通勤災害の頭部外傷受傷の脳画像
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.16
頭部外傷受傷直後の脳画像
頭部外傷を負ってしまったら、病院で脳の画像を撮影します。
このとき、脳に点々とした出血の痕や脳室内出血があることが分かれば、びまん性軸索損傷であると診断されます。
また、このときの画像に問題がなくても、意識障害が起こっていれば高い確率でびまん性軸索損傷であるおそれがあります。
外傷性頭蓋内血腫
頭部外傷により、頭蓋内で血腫ができることがあります。
具体的には次のものが挙げられます。
・頭皮下血腫
たんこぶと似たものです。
・硬膜外血腫
頭蓋骨と硬膜の間にできます。
CTを用いて確認することができます。
硬膜は脳の周りを覆っている膜のひとつで、頭蓋骨の下にあります。
普通の状態では頭蓋骨と硬膜はくっついていますが、頭部外傷を負ったことにより頭蓋内で出血が起こると、骨と膜の間に血が入り込み、 血腫ができることがあります。
CTを使えば血腫ができているかどうか確認できます。
・硬膜下血腫
硬膜の下(内側)にできます。急性のものと、受傷後数ヶ月(1ヶ月から3か月ほど)経ってからできる慢性のものがあります。
急性硬膜外血腫
急性硬膜外血腫は、頭蓋骨と硬膜の間にできます。
たいていは頭部外傷を負った部分のすぐ下で頭蓋骨が折れてしまっています。
この骨折により血管が傷つけられて出血するのです。
血腫が大きくなると脳を圧迫し、様々な問題が生じてしまうので、すみやかに適切な治療を受けましょう。
急性硬膜下血腫の症状
急受傷直後から意識障害があらわれます。意識が回復しないまま昏睡に至るケースも多くなっています。
まれに回復したとしても、数時間後に昏睡に至ります。
意識障害はどんどん進み、昏睡から瞳孔不同、片麻痺等の脳ヘルニアの徴候があらわれます。
CT画像により血腫を確認します。
急性硬膜下血腫の原因
急性硬膜下血腫は頭部外傷により頭蓋内が次の状態になることで生じます。
・脳挫傷を起こした部分の動脈や静脈が損傷してしまい、出血している状態。頭部に強い衝撃が加わることにより血管が傷つきます。
・架橋静脈(太い静脈)が切れることにより、出血している状態。頭部に回転するような力が加わることで、血管が切れてしまいます。
急性硬膜下血腫の問題
急急性硬膜下血腫の恐ろしいところは、重度の脳損傷を合併する点です。
合併症により脳腫瘍や脳浮腫が現れ、更に血腫により脳が圧迫されるので危険な状態となります。
死亡率も高く、手術で救命することができたとしても受傷前の状態に回復することは望めません。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、ちょっと頭をぶつけた程度でも生じます。
受傷後数ヶ月(1ヶ月~3ヶ月ほど)経過してから痛みや意識障害などの症状が現れます。
意識障害の症状が認知症と似ているため、認知症と誤解されてしまうこともあり、注意が必要です。
早めに手術をすればすぐに良くなりますので、早期発見が大切です。
・脳内血腫
脳挫傷のひとつです。
内科的な要因で生じることもあります。
頭部外傷により脳の組織が割れ崩れてしまった状態を脳挫傷といいます。
血管が傷つき出血します。
出血に加え、受傷部の周りの脳が浮腫み、頭痛や吐き気、意識障害といった症状が現れます。
出血や脳の浮腫みにより、頭蓋内部の圧力が高まります。
そのため血の巡りが悪くなり、脳の状態を更に悪化させてしまいます。
急性期脳画像
頭部外傷の急性期の脳画像をみると、脳内点状出血はだんだん消えてなくなる場合もあれば、だんだん増えて脳内血腫となる場合もあります。
亜急性期になると、骨と脳の表面との間に血液がたまりやすくなります。
ほとんどの場合は、慢性期になるにつれて消えていきますが、中には慢性硬膜下血腫となるものもあります。
慢性期脳画像
頭部外傷を受け、更にびまん性軸索損傷を生じている場合、受傷後数カ月で脳室の一部が広がっていきます。
これは、頭部に外傷を負ったときの衝撃により軸索が傷つけられ、白質が収縮したことにより生じます。
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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