります。

なお、令和2年8月1ひ以降に介護休業を開始している方については、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12か月ない場合、完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定します。

被保険者とは、一般被保険者および高年齢被保険者をいいます。

介護休業開始日前2年間に疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった方については、これらの理由により賃金の支払いを受けることができなかった日数をこの期間に加えた日数(最大4年)となります。

介護休業を開始する時点で、介護休業終了後に離職することが予定されている方は、支給の対象となりません。

介護休業を開始した被保険者が期間雇用者である場合は、上記のほか、休業開始時において同一事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が明らかでないことが必要です。

支給対象となる介護休業

介護休業給付金は、以下の①および②を満たす介護休業について、支給対象となる同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給されます。

①負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族(次のいずれかに限る)を、介護するための休業である。

被保険者の「配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」「父母(養父母を含む)」「子(養子を含む)」「配偶者の父母(養父母を含む)」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」

②被保険者が、その期間の初日および末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行い、これによって被保険者が実際に取得した休業であること。

なお、介護休業は、産前・産後休業中に開始することはできず、介護休業の期間中に他の家族に対する介護休業、産前・産後休業、育児休業が開始された場合、それらの新たな休業の開始日の前日をもって当初の介護休業は終了し、その日以降の分は介護休業給付金の支給対象となりません。

給付の内容

介護休業給付金は、一回の介護休業につき、毎回、介護休業開始日から起算した1か月ごとの期間(その1か月の間に介護休業終了日を含む場合はその介護休業終了日までの期間のこれらの各期間を「支給単位期間」といいます。)の支給額を計算し支給します。

介護休業を分割して取得される場合は、分割して支給することになります。

介護休業給付金の対象となる一回の介護休業期間は、最長3か月ですので、介護休業給付金の支給対象は、一回につき、最大3支給単位期間ということになります。

一つの支給単位期間中に、就業していると認められる日(全日休業している日(日曜日や祝日など、会社の休日となっている日も含みます。)以外の日が、10日以下でなければ、その支給単位期間については支給対象となりません。

介護休業終了日の属する1か月未満の支給単位期間については、就業していると認められる日が10日以下であるとともに、全日休業している日が1日以上あることが必要です。

支給単位期間の途中で離職した場合、当該支給単位期間は支給を受けることができません。

介護休業給付金の支給の対象となる支給単位期間を支給対象期間といいます。

支給額

介護休業給付金の各支給対象期間ごとの支給額は

原則として、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。

①「支給日数」とは、a)b以外の支給対象期間については30日、b)休業終了日の属する支給対象期間については、当該支給対象期間の日数です。

②「賃金日額」は、事業主の提出する「休業開始時賃金月額証明書(票)」によって、原則、介護休業開始前6か月間の賃金を180で除した額であり、これに上記①の支給日数の30を乗じることによって算定した「賃金月額」が495,900円を超える場合は、「賃金月額」は495,900円となります。

これに伴い、1支給対象期間あたりんp介護休業給付金の上限額は332,253円となります。

また、この賃金月額が77,310円を下回る場合は77,310円となります。

上記の金額は、令和4年7月21日までです。

③支給対象期間中に賃金支払い日があり、そこで支払われた賃金(ただし介護休業の期間を対象とする賃金に限る。)の額と、「賃金日額×支給日数(上記①または②」の67%相当額の合計額が「賃金月額」の80%を超えるときは、当該超えた額が減額されて支給されます。

その結果、次のようになります。

賃金が休業開始時賃金日額×支給日数(上記aまたはb)の13%以下の場合・・・賃金月額の67%相当額を支給

賃金が休業開始時賃金日額×支給日数(上記aまたはb)の13%を超え80%未満の場合・・・賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給

賃金が休業開始時賃金日額×支給日数(上記aまたはb)の80%以上の場合・・・支給されません

高年齢雇用継続給付を受けている場合、高年齢雇用継続給付の支給対象月の初日から末日までの間引き続いて介護休業給付を受けることができるときは、その月の高年齢雇用家お属給付を受けることはできません。

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有給休暇(労働基準法)

年次有給休暇とは。

パートタイム労働者でも有給があります。

年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

年次有給休暇が付与される要件は2つあります。

(1)雇い入れの日から6か月経過していること、

(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと、の2つです。

この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与されます。

また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、(2)と同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。

その後様に要件を満たすことにより、次の表1に示す日数が付与されます。

表1

雇入れの日から起算した勤続期間

付与される休暇の日数

6か月

10日

1年6か月

11日

2年6か月

12日

3年6か月

14日

4年6か月

16日

5年6か月

18日

6年6か月以上

20日

 

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準で定められています。

使用者は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与ることが事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、他の時季に年次有給休暇をえることができますが、年次有給休暇を付与しないとすることはできません。

パートタイマーの方の有給休暇の日数などは、下記ページを参照して下さい。

有給休暇について(厚生労働省のページ)


休業補償給付(労災と認定された時)

労災保険の休業補償給付

労働者が、業務に起因する疾病(がん)で療養のために会社を休む場合、休業補償給付を申請すると支給されます。

下記に労災と認定される疾病を記載しました。

がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における疾病等について

○ 労働基準法施行規則別表第1の2第7号

「がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における疾病」

1.ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍

2.ベータ-ナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍

3.4-アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

4.4-ニトロジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

5.ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務による肺がん

6.ベンゾトリクロライドにさらされる業務による肺がん

7.石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫

8.ベンゼンにさらされる業務による白血病

9.塩化ビニルにさらされる業務による肝血管肉腫

10.電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫又は甲状腺がん

11.オーラミンを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

12.マゼンタを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

13.コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務による肺がん

14.クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん

15.ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん

16.砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん

17.すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん

18.1 から 17 までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他がん原性物質若しくはがん原性因子にさらされる業務又はがん原性工程における業務に起因することの明らかな疾病

○ 労働基準法施行規則別表第1の2第8号の規定に基づく厚生労働大臣の指定する疾病

一 超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患

二 亜鉛黄又は黄鉛を製造する工程における業務による肺がん

三 ジアニシジンにさらされる業務による尿路系腫瘍

 

 

社会保険労務士法人愛知労務