医薬品における治験の流れ(抗がん剤)
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.08.22
医薬品における治験の流れ(抗がん剤)を解説してみます。
治験とは
○「くすりの候補」の開発の最終段階では、健康な人や患者さんの協力によって、人での有効性と安全性を調べることが必要です。
こうして得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていけると承認されたものが「くすり」となります。
○人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。
○治験は病院で行われますが、実施できる病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた要件を満足する病院だけが選ばれます。その要件とは以下のとおりです。
①医療設備が充分に整っていること
②責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師等がそろっていること
③治験の内容を審査する委員会を利用できること
④緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えること
○治験には一般的に3つのステップ(相)があり、各段階で安全性・有効性を確認します。
3つのステップが終了した後に、薬を開発している製薬企業が結果をまとめて厚生労働省に提出し、審査を受けます。審査の結果、承認を受けたものが薬として製造販売を許可されます。
抗がん剤の治験3つのステップ
基礎研究を実施します。
第1相:少数の患者を対象とし、安全性、薬物動態(吸収、代謝、排泄)、有効性などを検討するための試験が行われる。
第2相:比較的少数の患者を対象とし、有効性(腫瘍縮小効果)、用法・用量などを検討するための試験が行われる。
この第1相と第2相の分を「治験」と呼びます。
診査・承認をします。
第3相:多数の患者を対象とし、有効性(延命効果等)と安全性を検証するための試験が行われる。
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