業務災害で膝の靭帯損傷を負い労災保険8級認定
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2022.03.12
S様 30歳代男性
膝の靭帯損傷(業務中)
屋外で作業をしている時、自動車が暴走してきてはねられてしまい、膝の靭帯損傷のお怪我をされたS様から、お電話にてご相談頂きました。
S様は、交通誘導をしている時でしたので、無防備の状態で事故に遭ってしまい重傷となってしまいました。
左膝複合靭帯損傷
左膝複合靭帯損傷ということで、S様は、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷という傷病名でした。
最初に受診された病院で、内側側副靭帯の縫合の手術をされており、2番目の総合病院で前十字靭帯と後十字靭帯の再建術をされていました。
愛知労務にご相談頂いたのは、事故から1年半経ち、そろそろ症状固定という頃でした。
S様は、労災保険の申請についてはご存知なく、会社の総務担当者の方も知識がありませんでしたので、相手の任意保険ですべて終了と思っていたそうです。
業務上の交通事故は任意保険で終了ではありません(労災保険の申請があります)
愛知労務に労災保険の申請は全面的にお任せします、と仰って頂きました。
まず相手がある事故でしたので、第三者行為災害届の作成から取り掛かりました。
それと同時に、会社の総務担当者の方に労災保険申請の説明と、S様が労災保険の申請を強く希望されていることを報告させて頂きました。
まずは休業特別支給金の申請です
会社の担当者の方のご了解もいただきましたので、その次は休業特別支給金の申請へと移っていきました。
休業補償については、相手の保険会社から休業損害を100%支給を受けていましたので、労災保険から休業特別支給金を20%の給付を受ける形となりました。
事故から1年半の間、休業していましたので、休業特別支給金も相当な額となっていました。
病院も3つ変わっていましたので、各々の病院で証明をもらうことになりました。
どうぞ、お気軽にお問合せください。
労災保険の申請を会社が手続きを渋る時は、愛知労務の社会保険労務士が手続き代行をしております。
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
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障害については労災保険を先行
障害の申請については、S様と相談をし、労災先行をしていくことになりました。
そこで障害補償給付支給請求書(障害特別支給金・障害特別一時金支給申請書)の作成にとりかかりました。
一番最後に治療をしていただいた病院の主治医の先生に「診断書ご記入のお願い」という文章を愛知労務にて作成し、労災保険の書類と一緒に、自賠責保険の後遺障害診断書もS様から病院に提出して頂きました。
主治医の先生も、「療養の内容及び経過」の欄に、「硬性装具装着」、「左膝靭帯再建術施行」と証明してくださいました。
硬性装具装着が重要
この硬性装具装着しているかが、労災保険の等級に関係していきます。
また、「障害の状態の詳細」欄に、手術の内容と図を記入してくださいました。
「障害の状態にかかる申立書」は、S様とよく打ち合わせをし、膝の装具についても詳しく記入をしました。
また、装具の写真も撮影して提出をしました。
障害認定日については、労働基準監督署の担当官と連絡を取り合いました。
自宅まで労働基準監督署の担当官が来てくれました
実はその頃S様は持病が悪化され(交通事故とは無関係の病気です)、入退院を繰り返すようになってしまわれたのです。
そのため、S様の病状が落ち着いたら労働基準監督署の障害認定をお願いしようということになりました。
労働基準監督署の担当官も配慮してくださり、担当官がS様のご自宅を訪問して認定作業を行うということになりました。
というのは、持病については免疫が落ちているので、病院の先生からなるべく外出は控えるように言われていたからです。
愛知労務としましては、平成18年に脊髄損傷を負われたお客様の障害申請をしましたが、そのときは労働基準監督署の担当官が病院まで来てくださり障害認定となりました。
その方は、脊髄損傷のためベッドから起き上がることができない状態の方でしたので、配慮してくれました。
そのような経験がありましたので、今回のS様についてもそのようなご配慮をいただけないかと、労働基準監督署の担当官にお願いをしたという経緯がありました。
社会保険労務士が認定に同行しました
障害認定日には、愛知労務の社会保険労務士1名が、S様のご自宅まで同行させて頂き、労働基準監督署の担当官の認定に立ち合いをしました。
今回は顧問医の面談がありませんので、労働基準監督署の担当官が医師に文章で照会をして認定となりました。
文章での照会でしたので、1か月以上の時間がかかってしまいました。
「硬性装具装着」の認定で8級
特に膝の装具について、硬性装具なのか軟性装具なのかが問題となり、最終的に「硬性装具装着」の認定で8級となりました。
障害給付一時金と障害特別支給金と併せて680万円近い給付となり、S様には大変喜んでいただくことができました。
S様は持病もありましたので仕事復帰ができず、しばらくの生活費のめどがついたと安堵していらっしゃいました。
現在、自賠責保険の等級は14級の認定となっており、任意保険会社経由で異議申立をしているところだそうです。
今回のポイント
障害認定に労働基準監督署に行くことが困難なケースについては、担当官とよく相談してみるということが今回のポイントです。
また、労災保険は、障害等級第8級ですが、自賠責保険は障害等級第14級ということで、かなりの開きがある状態となってしまいました。
S様は、労災保険の障害認定を先に申請して本当に良かったと言ってくれました。
業務災害で前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷の場合の労災申請は、愛知労務にお任せください。
〇参考リンク
労災保険認定事例
厚生労働省「『アフターケア』制度のご案内」