肢体の障害の認定基準
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.09
上肢の障害,下肢の障害,体幹・脊柱の機能の障害,肢体の機能の障害の程度は次により認定します
豊川・豊橋地区で相談を実施しています。
当事務所では、業務上の労災事故および通勤災害の交通事故の相談を長年やってきました。
上肢の骨折や下肢の骨折、脊柱の骨折などの相談をたくさん受けてきました。
どうぞ、どんな些細なことでも結構ですのでご相談ください。
肢体の障害の認定基準
肢体の障害は、4つに分かれます。
1.上肢の障害 2.下肢の障害 3.体幹・脊柱の機能の障害 4.肢体の機能の障害です。
上肢の障害
◆上肢の障害(1級)
1級に該当する国年令別表の上肢の障害は、3つあります。
1.両上肢の機能に著しい障害を有するもの
2.両上肢のすべての指を欠くもの
3.両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
1.については、上肢の装具等の補助具を使用しない状態で、日常生活動作においてさじで食事をする、顔を洗う、用便の処置をする、上衣の着脱の動作を行うことが全くできない程度のものをいいます。
2.については、基節骨の基部から欠き、その有効長が0のものです。
3.については、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるもの。
◆上肢の障害(2級)
2級に該当する国年令別表の上肢の障害は、5つあります。
1.両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
2.両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
3.一上肢の機能に著しい障害を有するもの
4.一上肢のすべての指を欠くもの
5.一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
2.については、両上肢のおや指の用を全く廃した程度の障害があり、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指の用を廃した程度の障害があり、そのため両手とも指間に物をはさむことはできても、一指を他指に対立させて物をつまむことができない程度の障害をいいます。
3.については、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したものです。
次のいずれかに該当する程度のものをいいます。
●不良肢位で強直しているもの。
●関節の最大他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減以下のもの。
●筋力が、著減又は消失しているもの。
◆上肢の障害(3級)
1.一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
2.一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の三指以上を失ったもの
3.おや指及びひとさし指を併せ一上肢の四指の用を廃したもの
1.については、二関節の自動可動域が健側の自動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの
(例えば、常時固定装具を必要とする程度の動揺関節)
2.については、指を失ったものとは、おや指については、指節間関節(IP)、
その他の指については近位指節間関節(PIP)、以下で欠くものを言います。
3.については、指の用を廃したものとは、指の末節骨の長さの2分の1以上を欠くもの、中手指関節(MP)又は近位指節関節(PIP)(おや指にあっては指節間関節(IP)に著しい運動障害(自動可動域が健側の自動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すものを言います。
◆上肢の障害(障害手当金)
1・一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの
2・一上肢のニ指以上を失ったもの
3・一上肢のひとさし指を失ったもの
4・一上肢の三指以上の用を廃したもの
5・一上肢のおや指の用を廃したもの
6・長管状骨に著しい転位変形を残すもの
・関節に著しい機能障害を残すものとは、関節の自動可動域が健側の自動可動域の3分の
2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいいます。
・長管状骨に著しい転位変形を残すものとは
●上腕骨に変形を残すもの
●橈骨又は尺骨に変形を残すもの
変形とは外部から観察できる程度
(15度以上わん曲に不正癒合したもの)
愛知労務の連絡をLINEでできるようにしました。
下記バナーをクリックしていただき、お友達登録をお願いします。
下肢の障害
◆下肢の障害(1級)
1・両下肢の機能に著しい障害を有するもの
2・両下肢を足関節以上で欠くもの
1、については、杖、松葉杖、下肢装具等の補助具を使用しない状態で、日常生活動作において立ち上がる・歩く・片足で立つ・階段を登る・階段を降りるという動作を行うことが全くできない程度ものをいいます。
◆下肢の障害(2級)
1.両下肢のすべての指を欠くもの
2・一下肢の機能に著しい障害を有するもの
3・一下肢を足関節以上で欠くもの
2.については、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの。
すなわち次のいずれかに該当する程度のものをいいます。
・ 不良肢位で強直しているもの
・ 関節の最大他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減以下のもの
・ 筋力が著減又は消失しているもの
但し、膝関節のみが100度屈位の強直である場合のように、単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合及び一側下肢長が他側下肢長の4分の1以上短縮している場合も、これに該当します。
◆下肢の障害(3級)
1.一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
2・長関節骨の偽関節を残し、運動機能に著しい障害を有するもの
3・一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
4.両下肢の十しの用を廃したもの
足しの用を廃したものとは、第1しでは、その末節骨の2分の1以上、その他の4しでは遠位し節間関節(DPI)以上を欠くもの、中足し節関節(MP)又は
近位し節間関節(PIP)(第1足しではし節間関節(IP)に著しい運動障害(自動可動域が健側の自動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すものをいいます。
長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すものとは、次のいずれかに該当するものを言います。
(偽関節は、骨幹部又は骨幹端部に限ります。)
・ 大腿骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
・ 脛骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
◆下肢の障害(障害手当金)
・一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい障害を残すもの
2・一下肢を3cm短縮したもの
3・長関節骨に著しい転位変形を残すもの
4・一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの
5・一下肢の5趾の用を廃したもの
長菅状骨に著しい転位変形を残すものとは、次のいずれかに該当するものをいいます。
・ 大腿骨に変形を残すもの
・ 脛骨に変形を残すもの(ひ骨のみに変形を残すものについても、その程度が著しい場合は、これに該当します。)
下肢長の測定は、上前腸骨棘と脛骨内果尖端を結ぶ直線距離の計測によります。
体幹・脊柱の機能の障害
◆体幹、脊柱の機能の障害(1級)
体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
体幹の機能に座っていることができない程度とは、腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもできない程度。
立ち上がることができない程度の障害を有するものとは、臥位又は座位から自力のみで立ちあがれず、他人、柱、杖その他の器物の介護又は補助を必要とする程度をいいます。
◆体幹、脊柱の機能の障害(2級)
体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
上記については、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具は必要としないが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害をいいます。
◆体幹、脊柱の機能の障害(3級)
脊柱の機能に著しい障害を残すもの
上記については、脊柱又は背部、軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の自動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものをいいます。
器質的変化とは、組織や細胞がもとの形態にもどらないような変化が起こることをいい、このようになった病気を器質的疾患といいます。
◆体幹、脊柱の機能の障害(障害手当金)
脊柱の機能に障害を残すもの
上記については、脊柱又は背部、軟部組織の明らかな器質的変化のため、脊柱の自動可動域が参考可動域の4分の3以下に制限されている程度のもの
頭蓋、上位頚椎間の著しい異常可動性が生じたもの
肢体の機能の障害
◆肢体の機能の障害(1級)
日常生活の用を弁ずることを不可能ならしめる程度のもの
上記については、一上肢及び一下肢の用を全く廃したものなどをいいます。
用を全く廃したものとは、日常生活動作のすべてが一人で全くできない場合又はこれに近い状態をいいます。
◆肢体の機能の障害(2級)
日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
上記については、両上肢又は両下肢の機能に相当程度の障害を残すものなどをいいます。
機能に相当程度の障害を残すものとは、日常生活動作の多くが1人で全くできない場合又は日常生活動作のほとんどが1人でできるが非常に不自由な場合をいいます。
◆肢体の機能の障害(3級)
身体の機能に労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
上記については、一上肢又は一下肢の機能に相当程度の障害を残すものなどをいいます。
◆肢体の機能の障害(障害手当金)
身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
上記については、一上肢又は一下肢に機能障害を残すものをいいます。
機能障害を残すものとは、日常生活動作に一部が1人で全くできない場合又はほとんどが1人でできてもやや不自由な場合をいいます。
その他
◆人工骨頭又は人工関節をそう入置換
一上肢の3大関節のうち、一関節又は、二関節に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの又は、両上肢の三大関節のうち一関節にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定されます。
そう入置換してもなお「一上肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定されます。
障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日
(初診日から起算して1年6ヶ月以内の日に限る)
障害認定基準に戻る