脳の損傷(高次脳機能障害)による後遺障害
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2026.024.03
脳の損傷による高次脳機能障害になった場合の障害補償給付の等級について解説します。
脳の損傷(高次脳機能障害)による後遺障害の障害等級の認定
ア 高次脳機能障害
高次脳機能障害については、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力(以下「4能力」という。)の各々の喪失の程度に着目し、評価を行うこと。その際、複数の障害が認められるときには、原則として障害の程度の最も重篤なものに着目して評価を行うこと。
たとえば、意思疎通能力について第5級相当の障害、問題解決能力について第7級相当の障害、社会行動能力について第9級相当の障害が認められる場合には、最も重篤な意思疎通能力の障害に着目し、第5級の1の2として認定すること。
ただし、高次脳機能障害による障害が第3級以上に該当する場合には、介護の要否及び程度を踏まえて認定すること。
また、以下に掲げた高次脳機能障害に関する障害の程度別の例は例示の一部であり、認定基準に示されたもの以外の4能力の喪失の程度別の例については、別添2「神経系統の機能又は精神の障害に関する医学的事項等」(以下「別添2」という。)の別紙「高次脳機能障害整理表」を参考にすること。
なお、高次脳機能障害は、脳の器質的病変に基づくものであることから、MRI、CT等によりその存在が認められることが必要であること。
また、神経心理学的な各種テストの結果のみをもって高次脳機能障害が認められないと判断することなく、4能力の障害の程度により障害等級を認定すること。
高次脳機能障害の認定
神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準(厚生労働省のページです)
1評価の着眼点
高次脳機能障害は、4能力に係る喪失の程度により評価を行う。評価を行う際の要点は以下のとおりである。
(1)意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
職場において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判定する。主に記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断を行う。
(2)問題解決能力(理解力、判断力等)
作業課題に対する指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑に業務が遂行できるどうかについて判定する。主に理解力、判断力又は集中力(注意の選択等)について判断を行う。
(3)作業負荷に対する持続力・持久力
一般的な就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定する。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断を行う。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断する。
(4)社会行動能力(協調性等)
職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定する。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動等)の頻度についての判断を行う。
2高次脳機能障害整理表
高次脳機能障害の障害認定は、上記の4能力に係る喪失の程度に応じた認定基準に従って行うものであるが、別紙の高次脳機能障害整理表は、障害の程度別に能力喪失の例を参考として示したものである。
なお、別紙の高次脳機能障害整理表の「喪失の程度」の欄と認定基準における労働能力の喪失の程度の関係は、以下のとおりである。
「A:多少の困難はあるが概ね自力でできる」は、能力を「わずかに」喪失(第14級の認定基準参照)
「B:困難はあるが概ね自力でできる」は、能力を「多少」喪失(第12級の認定基準参照)
「C:困難はあるが多少の援助があればできる」は、能力の「相当程度」を喪失(第9級の認定基準を参照)
「D:困難はあるがかなりの援助があればできる」は、能力の「半分程度」を喪失(第7級の認定基準を参照)
「E:困難が著しく大きい」は、能力の「大部分」を喪失(第5級の認定基準を参照)
「F:できない」は、能力の「全部」を喪失(第3級の認定基準を参照)

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