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東京海上火災保険事件 東京地判平8.3.27
1.事案の概要
使用者は、業務上必要と認めた場合に、定年退職者の中から一定の基準を満たす者を嘱託社員として再雇用する制度を採用していた。満60歳になったことから定年退職となり、この再雇用制度によって嘱託社員となることを希望した労働者らに対し、使用者は再雇用しない決定をした。そこで、この労働者らは、使用者が採用する再雇用制度は、特段の欠格事由のない限り、再雇用を希望する労働者を嘱託社員としなければならないものであると主張して、嘱託社員であることの確認及び賃金の支払いを求めた。
2.判決の要旨(主文)
労働者側敗訴。
3.判決の要旨(理由)
再雇用制度化の運用状況を見ると、再雇用を希望した者が全て採用されていることもなく、労働組合との交渉の場においても、使用者は一貫して、希望者全員を再雇用することは難しいとの意見を表明しており、労働組合も使用者の意向を受け入れていた。そして、使用者は業務上の必要性、勤務実績、健康状態を総合勘案して再雇用者を選任してきている。従って、使用者の再雇用制度が希望者全員を再雇用しなければならないと解することはできず、使用者が労働者らを嘱託社員として採用していない以上、労働者らが嘱託社員としての地位を有しているとはいえない。
4.解説
定年退職後も働きたいという労働者に、使用者が就労の機会を提供するのが再雇用制度である。
再雇用制度が就業規則や労働協約などによって明確に規定され、そこに再雇用する労働者の選任基準や賃金をはじめとする労働条件が定められている場合は、基本的にその規程が尊重されるが、実際の運用状況に照らしてどうであったかということが問題とされる。その運用状況に鑑みて労使慣行が確立していると見ることもありうる。
また、再雇用制度について明確な規定がない場合は、再雇用制度が労使慣行として確立しているか否かが重要な判断ポイントとなる。そのためには、ある程度長期的な運用実績が必要であり、特段の欠格事由がない限り全ての労働者が再雇用されていたなどの事実が重要となる。


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