部位別等級表 せき柱及びその他の体幹骨
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2020.06.01
せき柱及びその他の体幹骨
部位別等級表 せき柱及びその他の体幹骨について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
せき柱の障害については、障害等級表上、その変形障害及び運動障害について、それぞれ次のとおり等級が定められています。
変形障害 |
せき柱に著しい変形を残すもの |
第6級の4 |
せき柱に変形を残すもの |
第11級の5 |
|
運動障害 |
せき柱に著しい運動障害を残すもの |
第6級の4 |
せき柱に運動障害を残すもの |
第8級の2 |
せき柱の障害認定の原則
「せき柱のうち、頚椎(頚部)と胸腰椎(胸腰部)とでは主たる機能が異なっていることから、障害等級の認定に当たっては、原則として頚椎と胸腰椎は異なる部位として取扱い、それぞれの部位ごとに等級を認定します。」となっています。
せき柱の変形障害
脊柱の変形障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「脊柱の変形障害については、「脊柱に著しい変形を残すもの」、「脊柱に変形を残すもの」に加え、新たに第8級に準ずる障害として取り扱う「脊柱に中程度の変形を残すもの」の3段階で認定します。」となっています。
せき柱の後彎又は側彎
せき柱の後彎又は側彎について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「「脊柱に著しい変形を残すもの」及び「脊柱に中程度の変形を残すもの」は、せき柱の後彎又は側彎の程度等により等級を認定します。
この場合、せき柱のせき柱の後彎の程度は、せき椎圧迫骨折、脱臼等により前方椎体高が減少した場合に、減少した前方椎体高と当該椎体の後方椎体高の高さを比較することにより判定します。また、脊柱の側彎は、コブ法による側彎度で判定します。
なお、後彎又は側彎が頚椎から胸腰部にまたがって生じている場合は、後彎については、前方椎体高が減少したすべてのせき椎の前方椎体高の減少の程度により、また、側彎については、その全体の角度により判定します。」となっています。
コブ法
コブ法について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「コブ法とは、エックス線写真により、せき柱のカーブの頭側及び尾側においてそれぞれ水平面から最も傾いているせき椎を求め、頭側で最も傾いているせき椎の椎体上縁の延長戦と尾側で最も傾いているせき椎の椎体の下縁の延長戦が交わる角度(側彎度)を測定する方法です。」となっています。
せき柱に著しい変形を残すもの
せき柱に著しい変形を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「せき柱に著しい変形を残すものとは、エックス線写真、CT画像又はMRI画像により、せき柱圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものをいいます。
① せき椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているものをいいます。
この場合、「前方椎体高が著しく減少した」とは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいいます。
② せき柱圧迫骨折等により、1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずるとともにコブ法による側彎度が50度以上になっているものをいいます。この場合、前方椎体高が減少したとは、減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものをいいます。」となっています。
せき柱に中程度の変形を残すもの
せき柱に中程度の変形を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「せき柱に中程度の変形を残すものとは、エックス線写真、CT画像又はMRI画像により、せき柱圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかに該当するものをいいます。
① せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生じているもの
② コブ法による側彎度が50度以上であるもの
③ 環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含みます。)により次のいずれかに該当するものをいいます。このうち、A及びBについては軸椎以下のせき柱を可動させずに、回旋位又は屈曲・伸展位の角度を測定します。
A 60度以上の回旋位となっているもの
B 50度以上の屈曲位または60度以上の伸展位となっているもの
C 側屈位となっており、エックス線、CT画像又はMRI画像により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの 」となっています。
環椎又は軸椎とは
環椎又は軸椎について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「環椎又は軸椎は、頚椎全体による可動範囲の相当の割合を担っています。そのため、環椎又は軸椎がせき柱圧迫骨折等により変形して固定となり、又は環椎又は軸椎の固定術が行われたために、環椎又は軸椎の可動性がほとんど失われると、頚椎全体の可動範囲も大きく制限され、上記に該当する変形・固定となると「せき柱の運動障害(第8級の2)にも該当するケースがほとんどです。
なお、環椎又は軸椎が変形・固定していることについては最大矯正位のエックス線、CT画像又はMRI画像で最もよく確認できます。」となっています。
せき柱に変形を残すもの
せき柱に変形を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「せき柱に変形を残すものとは、次のいずれかに該当するものをいいます。
① せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線、CT画像又はMRI画像により確認できるもの
② せき椎固定術がおこなわれたもの(移植した骨がいずれかのせき椎に吸収されたものをのぞく。)
③ 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの」となっています。
運動障害
運動障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「エックス線、CT画像又はMRI画像では、せき椎圧迫骨折又はせき椎固定術が認められず、また、項背腰部軟部組織の器質的変化も認められず、単に疼痛のために運動障害を残すものは、局部の神経症状として等級を認定することになります。」となっています。
せき柱に著しい運動障害を残すもの
せき柱に著しい運動障害を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
せき柱に著しい運動障害を残すものとは、次のいずれかにより頚部及び胸腰部が強直したものをいいます。
1.頚椎及び胸腰部のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存しており、そのことがエックス線、CT画像又はMRI画像により確認できるもの
2.頚椎及び胸腰部のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの
3.項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
となっています。
せき柱に運動障害を残すもの
せき柱に運動障害を残すものについて、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「せき柱に運動障害を残すものとは、次のいずれかに該当するものをいいます。
① 次のいずれかにより、頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの
A 頚椎又は胸腰部にせき柱圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線、CT画像又はMRI画像により確認できるもの
B 頚椎又は胸腰部にせき椎固定術が行われたもの
C 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
② 頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの」となっています。
荷重機能の障害
荷重機能の障害について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「荷重機能の障害については、その原因が明らかに認められる場合であって、そのために頚部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするものを第6級、頚部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするものを第8級に準ずる運動障害としてそれぞれ取り扱います。」となっています。
荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合
荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合について、労災保険後遺障害診断書作成手引によれば、
「荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合とは、せき椎圧迫骨折・脱臼・せき柱を支える筋肉の麻痺又は項背腰部軟部組織のあきらかな器質的変化が存し、それらがエックス線、CT画像又はMRI画像により確認できる場合をいいます。」となっています。
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その他の体幹骨
障害等級
その他の体幹骨の障害については、障害等級表上、鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨、骨盤骨の変形障害について、次のとおり等級が定められています。
鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨、骨盤骨に著しい変形を残すもの |
第12級の5 |
鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すものとなっています。