文責 社会保険労務士 松井 宝史 2022.10.09
先日、ストレスがたまって憂うつな気分や不安感が強くなったので、近くのメンタルクリニックに行きました。
他の症状としては、疲労が溜まりやすく、食欲不振もあり、寝つきが悪く、途中で目が覚めてしまうことが頻繁におきるようになりました。
会社も遅刻がちになり、会社から帰ってきてお酒を飲む量も増えてしまいました。
メンタルクリニックの先生が「適応障害」なので、会社はしばらく休む方がいいよ、ということで休職3週間の診断書を書いてくれました。
私としては、上司のパワハラによる職場環境の悪化が原因だと思っています。
しばらく休職してゆっくりしたいと思っています。
適応障害のような神経症とは、ストレスに対処しきれなくなったときに、心身に生じる機能障害と言われました。
適応障害は、ストレスが生じて1か月以内に発症し、ストレスの原因がなくなれば6か月以上は継続しないとも言われました。
メンタルクリニックの先生の指示通り、会社を休職することにしました。
有給休暇があと15日残っているので、これを使い切ったら会社を退職しようとも思っています。
今の会社は、入社して3年が経ちます。
健康保険には、入社した日に加入してくれました。
このまま適応障害で退職した場合、傷病手当金はもらえますか?
有給休暇を全部使い切って退職ならば、待期期間の3日間もそれで完成しています。
注意しなければいけないのは、退職日に出勤をしてはいけません。
たまに、退職日に退職の手続きということで会社に出勤をして、うっかり「タイムレコーダー」を打刻する人がいます。
この場合、退職日に「出勤した」とみなされることがありますので、ご注意ください。
退職手続きに会社へ健康保険証や制服などを返却に行く場合は、退職日の次の日以降に行くようにしてください。
退職日までの間で注意しなければいけないのは、それまでの間に一度メンタルクリニックに行って診察を受けておいてください。
そして主治医の先生には、会社を退職することをお話ししておいてください。
退職後の傷病手当金の申請で気をつけなければいけないことは、メンタルクリニックの先生が傷病手当金の書類に「労務不能」と証明してくれることです。
傷病手当金の申請は、原則1か月単位で申請をしていきますので、メンタルクリニックの通院は、1か月に1回はしてください。
また退職後の傷病手当金の申請は、会社はやってくれないので、どこに申請をすればいいか退職前に確認をしておいてください。
軽度の適応障害の場合は、6か月ほどで治ってきますが、今までのストレスが取り除けない場合は再発する可能性があるのでご注意ください。
メンタルクリニックの治療を続けていく場合、途中で傷病名が変わっていく(例えばうつ病など)ことがありますが、そのまま傷病手当金の申請ができますのでご安心ください。
ダラダラ期の最初の1か月は、毎日だらだらと過ごす必要があります。
適応障害の場合、何もやらずにのんびりとする時期となります。
ダラダラする生活をすることによって、心と身体のリラックスを体感することが大事です。
この時期は、復職の事も転職の事も考えずに過ごす必要があります。
それが過ぎると、活動期に入るので、活動量を増やしていく時期となります。
傷病手当金の申請で病院の証明をまだもらってなければ、病院に証明をお願いしに行きましょう。
傷病手当金の申請は、書類が協会けんぽに届いてから2週間程で振り込まれます。
早め早めに申請をしていきましょう。
原則、給与の締め切り日単位で申請をしますので、締め切り日が来ましたら病院に書類を持って行き証明をしてもらいましょう。
初回相談は無料でおこなっています。
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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休職している間に下記のページを見ておいてください。
きっと役に立つページだと思います。
もりしたクリニック 院長 森下 克也先生
発行所 株式会社CCCメディアハウス
昔、光生会病院(愛知県豊橋市)の精神科に勤務しておられました。
現在は、〒142-0063
東京都品川区荏原3-7-5
和田ビル2階 で開業をされています。
令和4年6月20日に森下先生の本を読みました。
適応障害の本としては、初めての本です。
適応障害でどのように病院にかかればいいのか、ストレス反応がもたらす症状はどのようなものがあるのか、職場というストレスにどう対処すればいいのかについて分かりやすく書いてありました。
「医者とうまくつきあうには」の部分は、医者は適応障害の診断はどのようにしているか、どのような治療をするのか詳しく書かれていました。
「自宅安静の過ごし方」の部分は、3つのステップがあると書かれています。
私のような中小企業の労務管理を指導している社会保険労務士としては、とても参考になる部分でした。
適応障害で休んでいる人の「傷病手当金」の申請をたくさん手掛けている者としては、最初の「ダラダラ期」部分は、これからの労務管理指導の指針として注意していきたいと思いました。
「ダメージを受けた心の回復には最低でも1か月はかかります」ページ194と書かれています。
この期間に、適応障害で休んでいる人とのコンタクトには気を付けて臨んでいきたいと思います。
一番最後の「復職者としていかに振舞うか」の部分は、中小企業の場合はどうすればいいか考えさせられる部分でした。
人的余裕があまり無い中小企業ですので、今後の労務管理指導でアドバイスをしていきたいと思います。
ぜひ、適応障害で休んでいる人がいるご家族の方が読むととてもためになる本だと思いました。
正しい理解と治療法
医療法人社団ハートクリニック理事長 浅井 逸郎 先生
神奈川県鎌倉市大船1-22-9 湘南大船ビル4階
発行所 株式会社大和出版
令和4年6月23日に本を読んだ感想です。
適応障害になっている人は、現在明らかになっているのは「特定のストレス要因のとらわれ」「そのストレスへの対処技能の不足」というふたつの条件に当てはまる人だということです。
適応障害とうつ病は何が違うのかが書かれています。
治療全体については、重症度や病識の持ち方で、治療の内容は変化するとも書かれています。
治療期間については、早ければ1~2か月、長引いても出口はあることが書かれています。
この本で特にお勧めの部分は、精神療法のうち、問題解決法は社会復帰の期間短縮に効果があると書かれています。
またその問題解決能力を高める8つのレッスンについて詳しく書かれており、一度は読まれることをお勧めします。
岩波 明 先生
昭和大学医学部精神医療講座主任教授
発行所:株式会社青春出版所
令和4年7月3日に本を読んだ感想です。
医学部精神科主任教授の岩波明先生の本は、とても読みやすいです。
適応障害はどんな病気か、またうつ病とはどう違うのかについてQ&A形式で書かれています。
何がきっかけになって適応障害を発症するのか、どうすれば治るのかも詳しく書かれています。
適応障害の治療において、最も重要な「ストレスから距離を置くこと」が最優先されると書かれています。
もし不眠や朝起きれない状態が1~2週間続いたら、病院を受診してください、と書かれています。
顧問先の労務管理において、度々遅刻してくる人がいたら気を付けたいですね。
あなたがそのような症状が出ていたら、ぜひこの本を読んでみてください。
最後の章で、適応障害と見分けがつきにくい「心の不調」をざっくりと解説していますので、一読することをお勧めします。
治療に専念して、早く社会復帰できることをお祈りしています。
働く人の中で最も多い精神疾患はうつ病です。
適応障害の主な症状は「抑うつ」なので世界保健機構(WHO)の調査の統計上、適応障害はうつ病に含まれています。
うつ病は、過去1年間で100人に2から3人の働く人がかかっている状況となっています。
働いている人が適応障害になる時のストレスの内容は、仕事量の多さ、仕事のミスマッチといったことから、最近は上司や同僚とうまくいかない、職場で嫌がらせやパワハラを受けている、セクハラを受けているといった人間関係の悩みへと変化してきています。
あなたは、現在、体調がすぐれない、顔色がさえない、仕事の壁にぶつかって落ち込んでいる、上司とうまくいっていないなどはありませんか?
適応障害は、正常なストレス反応からくる誰にでも起こりうる心身の変化といわれています。
しかし、誰のでも起こりうるといっても、軽症のものから重症のものもあり、長期化すると悪化し、うつ病や神経症などの他の精神疾患に移行することがあります。
適応障害は、普通に働いていた人が何らかのストレスにさらされ、最初はうまく対処できていたのに、やがてできなくなり、社会の実情を反映しながら心と身体に支障をきたしていくという、最近増えてきた精神疾患です。
適応障害は、誰にでも起こりうる可能性がある精神疾患なのです。