頭部、顔面部、頸部(上肢及び下肢の醜状を含む)の障害 通勤途中の交通事故 労災保険申請

部位別等級表  頭部、顔面部、頸部(上肢及び下肢の醜状を含む)の障害

文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2020.07.21

頭部、顔面部、頸部(上肢及び下肢の醜状を含む)の障害等級表(労災保険)

顔などにやけどや傷跡が残った場合の障害等級の見直しについて

業務上又は通勤による事故で、頭や顔、首といった「外貌(日常的に人目に付く部分、外見)」にやけどや傷跡などが残った場合、労災保険から「障害(補償)給付」が支給されます。その際、「労働者災害補償保険法施行規則」に定める障害等級表に基づいて障害認定を行いますが、従来は、障害が同じ程度でも弾性は女性より低く取り扱われていました。

この規定について、平成23年2月1日に、障害等級の男女差の解消などを内容とする改正が行われました。
障害等級表の改正内容及び外貌障害の障害等級認定基準については、以下のとおりです。(自賠責保険も同じ扱いとなりました。)

改正省令の主な改正内容

○障害等級の男女差の解消

現在男女別となっている障害等級について、男性の等級を女性の等級に引き上げるかたちで改正し、障害の程度に応じ男女とも同一の等級として評価する。

○障害等級の新設
医療技術の進展により、傷跡の程度を、相当程度軽減できる障害を、新設する「第9級」として評価する。

改正後 現行

障害等級

身体障害

障害等級

身体障害

第7級

12 外貌に著しい醜状を残すもの

第7級

12 女性の外貌に著しい醜状を残すもの

第9級

11の2 外貌に相当程度の醜状を残すもの(新設)

第9級

 ―

第12級

13 削除

第12級

13 男性の外貌に著しい醜状を残すもの

14 外貌に醜状を残すもの

14 女性の外貌に醜状を残すもの

第14級

10 削除

第14級

10 男性の外貌に醜状を残すもの

 

障害等級認定基準の改正内容


新設された「第9級の11の2 外貌に相当程度の醜状を残すもの」について、新たに判断基準を示しました。外貌障害に係る障害等級認定基準は以下の通りです。

外貌障害に係る障害認定基準

○障害等級第7級の12「外貌に著しい醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。

① 頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損

② 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没

③ 頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕

○障害等級第9級の11の2「外貌に相当程度の醜状を残すもの」とは、原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上のものをいう

○障害等級第12級の14「外貌の単なる醜状を残すもの」とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう

① 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損

② 顔面部にあっては、10円銅貨以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕

③ 頸部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

転載:厚生労働省労働基準情報:障害等級の認定基準より

外貌の醜状障害

外貌とは、頭部、顔面部、頸部のように、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいいます。

外貌における著しい醜状を残すもの

外貌における著しい醜状を残すものとは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいいます。

① 頭部にあっては、てのひら大(指の部分は含みません。)以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損

② 顔面部にあっては、鶏卵大以上の瘢痕、長さ5センチメートル以上の線状痕又は、10円銅貨以上の組織陥没

③ 頸部にあっては、てのひら大以上の瘢痕

外貌における単なる醜状

外貌における単なる醜状は原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいいます。

① 頭部にあっては、鶏卵大以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損

② 顔面部にあっては、10円銅貨以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕

③ 頸部にあっては鶏卵大面以上の瘢痕

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は、神経系統の機能の障害です。

しかし、顔面神経麻痺の結果として口がゆがんだ場合には、醜状として取り扱われます。

また、同じく顔面神経麻痺の結果として閉瞼不能(まぶたを閉じることができない症状)が残った場合は、眼瞼の障害として取り扱います。

頭蓋骨の欠損

頭蓋骨のてのひら大以上の欠損により、頭部の陥没が認められる場合で、それによる脳の圧迫により神経症状が、存する場合は、外貌の醜状障害に係る等級と神経障害に係る等級のうちいずれか上位の等級により認定します。

眼瞼、耳介及び鼻の欠損障害

眼瞼、耳介及び鼻の欠損障害については、これらの欠損障害について定められる等級と外貌の醜状に係る等級のうち、いずれか上位の等級により認定します。

なお、耳介及び鼻の欠損障害に係る醜状の取扱いは次によります。

① 耳介軟骨部の2分の1以上を欠損した場合は、著しい醜状と視、その一部を欠損した場合は、単なる醜状とします。

② 鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損した場合は、著しい醜状と視、その一部又は鼻翼を欠損した場合は、単なる醜状とします。

2個以上の瘢痕又は線状痕

2個以上の瘢痕又は線状痕が相隣接し、又は相まって1個の瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、それらの面積、長さ等を合算して等級を認定します。

火傷治癒後の黒褐色変色等

火傷治癒後の黒褐色変色又は色素脱失による白斑等であって、永久的に残ると認められ、かつ、人目につく程度以上のものは、単なる醜状として取り扱います。

露出面の醜状障害

上肢又は下肢の露出面とは、上肢にあっては、ひじ関節以下(手部を含みます。)下肢にあっては、ひざ関節以下(足背部を含みます。)をいいます。

露出面以外の醜状障害についての準用等級

① 上腕又は大腿にあっては、ほとんどその全域、胸部又は腹にあっては、それぞれ各部の2分の1程度、背部及び臀部にあっては、その全面積の4分の1程度をこえるものは、単なる醜状として第14級とします。

② 両上腕のほとんど全域、両大腿のほとんど全域、胸部又は腹にあっては、各々その全域、背部及び臀部にあってはその全面積の2分の1程度をこえるものは、著しい醜状として第12級とします。

財団法人労災保険情報センター発行:労災保険後遺障害診断書作成手引より引用

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