私は社会保険労務士の仕事をしているため、仕事柄パワハラの労災申請の仕事がたくさん舞い込んできます。
仕事に関係したことでいざこざになって殴られて病院で治療をしたとか。
会議の時間に少しだけ遅れただけで、上司に顔を殴られて耳の鼓膜が破れたとか。
殴られて鼓膜が破れてしまった方は、しばらく病院通いとなってしまいました。
仕事の指導と称して、ねちねちと嫌味を言ってくる上司もおり、心療内科に通院することになった、なんて相談もあります。
事務の仕事しかしたことが無いのに、配置転換と称して営業に仕事に回された結果、うつ病となったという相談もありました。
パワハラが深刻な社会問題として捉えられるようになり、令和4年4月1日から中小企業においても「パワーハラスメント防止措置」が義務化されました。
職場における「パワーハラスメント」の定義は、職場で行われる①~③の要素全てを満たす行為となっています。
①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境を害されたもの
※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しません。
法律の定義を見ただけでは、どのようなものがパワハラか分かりにくいですね。
殴る蹴るなどの身体的な暴力、暴言や必要以上の叱責などは分かりやすい例ですが、その他にも、無視をしたりして職場から孤立させるようなこともパワハラに当たります。
上司や同僚から何かにつけ無視されることは、精神的にダメージがあります。
職場で村八分にされて精神疾患を患った方の労災申請をしたことがあります。
この方は、労災認定がおりました。
パワハラ等で精神疾患になった時、「心理的負荷の強度」を「弱」「中」「強」の3段階で判定していきます。
「強」の場合は、一発レッドカードです。
「強」に該当すると判定されると「労災認定」の確率が高くなります。
治療を要する暴力を受けたときは、即、レッドカードの「強」になります。
上司や同僚などから仕事に関係して暴力を受けた時は、病院に治療に行って「診断書」をもらっておいてください。
私の場合は、大学を卒業後、最初に入った会社では、3か月の現場実習が終わってから総務部に配属になりました。
でも特に仕事はなく、週に1回行われる夕方の社内教育の準備だけが仕事でした。
他にやることがないので、従業員の履歴書を見て顔や名前を覚えさせられたり、社内教育の本を読まさせられたりしていました。
工場を巡回することもしました。
それでないと、1日が暇を持て余してしまいます。
ただ、なんとなく、工場を歩いて回るだけです。
入社早々、窓際族になったようなものです。
ハラスメントの6累計の「過小な要求」で、仕事を与えないことにつながるようなものです。
さすがに、そのような会社生活にはうんざりしてしまし、入社して6か月目で「さよなら」しました。
あなたがパワハラを受けてしまったとき、上司に「それパワハラですよ」なんて言いにくいですよね。
あなたの人格を否定するようなパワハラ発言を受けたときは、ノートでも手帳でもいいので、言われた日時、場所、言った人の名前、言われた内容をメモしておいてください。
会社の中に「相談窓口」があれば、そこで相談をすればいいのですが、相談に行ったことがばれて、更にひどい仕打ちを受けるなんてこともあるかもしれません。
そのような不安がある場合は、厚生労働省の「総合労働相談センター」に行ってみてください。
匿名でも無料で相談に乗ってもらえますし、プライバシーは厳守されます。
また、弁護士などの専門家に相談することも頭の片隅に入れておいてください。
(東京、静岡、愛知、岐阜、三重であれば、提携弁護士をご紹介します)
mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp
パワハラなんて無くなれ!
そんな会社や上司には一日も早く別れを告げ、転職先の会社で心機一転頑張っていきましょう。
次は人間関係の良い会社に勤めたいと思うと、転職先の会社の評判なども気になるところですね。
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職場におけるパワハラの3要素
職場におけるパワハラの3つの要素について詳しく説明していきます。
①優越的な関係を背景とした言動
○ 当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの
(例)
・ 職務上の地位が上位の者による言動
・ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの 等
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
○ 社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの
③労働者の就業環境が害される
○ 当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること
○ この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当
事業主及び労働者の責務
以下の事項に努めることが、事業主・労働者の責務として法律上明確化されました。
【事業主の責務】
■ 職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないこと等これに起因する問題(以下「ハラスメント問題」という。)に対する労働者の関心と理解を深めること
■ その雇用する労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと
■ 事業主自身(法人の場合はその役員)がハラスメント問題に関する関心と理解を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
【労働者の責務】
■ ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者(※)に対する言動に注意を払うこと■ 事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること
※ 取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれます。
職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置
事業主は、以下の措置を必ず講じなければなりません(義務)。
◆ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
◆ 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
◆ 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと(注1)
⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと(注1)
⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(注2)
(注1) 事実確認ができた場合( 注2) 事実確認ができなかった場合も同様
◆ そのほか併せて講ずべき措置
⑨ 相談者・行為者等のプライバシー(注3)を保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
(注3) 性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含む。
⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止
事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されました。
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