労災保険給付基礎日額の特例 通勤途中の交通事故 労災保険申請

給付基礎日額の特例

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2021.12.12

給付基礎日額の特例の4つの例

労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当と認められないときは、厚生労働省令で定めるところにより所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とすることになっています。

例えば、労災事故に遭う前に病気をして平均賃金を計算する期間の給与が下がってしまった場合などは、特例で修正をしてくれることになります。

①平均賃金の算定期間中に私傷病による療養のための休業期間がある場合

次のイの金額がロの金額に満たない場合には、ロの金額を給付基礎日額とする。

イ・・・労働基準法第12条の平均賃金に相当する額
ロ・・・私傷病による療養のために休業した期間及びその期間中に受けた賃金額を平均賃金の算定期間及びその期間中の賃金から控除して算定した平均賃金に相当する額

②じん肺患者の場合

次のイの金額がロの金額に満たない場合には、ロの金額を給付基礎日額とする。

イ・・・労働基準法第12条の平均賃金に相当する額
ロ・・・じん肺にかかったため粉じん作業以外の作業に常時従事することとなった日(作業転換日)を算定事由発生日とみなして算定することとした平均賃金に相当する額

③1年を通じて船員法1条に規定する船員として船舶所有者に使用される場合

基本となるべき固定給のほか、船舶に乗り組むこと、就航区域、貨物の種類等により変動がある賃金が定めれれる場合には、基本となるべき固定給に係る平均賃金に相当する額と変動がある賃金に係る平均賃金に相当する額とを基準とし、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額を給付基礎日額とする。

④ ①~③に定めるほか、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合

厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額を給付基礎日額とする。

複数事業労働者の給付基礎日額

当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎とし、政府が算定する額である。

複数事業労働者とは

複数事業労働者とは、被災(業務や通勤が原因でけがや病気などになったり死亡)した時点で、事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者のことをいいます。

例えば、A会社という製造業で工場勤務している方が、夜間にBコンビニで働いているような場合です。

その他に、1つの会社と労働契約関係にあり、他の就業について労災保険の特別加入をしている方も対象となります。

更に、複数の就業について労災保険の特別加入をしている方も対象です。

複数事業労働者の方への保険給付が、すべての働いている会社の賃金額を基礎にして支払われるようになります。

複数事業労働者の方については、各就業先の事業場で支払われている賃金額を合算した額を基礎として給付基礎日額が決定されます。

改正前:

A会社 月20万円
B会社 月15万円(労働災害)
B会社の賃金額15万円を基に保険給付を算定します。

改正後:

A会社 月20万円
B会社 月15万円(労働災害)
A会社とB会社の賃金額合計35万円を基に保険給付を算定します。

複数の会社等の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して、労災認定の判断をするようになりました。

新しく複数の事業の業務を要因とする疾病等(負傷、疾病、障害又は死亡)についても、労災保険給付の対象となります。

新しく支給事由となるこの災害を「複数業務要因災害」といいます。

対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害」などです。

改正前:

A会社の負荷を評価して判断→労災不認定
B会社の負荷を評価して判断→労災不認定

改正後:
上記の場合、A会社とB会社の負荷を総合的に評価して判断 →労災認定になる場合あり

例えば、A会社で週40時間勤務していた場合、B会社で働いた時間が月当たり80時間を超えており、脳梗塞で倒れた場合などは、労災認定される可能性が大となります。

複数事業労働者の労働時間管理や健康管理がとても重要になってきました。

社会保険労務士 宮本麻由美

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