通勤災害(労災保険)の脳の器質性障害に係るアフターケアについて解説
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2023.02.05
脳の器質性障害に係るアフターケア
脳に外傷や脳血管疾患などによる器質的な損傷を負い、治った後においても精神や神経に障害を残す方は、季節、天候、社会環境などの変化に伴って症状が悪化することがあるため、精神療法やカウンセリング、薬剤の支給、頭部のエックス線検査、脳波検査などを受けることができます。
社会保険労務士 宮本麻由美
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アフターケアの対象者は、以下の条件に該当する方となります。
1.次の(ア)~(オ)の傷病が治った後、脳の器質性障害が残った方
(ア)外傷による脳の器質的損傷
(イ)一酸化炭素中毒(炭鉱災害によるものを除く)
(ウ)減圧症
(エ)脳血管疾患(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など)
(オ)有機溶剤中毒等(一酸化炭素中毒・炭鉱災害による一酸化炭素中毒を除く)
2.労災保険から障害等級第9級以上の障害(補償)給付を受けていて(または受けると見込まれ)、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる。または、障害等級第10級以下の障害(補償)給付を受けていて、医学的に特に必要と認められる方
措置範囲
(1) 診 察 ・・・原則として、1か月に1回程度
(2) 保健指導 ・・・診察の都度
(3) 保健のための処置
ア 精神療法及びカウンセリング アフターケアとして実施する精神療法及びカウンセリングは、治療ではなく、後遺症状の増悪を防止するための保健上の措置であることから、その処置内容については、生活指導に重点を置いたものとします。
イ 四肢麻痺等が出現した方については、褥瘡処置及び尿路処置が必要となることから、次の処置及び処置に伴う必要な材料の支給を行うことができます。
① 褥瘡処置 医師が必要と認めた場合には、自宅等で交換のために使用する滅菌ガーゼ及び 絆創膏を支給することができます。
② 尿路処置(導尿、膀胱洗浄、留置カテーテル設置・交換を含みます。)
医師が必要と認めた場合には、自宅等で使用するためのカテーテル、留置カテーテル(収尿袋を含みます。)、カテーテル用消毒液(洗浄剤及び潤滑剤を含みま 。) 及び滅菌ガーゼを支給することができます。
ウ 薬剤の支給
① 神経系機能賦活薬
② 向精神薬
③ 筋弛緩薬
④ 自律神経薬
⑤ 鎮痛・消炎薬(外用薬を含みます。)
⑥ 抗パーキンソン薬
⑦ 抗てんかん薬 外傷性てんかんのある方及び外傷性てんかん発症のおそれのある方に対して 支給するものです。
⑧ 循環改善薬(鎮暈薬、血管拡張薬及び昇圧薬を含みます。) 血液の循環の改善を必要とする方に対して必要に応じて支給するものです。
上記のほか、四肢麻痺等が出現した方については、褥瘡処置及び尿路処置が必 要となることから、次の薬剤を支給することができます。
① 抗菌薬(抗生物質、外用薬を含みます。) 尿路感染者、尿路感染のおそれのある方及び褥瘡のある方を対象とします。
② 褥瘡処置用・尿路処置用外用薬
③ 排尿障害改善薬及び頻尿治療薬
④ 筋弛緩薬(鎮痙薬を含みます。) 重症痙性麻痺治療薬髄腔内持続注入用埋込型ポンプに再充填する鎮痙薬を含みます。
⑤ 末梢神経障害治療薬
⑥ 整腸薬、下剤及び浣腸薬
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 宮本 麻由美
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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(4) 検 査
① 末梢血液一般・生化学的検査 1年に1回程度
② 尿検査 1年に1回程度
③ 脳波検査 1年に1回程度
④ 心理検査 1年に1回程度
⑤ 視機能検査(眼底検査等も含みます ) 1年に1回程度(眼に関する病訴は、対象傷病による調節障害もありますが、業務上の事由又は通勤による疾病以外の疾病等によるものも少なくないため、これとの鑑 別上必要な場合に実施するものとします。)
⑥ 前庭平衡機能検査 1年に1回程度(めまい感又は身体平衡 障害の病訴のある方に対して必要な場合に 実施するものとします。)
⑦ 頭部のエックス線検査 1年に1回程度
⑧ 頭部のCT、MRI検査 医学的に特に必要と認められる場合に限 り、1年に1回程度
上記のほか、四肢麻痺等が出現した者については、褥瘡処置及び尿路処置が必要となることから 必要に応じて次の検査をそれぞれの範囲内で行うことができます
① 尿検査(尿培養検査を含みます。) 診察の都度、必要に応じて実施
② CRP検査 1年に2回程度
③ 膀胱機能検査(残尿測定検査) 残尿測定検査は、超音波によるものを含みます。 1年に1回程度
④ 腎臓、膀胱及び尿道のエックス線検査 1年に1回程度
⑤ 麻痺域関節のエックス線、C T、MRI検査 医学的に特に必要と認められる場合に限り、1年に1回程度
上記内容については、厚生労働省アフターケア制度のご案内より引用しました。
アフターケアの健康管理手帳の申請は、治った日の翌日から起算して2年以内に行う必要があります。
また、健康管理手帳の有効期間は、外傷による脳の器質的損傷、一酸化炭素中毒(炭鉱災害によるものを除く。)及び減圧症の方は、交付日から起算して2年間、脳血管疾患および有機溶剤中毒等(一酸化炭素
中毒・炭鉱災害による一酸化炭素中毒を除く。)の方は交付日から起算して3年間となっております。
また、更新による再交付は、更新前の手帳の有効期間が満了する日の翌日から起算して1年間です。
脳挫傷などにより高次脳機能障害を発症し、労災保険から障害(補償)給付を受けていて(または受けると見込まれ)、医学的に早期にアフターケアの実施が必要と認められる方はアフターケアが認定される可能性があります。
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〇参考リンク
厚生労働省「『アフターケア』制度のご案内」(外部サイト)