人工透析の障害認定基準
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2024.12.14
人工透析の障害による障害の程度は、次により認定します
認定基準
豊川・豊橋地区で相談を実施しています。
どうぞ、どんな些細なことでも結構ですのでご相談ください。
糖尿病の障害は、特に初診証明をとることが重要です。
糖尿病
糖尿病による障害の程度は、合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害及び糖尿病性動脈閉塞症等)の有無とその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考量し、総合的に認定されます。
糖尿病から糖尿病性腎症になる経緯
糖尿病の場合、最初の5年間くらいはまったくの無症状と言われています。
その後、急激に高血糖状態になる時期が来て、糖尿病の症状が出てきます。
のどが渇いたり、おしっこがやたらとちかくなったり、体重が急激に減ってきます。
多くの人の場合、そのあたりで会社の健康診断などで糖尿病が見つかってきます。
また、病院で薬を出してもらうようになったりします。
この時に行った病院が初診の病院になってきます。
初診の病院の「受診状況等証明書」をいかに入手するかが、障害年金を申請にあたってとても大事なことになります。
また、体調の異変から病院を受診して治療が開始されたりして、一旦症状は落ち着いてきます。
そして、長い無症状の期間が5年から10年あたりまで続きます。
その間の血糖コントロールのよし悪しに応じて種々の合併症が進行したり、しなかったりして、大体20年から30年でその人に出てくる合併症がそろってきます。
糖尿病性腎症の場合は、糖尿病の治療を開始した時点で、どのくらい腎障害が進んでいるかが決定的に重要な要素となってきます。
糖尿病性腎症で人工透析が必要になるのは、通常、末期腎不全と呼ばれる状態になってからです。
それ以前に、この段階になったら将来的に人工透析が必要になることは避けられないという時点があります。
3b期は、だいたい腎臓の機能が正常値の半分くらいまで失われた状態です。
糖尿病性腎症で3b期になるまでには、一般的に糖尿病になってから15年ぐらいかかると言われています。
この3b期を過ぎてから治療が開始された場合、将来的に人工透析に至ることはどうしても回避できません。
障害年金の初診日に関する調査票限【糖尿病用】」
人工透析で障害年金を申請する時、このような長い期間かかって糖尿病性腎症になっていくので、初診日を特定する作業がとても重要です。
「障害年金の初診日に関する調査票限【糖尿病用】」を提出します。
糖尿病の症状がいつ頃出てきたかを記載するようになっています。
その後に、健康診断で「尿に糖が出ていること」を指摘されたかを聞いてきます。
健康診断で指摘があった場合、その検査日以降のすべての検査結果を添付して提出することになります。
また、指摘があった場合、すぐに病院にかかったかも記入するようになっています。
すぐに病院を受診しなかった場合は、その理由とその間の体調を記載することになっています。
糖尿病性腎症による人工透析を受けている人の障害年金申請は、愛知労務に一度はご相談ください。
人工透析
人工透析を行うのは、腎臓の働きが正常時の10%以下、血清クレアチニン値が8mg/dl以上になった時です。また、吐き気、嘔吐、食欲不振などの尿毒症が疑われる症状が出た時です。
人工透析には、血液透析と腹膜透析の2つの種類があります。
血液透析
血液透析は、血液を対外に取り出してダイアライザーという装置を使って血液を浄化します。血液透析導入前1か月時に腕に血液の出入口を作ります。
血液透析をおこなっても腎機能を完全に代行できるわけではありません。そのために腎臓が産出する造血ホルモンを注射したり、内服薬などで補う必要があります。
血液透析の目的は、血液に溜まった老廃物を除去し、体内に溜まった余分な水分と電解質を調節し、酸・アルカリを調節して血液のpH値を適正な数値にします。
血液透析の所要時間は、1回3時間から5時間を1週間に3回です。
病院に通って行います。
腹膜透析
腹膜透析は、自分自身の腹膜を使って透析を行います。
腹膜透析を行う前に、手術によってお腹に穴をあけ、カテーテルというチューブ状の器具を設置します。このカテーテルの先を体外に出し、透析液のバッグとつないで透析液を体内に取り込みます。
その間、腹膜を通して体内の老廃物や余分な水分、電解質などが排出されます。
腹膜透析は、CAPD(持続携帯式腹膜透析)とAPD(自動腹膜透析)の2つの種類があります。
CAPDは、透析液の交換に30分ほど時間がかかります。
1日原則4回行います。
APDは、夜間にサイクラーという機械を使って透析液の交換を行います。
腹膜透析の自己管理として、カテーテルの先が感染しやすいので細心の注意が必要となります。
人工透析における初診証明
障害年金を申請するにあたって、初診日がいつであるかを判断することはとても重要です。
初診日における加入要件(国民年金に加入なのか厚生年金に加入なのか)によって、支給される障害年金が、障害基礎年金だけなのか障害厚生年金も支給されるのかが決まります。
そして、初診日の前日において、保険料の納付要件を判断します。納付要件が満たされていない場合は、いくら人工透析を受けている事実があっても障害年金が支給されないことになります。
初診日は、障害の原因となった傷病につき、初めて医師または歯科医師の診断を受けた日となります。
糖尿病が原因の糖尿病性腎症による腎不全は、腎不全が始まったときを初診日とするのではなく、糖尿病の治療で初めて病院に行って診察を受けた日が初診日となります。
糸球体腎炎やネフローゼなどでその後慢性腎不全となり人工透析となった場合は、糸球体腎炎やネフローゼなどの診察を受けた日が初診日となります。
また、同一傷病で転医した場合は、最初の医師の診察を受けた日、健康診断により異常が発見され療養に関する指示があった場合は、健康診断日となります。
障害年金の申請をする前に当事務所までお問い合わせ下さい。
一度申請をして、不支給となった場合は、再度申請をして認定されることは困難になる場合があります。
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