部位別等級表 口の障害
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2020.07.16
口の障害
固形食物の中に咀嚼ができないものがあることについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
口の障害
(1)障害等級
口の障害については、障害等級表上、そしゃく並びに言語機能障害及び歯牙障害について、それぞれ次のとおり等級が定められています。
そしゃく及び言語の機能障害 | そしゃく及び言語の機能を廃したもの |
第1級の2 |
そしゃく又は言語の機能を廃したもの |
第3級の2 |
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そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
第4級の2 |
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そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの |
第6級の2 |
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そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの |
第9級の6 |
そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの |
第10の2 |
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歯牙の障害 | 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
第10級の3 |
10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
第11級の3の2 |
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7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
第12級の3 |
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5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
第13級の3の2 |
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3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
第14級の2 |
鼻の機能障害
鼻の機能障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「鼻の機能障害のみを残すものについては、障害等級表上特に定めていないので、その機能障害の程度に応じて次により準用等級を定めます。
① 嗅覚脱失又は鼻呼吸困難については、第12級2号を準用します。
② 嗅覚の減退については、第14級9号を準用します。」となっています。
嗅覚脱失及び嗅覚の減退
嗅覚脱失及び嗅覚の減退について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「嗅覚脱失及び嗅覚の減退については、T&Tオルファクトメータによる基準嗅覚検査の認知域値の平均嗅覚損失値により、次のように区分します。
5.6以上 嗅覚脱失
2.6以上5.5以下 嗅覚の減退
なお、嗅覚脱失については、アリナミン静脈注射(アリナミンFを除く)による静脈性嗅覚検査による検査所見のみによって確認しても差し支えないこととなっています。」となっています。
咀嚼機能の障害
咀嚼機能の障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「咀嚼機能の障害は、上下咬合及び排列状態並びに下顎の開閉運動等により、総合的に判断します。」となっています。
咀嚼機能を廃したもの
咀嚼機能を廃したものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「咀嚼機能を廃したものとは、流動食以外は摂取できないものをいいます。」となっています。
咀嚼機能に著しい障害を残すもの
咀嚼機能に著しい障害を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「咀嚼機能に著しい障害を残すものとは、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。」となっています。
咀嚼機能に障害を残すもの
咀嚼機能に障害を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「咀嚼機能に障害を残すものとは、固形食物の中に咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合をいいます。」となっています。
医学的に確認できる場合
医学的に確認できる場合について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「医学的に確認できる場合とは、不正咬合、咀嚼関与筋群の以上、顎関節の障害、開口障害、歯牙損傷(補てつができない場合)等咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあることの原因が医学的に確認できることをいいます。」となっています。
固形食物の中に咀嚼ができないものがあること
固形食物の中に咀嚼ができないものがあることについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「固形食物の中に咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがありの例としては、ご飯、煮魚、ハム等は咀嚼できるが、たくあん、らっきょう、ピーナッツ等の一定の硬さの食物の中に咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあるなどの場合をいいます。」となっています。
言語の機能を廃したもの
言語の機能を廃したものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「言語の機能を廃したものとは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち、3種以上の発音不能のものをいいます。」となっています。
言語の障害に著しい障害を残すもの
言語の障害に著しい障害を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「言語の障害に著しい障害を残すものとは、4種の語音のうち2種の発音不能のもの又は綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思の疎通をすることができないものをいいます。」となっています。
言語の機能に障害を残すもの
言語の機能に障害を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「言語の機能に障害を残すものとは、4種の語音のうち1種の発音不能のものをいいます。」となっています。
歯牙障害
歯牙障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「歯科補てつを加えたものとは、現実にそう失又は著しく欠損した歯牙に対する補てつのことをいいます。したがって、有床義歯又は架橋義歯等を補てつした場合における支台冠又は仮の装着歯やポスト・インレーを行うに留まった歯牙は、補てつ歯数に算入しません。
また、そう失した歯牙が大きいか、又は歯間に隙間があったため、そう失した歯数と義歯の歯数が異なる場合はそう失した歯数により等級を認定します。」となっています。
嚥下障害
嚥下障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「舌の異常、咽頭支配神経の麻痺等によって生ずる嚥下障害については、その障害の程度に応じて、咀嚼機能に係る等級を準用することになります。」となっています。
味覚脱失
味覚脱失について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「① 頭部外傷その他顎周辺組織の損傷及び舌の損傷によって生じた味覚脱失については、第12級を準用します。
② 味覚脱失は濾紙ディスク法における最高濃度液による検査により、基本4味質すべてが認知できないものをいいます。」となっています。
味覚減退
味覚減退について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「① 頭部外傷その他顎周辺組織の損傷及び舌の損傷によって生じた味覚減退については、第14級を準用します。
② 味覚減退は濾紙ディスク法における最高濃度液による検査により、基本4味質のうち1味質以上を認知できないものをいいます。」となっています。
検査を行う領域
検査を行う領域について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「検査を行う領域は、舌とします。」となっています。
障害認定の時期
障害認定の時期について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「味覚障害については、その症状が時日の経過により漸次回復する場合が多いので、原則として療養を終了してから6か月を経過した後に等級を認定します。」となっています。
障害等級表上の組合せのないもの
障害等級表上の組合せのないものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「障害等級表上の組合せのない咀嚼及び言語機能障害については各障害の該当する等級により併合の方法を用いて準用等級を定めます。」となっています。
声帯麻痺
声帯麻痺について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「声帯麻痺による著しいかすれ声については、第12級を準用します。」となっています。
開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要する
開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要するについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「開口障害等を原因として咀嚼に相当時間を要する場合は,第12級を準用します。
①開口障害等を原因としてとは、開口障害、不正咬合、咀嚼関与筋群の脆弱化等を原因として、咀嚼に相当時間を要することが医学的に確認できることをいいます。
② 咀嚼に相当時間を要する場合とは、日常の食事において食物の咀嚼はできるものの、食物によっては咀嚼に相当時間を要することがあることをいいます。
③開口障害等の原因から咀嚼に相当時間を要することが合理的に推測できれば、相当時間を要するに該当するものとして取り扱って差し支えないこととなっています。」となっています。