右脛骨高原骨折で労災保険8級認定事例
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2023.01.20
M様 30歳代男性
膝の高原骨折
通勤途中の交通事故で右脛骨高原骨折のお怪我をされたM様から、自賠責保険の等級が「非該当」になったというご相談をいただきました。
膝の靱帯も損傷がありました。
M様はバイクで通勤している時、トラックが後ろから追い越して来たのですが、対向車が来たのでトラックが左に幅寄せしたため、トラックと壁に挟まれて負傷してしまわれました。
治療終了した時点では、右膝にスクリューが2本入ったままであり、走ったり、階段を下りるのが困難な状態でした。
自賠責保険の異議申立
自賠責保険の異議申立を行政書士の方にお願いして、労災保険の障害の申請よりも先にやりたい旨のお話がありました。
なぜ、自賠責保険の等級が非該当になったかも知りたかったそうです。
そのため通勤災害の労災保険申請は保留にしておきたいというのがM様のご意向でした。
主治医の先生に、脛骨高原骨折の骨折分類と、初診時から終診時までの手術などの経緯を証明していただきました。
Hohl分類で分裂陥没型という証明でした。事故から6日目に関節鏡下関節内骨折観血的手術をされておりました。
事故から3か月後に全荷重許可されましたが、片松葉杖歩行でも不安定な状態であった、という主治医の証明をいただくことができました。
自賠責保険の等級が14級となりました
行政書士の方が異議申し立ての申請をしてくれまして、 この主治医の先生の証明をもとに自賠責保険の異議申立をして、2か月後に14級9号の認定となりました。
膝が歩くたびにガクガクするともいわれていましたが、14級の認定は低いような気がしていました。
この時点でM様は、労災保険の申請をしてもいいのではないか、というお気持ちになられていましたので、今度は愛知労務が手続きに取り掛かりました。
自賠責保険の等級は低いままでした。
第三者行為災害届からスタート
まずは第三者行為災害届の作成から始めました。
この書類は5枚あるのですが、通勤災害の場合は会社の証明が不要ですので、交通事故証明書と任意保険の情報を相手の保険会社の人身担当の方から取り寄せさせていただき完成させました。
現在は、会社印の押印が省略できるようになりました。
その後、障害給付支給請求書、通勤災害に関する事項、特別給与に関する届、休業給付支給請求書、休業特別支給金申立書の作成にとりかかりました。
結構、提出する書類が多いのです。
それに添付する書類もありますので、書類の作成に慣れないと大変な作業となります。
通勤災害に関する事項の内、通勤経路図なども愛知労務の方で準備させていただきました。
また、治療はすべて相手側の自賠責保険にて行っていましたので、障害給付支給請求書の病院証明代を請求するために、療養給付たる療養の費用請求書の書類も作成しました。
会社の証明が受けられない場合
ここまでは順調に進んだのですが、M様のお勤め先の会社の証明と、給与明細書、ボーナス支給明細書のところでつまずいてしまいました。
愛知労務の方で会社の担当者の方に、今回の労災申請をしても労働保険料が上がることはないことなどをご説明させていただいたのですが、会社の証明などが進みませんでした。
なぜ会社の担当者が協力してくれないかは分かりませんが、労働基準監督署にM様の出勤簿(タイムカード)を提出するのが嫌だったみたいです。
結構たくさん残業をしており、月100時間越えの月がありました。
そこで労働基準監督署の担当官とも相談し、会社証明なしで申請してもいいという運びになりました。
そして、給与明細と出勤簿(タイムカード)は、労働基準監督署の担当官が会社に直接提出するように書面で指示を出してくれました。
M様のお膝の状態はあまりよくありませんでしたので、「身体の状態にかかる申立書」はM様とよく打ち合わせをして、こちらで作成させて頂きました。
膝に付けている装具については、どのような形式のものかも記載させていただきました。
膝が「ガクガク」するのは、靱帯損傷のために動揺関節ということで、膝につけている装具によって等級が左右されるのです。
労働基準監督署の認定に同行
労働基準監督署の障害認定の立会いも、愛知労務より社会保険労務士1名が同行させていただきました。特にM様のお膝の具合については、労働基準監督署の担当官にも膝がガクガクすることを強調するように致しました。
労働基準監督署の認定から2か月程経ってから、一時金支給決定通知がM様のお手元に届きました。M様は金額の大きさに驚かれ、愛知労務に喜びのお電話をくださいました。
こちらから労働基準監督署の担当官に等級の内容を確認させていただき、8級(膝の動揺関節)の認定であることをM様にご報告させていただきました。
今回のポイント
今回のポイントとしましては、自賠責保険で異議申立をして上位の等級が認定されたので、その後労災保険を諦めずに申請したことです。
労働基準監督署の認定は、実際にお怪我をした方と面談して等級を認定するので、自賠責保険より高い等級が認定されるケースがあるというのがポイントです。
また、社会保険労務士が労働基準監督署の担当官に「膝の動揺関節」のことを説明させていただき、実際にM様の膝の様子を聞いてくれたことです。
認定の時には、労働基準監督署の顧問医が膝の動揺関節の確認をしてくれたそうです。
それにしても、自賠責保険は14級、労災保険は8級というのは、大分乖離がありますね。
通勤災害で膝の高原骨折の場合の労災申請は、愛知労務にお任せください。
労災保険の申請を会社が手続きを渋る時は、愛知労務の社会保険労務士が手続き代行をしております。
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
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〇参考リンク
労災保険認定事例
厚生労働省「『アフターケア』制度のご案内」