健康保険から労災保険への切替について新たな手続き方法が加わりました
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2020.07.18
業務中や通勤途中のケガに、健康保険は使えません
お仕事でのケガ等には、労災保険となります。
労災保険制度では、労働者が業務中または通勤途中に災害にあい (以下 「労働災害」といいます)、その労働災害によって負傷、または病気にかかった場合には、労働者の請求に基づき、治療費の給付などが行われます。
しかし、労働災害であるにもかかわらず、労災保険による給付を受けるための請求を行わず、健康保険を使って治療を受ける方が見られます。
健康保険は、労働災害とは関係のない傷病に対して支給されるものです。
労働災害によって負傷、または病気にかかったにもかかわらず、健康保険を使って医療機関で治療を受けた場合、治療費の全額を一時的に自己負担 することとなってしまいます。
健康保険を使ってしまった場合は、必ず次の手続きが必要です
受診した病院に、健康保険から労災保険への切り替えができるかどうかを確認します。
複数の病院や薬局にかかった場合は、それぞれの病院と薬局に確認をしていきます。
切り替えができる場合・・・病院の窓口で支払った金額(一部負担金)が返還されます。
労災保険の様式第5号または様式第16号の3の請求書を受診した病院に提出してください。
切り替えができない場合・・・一時的に、医療費の全額を自己負担した上で、労災保険を請求していただきます。
※ただし、既に労災認定を受けている場合であって、医療費の全額負担が困難な場合等には、一時的に医療費の全額を自己負担することなく請求する方法もありますので、希望される場合は、労働基準監督署へ申し出てください。
労災保険の請求方法
一時的に医療費の全額を自己負担してから、労災保険の手続きをすることになります。
①健康保険の保険者(全国健康保険協会等)へ労働災害である旨を申し出てます。
②保険者から医療費の返還通知書等が届きますので、返還額を支払います(※1)。
③労災保険の様式第7号(業務上の場合)又は第16号の5(通勤災害の場合)を記入の上、返還額の領収書と病院の窓口で支払った金額(一部負担金)の領収書を添えて、労働基準監督署へ請求します(※2)。
(※1)医療機関から診療報酬明細書(レセプト)がご加入している健康保険の保険者に届くまでに2~3カ月程度かかるため、納付書が送付されるまでに時間がかかることがあります。
(※2)労災請求の際にレセプトの写し(コピー)が必要になりますので、健康保険の保険者へ依頼します。
一時的に医療費の全額を自己負担するのが困難な場合(多額の治療費がかかった場合)
①労働基準監督署へ、全額を自己負担せずに請求したい旨を申し出てます。(※3)
②労働基準監督署で保険者と調整を行い、保険者への返還額を確定します。
③保険者から返還通知書等が届きますので、労災保険の様式第7号(業務上の場合)又は第16号の5(通勤災害)を記入の上、返還通知書等を添えて、労働基準監督署へ請求します。(※4)
(※3)既に業務上災害又は通勤災害として労災認定を受けている場合に限ります。
(※4)病院の窓口で支払った金額(一部負担金)については、①~③とは別の手続きが必要となりますので、労災保険の様式第7号(業務上の場合)又は第16号の5(通勤災害)をもう1枚ご準備いただき、必要事項を記入の上、労働基準監督署へ請求してください。
病院や薬局が複数ある場合は、その分必要となります。
分からない場合は、愛知労務までお問合せください。
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〇参考リンク
労災補償関係リーフレット等一覧(厚生労働省)
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