右足骨折によりRSDで労災保険9級認定事例
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2022.02.22
N様 40歳代男性
RSD(反射性交感神経ジストロフィー)で第9級に認定
N様は業務中にフォークリフトに足を踏まれ、右中足骨多発骨折(足の中ほどの骨の骨折です)のお怪我をされてしまいました。
トラックから降りて、荷物を下ろす作業に取り掛かろうとしている時に、他のトラックの運転者がやはり荷を下ろすためにフォークリフトを運転していたのですが、その方がN様に気づくのが遅れてフォークリフトの車輪でN様の足を踏んでしまいました。
トラック運転手の労災事故は、運転中と同じぐらい荷下ろし中の時に発生します。
トラックの荷台から飛び降りて、うまく着地できずに足を骨折したなどのおケガがよく発生します。
治療は、1年近くかかりました。
N様の手術も複数回行われていました。
足の骨折なので、歩くにも不自由な生活を強いられてしまいました。
1年近くの治療により、骨癒合は得られましたが、足部の疼痛があり、歩くとすぐに足が腫れてしまう後遺症が残ってしまいました。
歩くのもゆっくりとしか歩けず、元のトラック運転手の仕事に戻ることはできない状態です。
私どもの事務所で面談した時は、右足は、腫れて左足と比べるとかなり大きくなっていました。
靴も左右違う大きさのものを購入して履くことになってしまいました。
夜寝る時も、痛みが激しくなかなか寝付けないとこぼしていました。
本当に痛い時は、痛み止めの薬もよく効かないと状況でした。
N様と面談をさせていただいて確認した時は、親指以外の4本の足指が骨折しており、足指の可動域制限と傷みがかなりあるとのことでした。
会社を休んでいる間の休業損害(休業補償)
休業損害の件で、相手側の保険会社と揉めていました。
事故から1年以上たっても歩くのもままならないので、荷を積んだり、おろしたりする作業はほぼ不可能の状態でした。
というのは、N様はトラックの運転手であり、右足の痛みがすごくあるので、トラックの運転もままならない状態であり、逆に相手の保険会社は、早く職場に復帰して欲しいということで揉めていました。
相手の保険会社は、休業損害の申請をしても、払い渋りをしてきました。
というのは、N様の給与の日額が高く、休業損害もかなりの金額になっていました。
トラック運転手の毎月の給与は、大手の運送会社ですとかなり高くなっています。
ただし、賞与は少ない金額でした。
休業損害は、毎月の給与を基準に支給されるようになっています。
N様から労災保険の手続のご依頼を頂き、相手の保険会社が払ってくれない期間の休業補償給付の申請に取り掛かりました。
障害申請の準備
第三者行為災害届や途中までの休業特別支給金の申請は、N様の勤務先の総務担当者の方がすでに作成し、労働基準監督所に提出されていました。
トラック会社もその地域では大きな会社で、労災保険の申請も総務の担当者は多く手掛けていました。
そこで、総務担当者の方と連絡を取り、労働基準監督署に提出した書類のコピーをご送付頂きました。
事故から1年経過後の休業補償を。労災保険で払ってもらうようにする手続きです。
この切り替えの手続きは、とても難しく、労働基準監督署の担当官と連携を取る必要があります。
相手の保険会社が払ってくれなかった期間の休業補償給付については、愛知労務の方から労働基準監督所の担当官と粘り強く折衝し、病院の証明が取れれば審査して休業補償を支払ってくれることになりました。
労働基準監督署の担当官も病院に医療紹介をしてくれて、その判断を出してくれました。
つまりN様はまだ治療が必要であり、労務不能の状態であることを確認してくれました。
とても優秀な担当官だと思っています。
それと同時に、障害補償給付支給請求書と身体の状態にかかる申立書の準備にとりかかりました。
休業補償給付も、1年6か月で終了すると労働基準監督署の担当官から言われていました。
病院の証明が必要な障害補償給付支給請求書の診断書は、主治医の先生に記入の依頼文を愛知労務で作成し、治療終了した時点でN様経由で一緒に添えて証明をお願いしました。
RSD(反射性交感神経ジストロフィー)について
親指以外の4本の指の可動域測定と、紫色に変色してしまった右足のRSD(反射性交感神経ジストロフィー)の所見を証明してもらう内容で依頼文を作成しました。
レントゲンのCDも取り寄せるように手配しました。
障害認定の時には、治療開始時と治療終了時のレントゲンのデータが必要となっています。
身体の状態にかかる申立書については、N様とよく打ち合わせをして、私共でとりまとめをさせて頂きました。
実際に労働基準監督署に認定に行くときのことを想定し、N様と充分に確認をして「現在の身体の状態および日常生活」について記載しました。
また、N様は足の疼痛を強く訴えておられましたので、アフターケアの健康管理手帳交付申請書も準備しました。
障害等級認定日には、愛知労務の社会保険労務士1名が、N様にご同行させていただきました。
労働基準監督署の顧問医の方は、足の疼痛を重んじて、RSD(反射性交感神経ジストロフィー)に該当するのでは、とN様にお話されたそうです。
RSD(反射性交感神経ジストロフィー)については、①関節拘縮、②骨の萎縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)の3つの症状が必要となっています。
N様の場合、3つともそろっていましたので、7級、9級又は12級のどれかに認定される予定でした。
レントゲンのCDも右足と左足を比べると、足指の骨の萎縮が見られました。
皮膚の変化は、紫色になっていましたので一目でわかりました。
足指は、拘縮しているので可動域制限もかなりのものでした。
労災保険の等級が決定
障害申請の認定日から3週間ほどで、「一時金支給決定通知」がN様のお手元に届きました。
今までは可動域制限で10級ではないかと予想していましたが、それよりも上位の等級の9級認定となり、N様には大変喜んでいただくことができました。
障害補償給付は450万円ほど、特別支給金は140万円ほどの給付となりました。
また併せて、アフターケアの「健康管理手帳」の発行も認定されました。
外傷による末梢神経損傷に係るアフターケアのページを参照してください。
労災保険の申請を会社が手続きを渋る時は、愛知労務の社会保険労務士が手続き代行をしております。
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
相談メール:
愛知労務の連絡をLINEでできるようにしました。
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その後、事故から1年6か月経ったので、障害厚生年金の申請も愛知労務でお手伝いさせていただきました。
障害厚生年金の3級が認定されました。
こちらは年金なので、長期間(終身)給付がもらえることになりました。
業務災害で足指の骨折の場合の労災申請は、愛知労務にお任せください。
〇参考リンク
労災保険認定事例
厚生労働省「『アフターケア』制度のご案内」