石綿(アスベスト)による肺がんの労災申請
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2021.08.15
肺がんの原因は石綿以外にも多くあるが、石綿以外の原因による肺がんを医学的に区別できないので、肺がんの発症リスクを2倍以上に高める石綿ばく露があった場合をもって、石綿に起因するものとみなすことは妥当であると言われています。
肺がん:認定要件
石綿ばく露労働者に発症した「原発性肺がん」(原発性とは、他の部位から肺に転移したものではないという意味)であって、以下の①から⑥までのいずれかに該当する場合に業務上の疾病と認められます。
①石綿肺所見がある
じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺所見をいいます。
②胸膜プラーク所見がある+石綿ばく露作業従事期間10年以上
石綿製品の製造工程における作業については、平成8年以降の従事期間を実際の従事期間の2分の1として算定します。
③広範囲の胸膜プラーク所見がある+石綿ばく露作業従事期間1年以上
広範囲の胸膜プラークとは、
胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らかな陰影が認められ、かつ、胸部CT画像によりその陰影が胸膜プラークとして確認される場合
胸部CT画像で、胸膜プラークの広がりが胸壁内側の4分の1以上ある場合
④石綿小体または石綿繊維の所見+石綿ばく露作業従事期間1年以上
石綿小体または石綿繊維の初見については、以下のいずれかであることが必要です。
石綿小体が乾燥肺重量1g当たり5,000本以上ある
石綿小体が気管支肺胞洗浄液1ml中に5本以上ある
5μmを超える大きさの石綿繊維が乾燥肺重量1g当たり200万本以上ある
1μmを超える大きさの石綿繊維が乾燥肺重量1g当たり500万本以上ある
肺組織切片中に石綿小体または石綿繊維がある
⑤びまん性胸膜肥厚に併発
びまん性胸膜肥厚の認定要件を満たすものに限ります。
⑥特定の3作業に従事+石綿ばく露作業従事期間5年以上
1 「特定の3作業」とは、
石綿紡織製品製造作業
石綿セメント製品製造作業
石綿吹付作業
2 「従事期間」とは、
上記3作業のいずれかに従事した期間、またはそれらを合算した期間をいいます。
ただし、平成8年以降の従事期間は、実際の従事期間の2分の1として算定します。
じん肺による肺がんの障害厚生年金申請はこちらを参照してください。
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