日常生活上必要な行為の範囲拡大
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2020.07.29
通勤中の事故でケガ等をした場合の、労災補償の対象を拡大
労災保険では、通勤中の事故による負傷、疾病、障害または死亡について、通勤災害として労災補償の対象としていますが、下記のような場合は特別な決まりがあります。
1.合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合
合理的な通勤経路から逸脱・中断の間および合理的な通勤経路に復帰後の移動の間の事故による負傷等については、原則として労災補償の対象となりません。
2.日常生活上必要な行為のために、合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合
合理的な通勤経路に復帰後の移動の間の事故による負傷等については、例外的に労災補償の対象となります。
※その場合も、逸脱・中断の間は労災保険の対象外です。
2の「日常生活上必要な行為」とは
(1)日用品の購入や、これに準ずる行為
(2)職業訓練や学校教育、その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
(3)選挙権の行使や、これに準ずる行為
(4)病院や診療所において、診察または治療を受ける行為や、これに準ずる行為
(5)要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母および兄弟姉妹の介護(継続的に、または反復して行われるものに限ります。)
平成29年1月1日より、(5)の同居・扶養要件が撤廃されました。
これにより、逸脱・中断から復帰後の事故による負傷等に限っては、同居・扶養していない孫、祖父母および兄弟姉妹の介護のため、合理的な通勤経路を逸脱・中断した場合も労災補償の対象になりました。
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