死亡した時の労災保険の遺族補償給付は
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2023.10.23
遺族補償給付
遺族補償給付は、労働者が業務上死亡した場合に、遺族に対し、その請求に基づいておこなわれます。
支給対象者は、支給事由に該当する死亡労働者の遺族ですが、その範囲は次の通りです。
(1) 配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の事情にあるものを含みます。)
(2) 子
(3) 父母
(4) 孫
(5) 祖父母
(6) 兄弟姉妹
給付の種類
遺族補償給付は、労働者の死亡当時における扶養関係の有無に着目して、遺族補償年金と遺族補償一時金に分けられます。
労災保険の申請を会社が手続きしてくれない場合は、愛知労務の社会保険労務士が手続き代行をしております。
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遺族補償年金
遺族補償年金を受けることの出来る遺族の範囲は、遺族補償年金の趣旨が遺族の被扶養者の喪失のてん補にあるので、労働者の死亡の当時その者の収入によって生計を維持しており、かつ、その死亡の当時、次に掲げる一定年齢又は一定障害等の状態にあった者とされています。
(1) 妻または60歳以上若しくは一定障害の夫
(2) 18才に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は一定障害の子
(3) 60歳以上又は一定障害の父母
(4) 18才に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるかまたは一定障害の孫
(5) 60歳以上又は一定障害の祖父母
(6) 18才に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか若しくは60歳以上又は一定障害の兄弟姉妹
(7) 55歳以上60歳未満の夫(一定障害の者を除く)
(8) 55歳以上60歳未満の父母(同上)
(9) 55歳以上60歳未満の祖父母(同上)
(10) 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹(同上)
遺族補償年金を実際に受けることのできるのは、上記の受給資格者のうち受給権の順位が最も先順位である者に限られます。
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遺族補償年金の若年停止対象者
(7)から(10)の者は、受給権者となっても、60歳に達する月までの間、遺族補償年金の受給が停止されます。
これらの者を若年停止対象者と言います。なお、その受給順位は、60歳に達しても繰り上がりません。
また、遺族補償年金は、受給権者(最先順位者)が失権したときでも、遺族補償年金を受ける権利は消滅せず、次順位者が最先順位者として受給権者となります。
これを転給といいます。これにより、受給資格者の全員が失格するまで、遺族補償年金は支給されます。
☆ 給付の内容
遺族補償年金の額は、受給権者および受給権者と生計を同じくしている(受給権者と生計維持関係にあるか、同居をしているかのいずれかの)受給資格者の総数等によって次の表の通りとされています。
給付率の算定基礎となる遺族の数 |
年金額 |
1人 |
給付基礎日額の153日分(原則) |
2人 |
〃 201日分 |
3人 |
〃 223日分 |
4人以上 |
〃 245日分 |
表中、例外とは、55歳以上の妻の場合、又は一定の障害にある妻の場合です。
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遺族補償一時金
遺族補償一時金は二種類あり、それぞれの支給事由および給付額は次の通りです。
☆ 給付の内容
(1) 労働者の死亡の当時、遺族補償年金の受給権者となるべき者がいない場合
給付基礎日額の1,000日分
(2) 遺族補償年金の受給権者がすべて失権した場合において、それまでの間にすべての受給権者に対して支給された遺族補償年金の額および遺族補償年金前払い一時金の額の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合
給付基礎日額の1,000日分と、すべての受給権者に対して支給された遺族補償年金の学及び遺族補償年金前払い一時金の合計額との差額
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遺族補償給付を請求するにはどのような資料を準備したらよいのでしょうか。
請求書以外には、死亡診断書、戸籍謄本、生計維持関係を証明する書類、他の年金を受けている場合はそれを証明する書類等が必要なります。
(生計維持関係を証明する書類とはどのようなものでしょうか。)
生計維持関係を証明する書類として、例えば、民生委員の証明があります。
お住まいの地区の民生委員にお亡くなりになった方と生計維持関係にあったことを証明していただく書類です。
書類の様式は労働基準監督署に置いてあります。
また、請求書に記入いただいた死亡労働者及び受給権者の個人番号(マイナンバー)を活用することにより、住民票の写しの提出を省略することが可能となる場合があります。
住民票の写しにより生計維持関係を証明しようとする場合は、労働基準監督署又は社会保険労務士にご相談ください。
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〇参考リンク
厚生労働省「『アフターケア』制度のご案内」