通勤災害で橈骨遠位端骨折をして労災保険10級認定事例
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2023.3.28
T様 40歳代男性
T様は原付バイクで会社に出勤途中、事故に遭われました。通勤災害の交通事故です。
交差点内の交通事故で、T様は直進で進入したところ、右折してきた自動車がT様に気づかず衝突して負傷しました。
自動車の方は右折する時に、一時停止をせず前方からバイクが来るのをよく確認していなかったそうです。
右直の事故なので、相手側の過失が大きい事故です。
バイクは右側に倒れ、右腕が路面と接触したため利き腕の右手橈骨遠位端骨折(スミス骨折)のお怪我を負ってしまわれました。
右手首の部分の骨折で、ギプス固定をしばらくしていました。
休業が発生していました
T様は、この事故によるお怪我で、2ヶ月ほど休業をされていました。
当事務所の相談会にお見えになった際、通勤災害(労災保険)の給付のご説明をさせて頂き、愛知労務に労災保険給付申請のご依頼を頂きました。
後遺症が残るのが分かっていましたので、治療が終了した時点で労災保険の障害の申請をすることになりました。
右手のギプスの期間が1ヶ月あり、相談会にご参加いただいた時にはリハビリ中でした。
右手首の可動域制限もかなりあり、背屈も掌屈も左手と比べて半分以下となっていました。
また、右腕の痺れや疼痛もあり、夜になると痛みのためよく眠れない日もあると言っていました。
相手側保険会社の担当者が治療を労災保険でして欲しいと言ってきていましたので、2ヶ月経った時点で自賠責保険の治療から労災保険に切り替えが行われていました。
手首の骨折の手術は、今までに2回おこなったと言っておられました。
病院の治療費の支払いは、3か月目から労災保険の支払いとなりました。
右手首の患部には、金具が入っているので、いずれは外す手術を受ける予定と言われていました。
休業特別支給金の申請からスタート
愛知労務としましては、まず相手の保険会社から休業損害が100%支払われていましたので、休業特別支給金の給付基礎日額20%の支給申請をしていきました。
この休業特別支給金の申請は、時効が2年と短いので、手続きのご依頼があった時点で、すぐに進めていくことにしています。
おケガをされた方にとっては、休業補償が自賠責保険で100%、労災保険で20%合計120%出るということになります。
T様の勤務先の担当者の方とも連絡を取り合い、給与明細書、賞与明細書、タイムカードのコピー等をお願いしました。
交通事故に遭う前の3か月の給与を基に給付基礎日額が決まります。
賞与については、障害の等級が認定されると、ボーナス特別支給金が出ることになります。
第三者行為災害届の提出はまだでしたので、その書類の作成も手掛けていきました。
相手の保険会社に連絡し、交通事故証明書の入手や相手の保険内容の情報をいただきました。
月曜日~金曜日の午前9時~午後5時
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
相手の保険会社の人身担当者も、治療費が自賠責保険から労災保険に切り替わるので、とても協力的でした。
というのは、病院の治療費が自賠責保険の1点20円から労災保険の1点12円に下がるメリットがあるからです。
つまり、例えば自賠責保険で治療費が200万円かかるとすると、労災保険を使うと120万円となり80万円が節約できるからです。
事故から6ヶ月経った時点で治療を終了して障害申請をしていくかどうか、T様は迷っておられました。
おケガをされたT様は、治療を終了すると、休業損害が止まり、職場にどの程度復帰できるかも気になっていました。
休業損害は、相手の自動車保険から100%、労災保険から休業特別支給金で20%出るので、かなり有利になっています。
ですので、これが終了するのは生活に影響が出てきます。
手首の骨折をしているので、右手の可動域はとても制限があり、字を書くこともままなりませんでしたが、パソコンのキーボードを打つことはできました。
治療の終了と後遺症の申請
次回の診察の時にT様が主治医の先生と相談していただき、あと1回診察して特に何もなければ治療終了とする、ということになりました。
腕の痺れや痛みはまだ残存していました。
愛知労務としましては、障害給付の申請の準備にとりかかりました。
障害給付支給申請書の作成をし、T様の会社の担当者の方に社印の取り付けをさせて頂き、主治医の先生に記入をお願いする依頼文を作成しました。
(現在は、会社の押印は不要となりました)
手首の可動域の計測を自動と他動で行っていただくよう依頼文の中に盛り込みました。
おケガをされたT様は、手首は自動でつまり自分の意思で動かすのも制限があったからです。
労災保険の障害給付支給請求書の「関節運動範囲」の証明欄には自動、他動で計測について記載していないため、たまに病院の先生が勘違いしてしまわれることがあるためです。
障害認定の時については、愛知労務の方で労働基準監督署の担当官と連絡を取り、日程をT様の都合と合わせて決定しました。
労働基準監督署での障害認定
当事務所の社会保険労務士1名が障害認定の立会いをさせて頂き、手首の可動域について左右で比べることについてT様にご説明させて頂きました。
また労働基準監督署の担当官の方にも、右手首は自動でも動かすことが難しいことを説明させていただきました。
このことは、障害認定においてとても重要な点なのです。
労働基準監督署の認定には、顧問医のドクターがお見えになりなって、当日手首の可動域の測定をしてくれました。
手首の可動域については、左右の手首で比べて50%以下の認定となりましたので、10級の認定になる予定でした。
障害等級の決定
労働基準監督署の認定から1ヶ月ほど経った頃、「一時金支給決定通知」の案内がT様に届きました。
10級の認定となり、障害給付と障害特別支給金、ボーナス特別支給金の給付がありました。
労災保険で支給された金額も400万円を超える金額となっており、T様には大変喜んでいただくことができました。
今回のポイントは、
T様も労災先行することによって金銭的に余裕ができましたので、保険会社との賠償金の交渉も焦らずにじっくり出来ると仰っていました。
労災保険の障害の認定を先に進めるメリットもありますので、その際には愛知労務(社会保険労務士事務所)にぜひ、お問合せください。
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民事上の賠償については、東京で交通事故に強い弁護士先生をご紹介させていただきました。
交通事故で手首の骨折の場合の労災申請は、愛知労務にお任せください。
〇参考リンク
労災保険認定事例
厚生労働省「『アフターケア』制度のご案内」