代謝疾患による障害の認定基準
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2020.08.12
代謝疾患による障害の程度は、次により認定します
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認定基準
代謝疾患による障害については、次のとおりです。
障害の程度 | 障 害 の 状 態 |
---|---|
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする症状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に認定します。
日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に認定します。
また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定します。
認定要領
① 代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられますが、認定の対象となる代謝疾患の障害は糖尿病が圧倒的に多いため、糖尿病の基準を説明します。
② 糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定します。
③ 糖尿病とは、その原因のいかんを問わず、インスリンの作用不足に基づく糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心をなすものは高血糖です。
糖尿病患者の血糖コントロール不良状態が長年にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等の慢性合併症が発症、進展することとなります。
糖尿病の認定は、血糖のコントロール状態そのものの認定もありますが、多くは糖尿病合併症に対する認定です。
④ 血糖のコントロールの良否については、インスリン治療時におけるHbAlc及び空腹時血糖値を参考とすることとし、HbAlcが8.0%以上及び空腹時血糖値が140mg/dl以上の場合にコントロールの不良とされます。
⑤ 糖尿病による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりです。
区分 | 一般状態 |
---|---|
ア | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、下位労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
⑥ 糖尿病については、次のものを認定します。
ア インスリンを使用してもなお血糖のコントロールの不良なものは、3級と認定します。
イ 合併症の程度が、認定の対象となるもの
なお、血糖が治療、一般生活状態の規制等によりコントロールされている場合には、認定の対象となりません。
⑦ 糖尿病性網膜症を合併したものによる障害の程度は、「眼の障害」の認定要領により認定します。
⑧ 糖尿病性腎症を合併したものによる障害の程度は、「腎疾患による障害」の認定要領により認定します。
⑨ 糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるものは、「神経系統の障害」の認定要領により認定します。
ア 単なる痺れ、感覚異常は、認定の対象となりません。
イ 糖尿病性神経障害が長時間持続するものは、3級に該当するものと認定します。
⑩ 糖尿病性動脈閉塞症は、運動障害を生じているものは、「肢体の障害」の認定要領により認定します。
⑪ その他の代謝疾患は、合併症の有無及びその程度、治療及び症状の経過、一般検査及び特殊検査の検査成績、認定時の具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定します。
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