通勤災害の高次脳機能障害の脳神経損傷
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.16
脳神経の損傷
脳神経の外傷性損傷は次のような場合に生じます。
頭蓋骨を骨折した場合、骨折まではしなくても頭部に外傷を負い脳が激しく動いた場合、脳ヘルニアを生じた場合などです。
脳神経の損傷は受傷後すぐの段階では発見されにくいのですが、発見が遅れると治療に適した時期を逃してしまいます。
早い段階で発見するため、慎重に検査を行います。
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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頭蓋骨骨折により生じる場合は、どの部分を骨折したかにより損傷される神経が異なります。
例えば、前頭蓋底骨折なら視神経や嗅覚神経、中頭蓋底骨折なら三叉神経、動眼神経、滑車神経などです。
脳が激しく動いたことにより生じる場合も、中頭蓋底骨折の場合と同じ神経を損傷します。
脳ヘルニアの場合は、いくつもの脳の神経が集まっている脳幹を損傷する場合があります。
眼球運動神経
眼球の運動に関る動眼神経、外転神経、滑車神経をまとめて、眼球運動神経といいます。
動眼神経は、眼筋を支配しています。
眼球運動のほか、目の閉じ開きや瞳孔をコントロールして光を調節したり、焦点を合わせる動きなどを担っています。
外転神経は外直筋を支配しています。
外直筋を収縮させることにより、眼球を外側へ動かすことができます。
滑車神経は上斜筋を支配しています。
上斜筋を収縮させることにより、眼球を外側や下へ動かすことができます。
嗅覚の障害
頭部外傷を負った後、嗅覚に障害が生じる患者さんがいます。
特に頭蓋骨骨折をした場合に多く発症するといわれています。
嗅覚の障害は、最初は気が付かないのです。
ある時いつも匂っているものがあっても気が付かないことから嗅覚の障害に気づきます。
嗅覚障害の症状
嗅覚障害は先天性のものもありますが、前頭蓋底骨折や脳腫瘍、動脈硬化などによって生じることもあります。
嗅覚障害の症状は、においを全く感じられなくなったり、少ししか感じられなくなるものが多く見られます。
その他、ちょっとしたにおいにも敏感になってしまうこともあります。
嗅覚障害の検査方法
予め患者さんが鼻づまりを起こしていないことを確認したうえで、何かのにおいを嗅がせます。
例えば簡単なものですとタバコなどが挙げられます。
このとき、アルコールのような刺激的な物質は不適切です。
味覚の障害
味覚障害は、ミネラル不足や薬剤の服用により生じるほか、頭部外傷を負ったことによっても生じることがあります。
味覚の障害は、味が分からなくなりますので、料理を作る時にとても困ります。
視覚の障害
眼球に外傷を負ったことなどにより、視神経が傷つき、視覚の機能が低下したり視野が狭まったり、特に重症の場合には視力を失ってしまうことがあります。
傷ついた神経の部位により、障害の現れ方や度合いはまちまちです。
視力障害
視力障害は、視神経が傷つけられたり頭蓋内の腫瘍に圧迫されたり、あるいは眼科的疾患により生じます。
視野の検査
見え方に異常がある場合は、次の方法で検査を行います。
・対座検査
患者さんと検者が向かい合い、互いの目を見ます。
このとき、右目を検査したいのであれば左目には目隠しをし、右目で検者の右目を見ます。
検者が手や指を検者自身の視野の外側から内側に向かって動かします。
この方法で、大まかに患者さんの周辺視野を調べることが出来ます。
・視野測定
視野計を用いて検査します。
これにより視野が狭くなっているかどうか、半盲になっているかどうかが分かります。
・眼底検査
眼底鏡を持って検査します。
これにより、視神経が異常に萎縮していないかどうかが分かります。
聴覚の障害
側頭骨(耳の辺りの骨)を骨折することにより、中耳や外耳を傷害することがあります。
これにより、聴覚に障害が生じることがあります。側頭骨を縦方向に骨折したか、横方向に骨折したかにより、障害される部位が異なります。
また、骨折の程度によっても障害の重さが異なります
意識障害
重い頭部外傷を負ったときには、意識障害を起こしていないか確認します。
意識障害を起こすと、周りで生じている出来事を理解することができません。
意識障害を起こしていているか、またはどの程度起こしているかを確認するために、グラスゴー・コーマ・スケールあるいはジャパン・コーマ・スケールという指標があります。
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