現在、私が勤めている会社では毎日の残業がとても多く、夜10時頃まで働いています。
また休日出勤も結構あります。
同じ職場の同僚も夜遅くまで頑張っている人が数名います。
退勤から次の出勤までのインターバルも、ひどい時は5時間しかありません。
睡眠時間が3時間しかとれない日も、月に2回ほどあります。
そのような日の翌日は、朝出勤してもしばらくはぼーっとしてしまい、頭が働きません。
とても激務です。
ある日、朝目が覚めたら、思うように起き上がれず、会社に行くのが嫌になってしまいました。
身体が重く感じられ、食欲もありません。
ソファーに腰かけて、しばらくそのままの状態で過ごしていました。
睡眠も十分に取れていない状態です。
午後から身体が動くようになったのでかかりつけの内科を受診したところ、メンタルがやられているということで心療内科の受診を勧められました。
心療内科もいくつかの病院に連絡をして予約を取るのに苦労しましたが、翌日予約が取れるところが何とか見つかりました。
そこで心療内科を受診したところ、「しばらく会社は休んだ方がいいよ」、ということで労務不能3週間の診断書を書いてもらいました。
その時は、少しほっとした気分になりました。
翌日、会社に出勤して総務の担当者と面談し、就業規則に記載されている休職制度によって、本日から自宅療養ということで休職することになりました。
休職期間を就業規則で確認したところ、私の場合は6か月までとなっていました。
それよりも治療が長引いた場合は、自動退職になると総務の担当者に言われました。
そこで質問なのですが、過重労働でうつ病が発症した場合は、労災保険の給付が受けられることがあると聞きました。
労災保険を申請することで、現在の会社と揉めてしまうと、次の転職で不利になってしまうでしょうか?
今の会社は過重労働が改善される様子がないので、すぐにでも転職しようと思っています。
会社と揉めて次の会社に転職するのが不利になるならば、労災保険の申請は諦めようとも思っています。
また、労災保険を申請するメリットを教えてください。
毎日の残業量が多く、休日出勤までしているようであれば、あなたの会社は労働基準法の36協定に違反している可能性があります。
36協定は、会社と従業員代表が協定して、残業や休日労働を何時間までしていいかを決めた協定書です。
労働基準監督署に提出して、初めて有効となります。
残業や休日出勤できる上限時間は労働基準法で決まっており、それを上回る36協定を結ぶことはできません。
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、次のような特徴がある会社を指します。
①労働者に対し、極端な長時間労働やノルマを課す。
②サービス残業(賃金不払い残業)やパワハラが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い。
③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う。
あなたが働いている会社は、「極端な長時間労働をさせている会社」といえます。
過重労働でうつ病の診断が出ていますので、まずは会社を休んで心身の回復を待ちましょう。
転職のことなどが頭をよぎるかと思いますが、今は休むことに集中する必要があります。
うつ状態のまま無理をして転職活動をしても気持ちが落ち込みやすく、面接にも通りにくくなってしまいます。
病院で治療を受け、心の状態が回復してきて主治医の先生の許可が出てから、転職活動をスタートさせましょう。急がば回れです。
過重労働でうつ病を発症した場合、労災保険の給付が受けられることがあります。
過重労働以外の、例えばパワハラやセクハラ等があってうつ病が発症した場合も労災保険の申請が可能です。
しかし労災保険を申請したいと申し出ても、会社に拒否されてしまうケースが非常に多いです。
当事務所(愛知労務)では、過重労働やパワハラ等で適応障害やうつ病などの精神疾患になった方の労災保険の申請を今までに何名もお手伝いさせていただいてきました。
しかし労災保険の申請をしたいと言っても、拒否する会社が大多数です。
その時は、会社の証明無しで労働基準監督署に申請をしていくことになります。
転職活動が思うようにいかず、転職を諦めて今の会社に復職することになるという可能性もあります。
そうなったとき、先に労災申請をしていると、居づらさを感じてしまうことになるかもしれません。
労災申請は会社を退職してからでも可能です。
また、申請書には病院の先生の照明も必要となりますので、主治医の先生にも申請する時期について相談してみましょう。
当事務所(愛知労務)でも、退職してからのご相談後、労災保険の申請をされる方の割合が圧倒的に多くなっています。
労災申請することになった場合に備え、長時間労働があったことの証拠をそろえておきましょう。
勤務状況を証明できるものがあれば、労災認定がされやすい傾向にあります。
給与明細や、もし手に入るようでしたらタイムカードの写し等が証拠となります。
勤怠をクラウドで管理している会社であれば、勤怠のシートを印刷するかpdfなどの形で保存しておいてください。
当事務所(愛知労務)で労災申請のお手伝いをさせて頂いた中では、毎月のタイムカードをスマホで撮影したデータや、パソコンのログを取って労働基準監督署に提出した例などがあります。
パソコンのログが一部でも残っていれば、証拠となる可能性があります。
また、同居のご家族には、会社の勤務状況や残業がどのくらいあったかを記録に取ってあることをお話ししておいてください。
パソコンのデータである場合は、一度印刷して紙の状態でファイルに綴じておいてください。
またそのしまい場所も家族に伝えておきましょう。
自分一人で考え込まないようにしましょう。
労災保険に認定された場合は、治療費は全額労災保険で支払われます。
健康保険では、自己負担が3割あるので、労災保険で治療できると金銭的にも断然有利です。
休業補償は、ボーナスを除いた毎月の給与の概ね80%出ることになっています。
労災保険の認定は原則6か月以上かかるので、健康保険の傷病手当金の申請と同時に労災保険の申請もすることになります。
傷病手当金は休んだ時の休業補償で給与の概ね67%(3分の2)出ることになっています。
労災保険の給付の方が一般的には多くなります。
労災保険が認定された場合は、すでに受給している傷病手当金は全部戻すことになります。
両方もらうことはできません。
病院の先生から治療終了と言われ、障害が残っている場合は、障害補償給付の申請をすることになります。
14級、12級又は9級に認定されることがあります。
愛知労務でも、何名か申請をさせていただきました。
もし9級に認定されますと、給付基礎日額が15,000円とすると:
15,000円×391日分=5,865,000円
障害特別支給金 500,000円
ボーナス特別一時金も支給されます。(ボーナスが出ていた場合は)
場合によっては、認定等級が出てから弁護士の先生にお願いして、損害賠償請求をすることがあります。
労災保険に認定されると転職で不利になるか、というご質問ですが、転職先の会社は労災認定があった事実を知ることはできないため、ご安心ください。
過重労働の場合は、認定されやすい傾向にあります。
退職してからゆっくり労災保険の申請を考えればいいと思います。
電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)
担当:社会保険労務士 松井 宝史(たかし)
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
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文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.04.26
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